拡張モジュール > Creo Elements/Direct Sheet Metal > Creo Elements/Direct Sheet Metal のカスタマイズ > 展開図に対する情報出力の制御
  
展開図に対する情報出力の制御
Creo Elements/Direct Sheet Metal には、テクノロジーデータベースに各ショップの製造関連情報 (ショップ固有のツール ID など) を追加するのに使用できる関数がいくつか用意されています。板金パーツを展開したときに、この追加情報を展開図とともに渡して、NC システムのような後処理アプリケーションで使用できます。
この章では次のトピックについて説明します。
FLAT-TEXT
FLAT-INFO
展開図における自動集合体置換
側面の展開
FLAT-TEXT
テクノロジーデータベース (TDB) では、:FLAT-TEXT キーワードを使用して、展開図に含める追加のアノテーションテキストを指定できます。この "展開テキスト" は 2D 展開図の曲げ線に付加されます。
一般に、:FLAT-TEXT キーワードは :FLAT-TEXT エントリが所属する :COLUMN エントリのリストで構成されます。各エントリの前に単位修飾子 (:MM、:DEG) を指定することもできます。デフォルトの単位は、そのテーブルの単位です。エントリごとに、オプションとして出力値の小数点以下桁数を指定することもできます。たとえば、以下のようなエントリは
:FLAT-TEXT ("Ang={1}º Air bend: DW={2} PR={3} PA={4}º {5}"
:DEG 1 :ANGLE :DIE_WIDTH :PISTON_RAD :PISTON_ANG :UPDOWN)
エアベンディング工程の角度を小数点以下 1 桁で (33.5 など) 返します。
先行するテキスト文字列に、定義された値を組み込むこともできます。テキスト文字列内では、値は {#} エントリとして参照されます。次の例は、sha_demoshop.lsp ファイルの "ヘム曲げ" テーブルを示します。
(sha-define-shop-table "hems"
 :TABLE-TITLE "Hems"
:COLUMNS
   ( :HEM_DIST :PREFERENCE :ALLOWANCE_TABLE :MAX_THICK :MIN_LIP_LENGTH :ADVICE)
:COLUMN-NAMES
  ("Dist"     "Pref"      "Allow Table"    "Max Thick" "Min lip length" "Advice")
:UNITS
   ( :mm       nil         nil              :mm    :mm     nil)
:CONTENTS
  (
   (0.88     :PREF       "hem_allow"      1.6    5       "-")
   (1.00      :PREF      "hem_allow"      2.0    5       "-")
   (1.25      :PREF       "hem_allow"      2.5    6       "-")
   (1.50      :PREF       "hem_allow"      3.0    7        "-")
   (0.01      :NONPREF    "hem_allow"      1.25   5       "-")
   (1.60      :NONPREF    "hem_allow"      3.2    7       "-")
   (2.00      :NONPREF    "hem_allow"      4.0    8       "-")
   (3.00      :NONPREF    "hem_allow"      6.0     12      "-")
  )
:DISPLAY (:HEM_DIST :PREFERENCE :ADVICE)
:FLAT-TEXT ("Hem {1}mm {2}" :HEM_DIST :UPDOWN)
:HELP "sha_hems"
:BROWSER-ICON "icon_hems"
)
このテーブル末尾の :FLAT_TEXT ステートメントの意味は以下のとおりです。
展開図のヘム曲げ線に付加するヘム曲げ関連文字列ではヘム曲げ距離を mm 単位で指定します。
このヘム曲げ関連文字列では、ヘム曲げ距離の後ろにツール方向が続きます。
ヘム曲げを含む板金パーツを展開すると、関連する展開テキスト文字列が上記の :FLAT-TEXT キーワードから作成されます。図面ファイルのそのような展開テキスト文字列の例を以下に示します。
FLAT-INFO
テクノロジーデータベース (TDB) では、:FLAT-INFO キーワードを使用して、追加のツール関連情報またはその他の展開図に関連するデータを指定できます。
:FLAT-INFO キーワードの構文は :FLAT-TEXT キーワードと同じです ( FLAT-TEXT を参照)。:FLAT-INFO のデフォルトは FLAT-TEXT です。:FLAT-INFO ステートメントはショップ定義ファイル内のどの場所にも配置できます。
以下の例は、ショップファイルの "コーナーラジアス" テーブルのカスタマイズ版を示しています。
:FLAT_INFO ステートメント (このテーブルの末尾近く) の意味は以下のとおりです。
穴開けツール番号とツールの説明を示す文字列が、コーナーラジアス穴開け集合体を含む板金パーツの展開図に追加されます。
Punch_no 文字列の値は、"コーナーラジアス" テーブルで指定された TOOL_ID です。
Description 文字列の値は、"コーナーラジアス" テーブルの :DESCR 列からとられます。
コーナーラジアス穴開け集合体を含む板金パーツを展開すると、関連する展開情報文字列が上記の :FLAT-INFO キーワードから作成され、情報テキストとして該当する展開図形に添付されます。図面ファイルのそのような展開情報文字列の例を以下に示します。
SHA_TOOL_INFO: Punch_no= 16708 Description= 6695
展開図における自動集合体置換
Creo Elements/Direct Sheet Metal rev. 6.0 時点で、板金パーツの展開図から選択した集合体の削除または置換ができる特別な仕組みが用意されました。たとえば、曲げ割れ止めとコーナ割れ止めを、円形コーナ割れ止めや、さらには薄い板金の場合は "割れ止めなし" などの特別な製造主導の図形に置き換えることができます。
関連する制御設定は、各ショップファイルの sha-define-default-settings セクションで定義できます。以下を参照してください。
集合体置換機能の有効/無効の切り替え
置換機能の工程別の有効/無効の切り替え
置換集合体の指定
集合体置換機能の有効/無効の切り替え
あるショップの集合体置換機能を有効にするには、該当するショップファイルの sha-define-default-settings セクションで以下の切り替えを設定します。
あるショップの集合体置換機能を無効にするには、該当するショップファイルの sha-define-default-settings セクションで以下の切り替えを設定します。
置換機能の工程別の有効/無効の切り替え
Creo Elements/Direct Sheet Metal に制御された集合体の自動置換は、工程別に有効/無効を選択できます。この目的のために用意されたマクロを以下に挙げます。それぞれのマクロ名によって対象となる工程が区別されています ("hem" など)。
(sha-enable-bend-replacement)
(sha-disable-bend-replacement)
(sha-enable-offset-replacement)
(sha-disable-offset-replacement)
(sha-enable-hem-replacement)
(sha-disable-hem-replacement)
(sha-enable-punch-replacement)
(sha-disable-punch-replacement)
(sha-enable-stamp-replacement)
(sha-disable-stamp-replacement)
(sha-enable-relief-replacement)
(sha-disable-relief-replacement)
(sha-enable-corner-relief-replacement)
(sha-disable-corner-relief-replacement)
* 
ショップファイルで定義する集合体置換設定は、同じショップファイル内で集合体置換機能が有効になっている場合にだけ効果を持ちます。 置換機能の工程別の有効/無効の切り替えを参照してください。
たとえば、展開図で絞り集合体の自動置換を有効にするには、ショップファイルの sha-define-default-settings セクションで次のように指定する必要があります。
(sha-enable-replacements)
(sha-enable-stamp-replacement)
* 
CoCreate Modeling rev. 6.0 には、割れ止めとコーナ割れ止め用の置換マクロだけが付属しています。その他の工程の置換は将来のリリースで予定されています。また、顧客主導のコンサルタントサービスを通じて入手できます。
置換集合体の指定
削除または異なる集合体による置換を行う各集合体について :REPLACEMENT-INFO ステートメントを指定できます。
:REPLACEMENT-INFO ステートメントを関連するツールテーブルに追加する必要があります。
:REPLACEMENT-INFO ステートメントの構文は FLAT-TEXT に似ています。集合体置換用の定義済みマクロ名の 1 つを指定します。
たとえば、sha_rnd_crn_relief_repl マクロを使用して展開図の円形コーナ割れ止めをコーナ割れ止めに置換する場合、"円形コーナ割れ止め" テーブルに以下のステートメントを追加する必要があります。
* 
展開図で特定の集合体を置換する場合は、該当する工程の集合体置換を有効にしてください。次を参照してください。
角コーナ割れ止めを完全に削除する場合は、"角コーナ割れ止め" テーブルに以下のステートメントを追加する必要があります。
:REPLACEMENT-INFO ("sha_remove_corner_relief")
通常の角割れ止めを削除する場合は、"角割れ止め" テーブルに以下のステートメントを追加する必要があります。
:REPLACEMENT-INFO ("sha_remove_relief {1}" :VERT)
側面の展開
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、面取りのような集合体を持つ側面を正確に展開できます。ツール処理を制御して、内側ツールの追加の図形詳細を展開表示することもできます。この目的のために sha_demoshop.lsp ファイルに用意されたマクロを以下に挙げます。
sha_set_flat_cont_at_tang_faces
sha_set_flat_sheet_border_handling
sha_set_flat_sheet_border_show_inner_contour
sha_set_flat_sheet_border_show_detail_contour
sha_set_flat_sheet_border_inner_contour_color
sha_set_flat_sheet_border_detail_contour_color
sha_set_flat_tool_handling
sha_set_flat_planar_tools_calculate_hidden_lines
sha_set_flat_planar_tools_calculate_silhouette
sha_set_flat_planar_tools_hidden_linetype
sha_set_flat_planar_tools_silhouette_linetype
sha_set_flat_feature_detail
sha_set_flat_feature_standard_colors
sha_set_flat_tool_show_boundary
sha_set_flat_tool_show_detail
sha_set_flat_tool_boundary_color
sha_set_flat_tool_detail_color
sha_set_flat_hide_inner_bottom_edges
これらのマクロを使用する方法の例を次に示します。
sha_set_flat_sheet_border_handling ではシート境界の側面処理、sha_set_flat_tool_handling ではツールの側面処理を制御できます。たとえば、次の元パーツでは、基準面は緑色でハイライトされ、円周溶接稜線は両側で面取りとして表示されています。
この元パーツの場合、(sha_set_flat_sheet_border_handling t) を使用して sha_set_flat_sheet_border_handling のみをアクティブ化すると、外側の稜線が投影され、次のような展開図になります。
その他の境界処理マクロを使用して、追加の図形詳細を制御できます。次の例に示すように、sha_set_flat_sheet_border_show_inner_contoursha_set_flat_sheet_border_show_detail_contoursha_set_flat_sheet_border_inner_contour_color、および sha_set_flat_sheet_border_detail_contour_color をアクティブ化できます。
(sha_set_flat_sheet_border_show_inner_contour t) ;; Activate inner edges from chamfer
(sha_set_flat_sheet_border_show_detail_contour t)
(sha_set_flat_sheet_border_inner_contour_color (rgb-color 0.5 0.5 1.0))
(sha_set_flat_sheet_border_detail_contour_color (rgb-color 0.9 0.9 0.9))
結果として、次の展開図のようになります。
1. 内側の輪郭 (投影された面取り線)
2. 面取りを展開することによって作成された詳細の輪郭
平面上にあるツールの場合、隠線とシルエット線を個別に表示できます。
隠線がオフになっている場合、線は (破線の) 隠線ではなく実線として表示されます。
シルエット線がオフになっている場合、線はまったく表示されません。
たとえば、次の元パーツでは、基準面に集合体が含まれています。
sha_set_flat_tool_handlingsha_set_flat_planar_tools_calculate_hidden_lines、および sha_set_flat_planar_tools_calculate_silhouette をアクティブ化すると、集合体の輪郭は以下に示すように投影されます。
sha_set_flat_feature_standard_colors では Creo Elements/Direct Sheet Metal 集合体の標準色を抑制できます。標準色がデフォルトです。標準色を抑制するには、sha_set_flat_feature_standard_colorsnil に設定します。
sha_set_flat_feature_detail により、Creo Elements/Direct Sheet Metal 集合体ではない非表示のツールの詳細を投影できます。このような集合体の例を次に示します。
次に示すように sha_set_flat_tool_show_boundarysha_set_flat_tool_show_detail を設定することによって、展開図内にあるこのような集合体の稜線の表示をさらに細かく制御できます。
(sha_set_flat_tool_show_detail nil)(sha_set_flat_tool_show_boundary nil)
(sha_set_flat_tool_show_detail nil)(sha_set_flat_tool_show_boundary t)
(sha_set_flat_tool_show_detail t)(sha_set_flat_tool_show_boundary t)
sha_set_flat_hide_inner_bottom_edges により、次に示すように、下面の内側の稜線を非表示の稜線に変換できます。
基準面は上面
基準面は下面
* 
この変換は板金の側面に沿った標準面取りでは正しく行われますが、複雑な場合には正しく行われない可能性があります。
制限事項:
Creo Elements/Direct Sheet Metal では Creo Elements/Direct Sheet Metal 集合体を持つツールの内側の曲げ領域線が削除されます。
線形にスイープした B-スプライン面である側面は展開できません。
曲げ領域内またはシート境界上にあるツールの場合、Creo Elements/Direct Sheet Metal では隠線もシルエット線も表示されません。
曲げ領域内にあるツールの場合、Creo Elements/Direct Sheet Metal では不可視曲げ領域線はサポートされていません。
Creo Elements/Direct Sheet Metal 集合体が存在しない場合:
Creo Elements/Direct Sheet Metal でツールが完全には認識されないことがあります。
反対側の面上の図形要素が認識されないことがあります。
曲げ領域内にあるツールの場合、不可視曲げ領域線は抑制されません。Creo Elements/Direct Sheet Metal では、ツールが曲げの内側にある場合、すべての図形要素が関連するものと見なされます。