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補正値テーブルと計算式
Creo Elements/Direct Sheet Metal には、曲げ、ヘム曲げ、段曲げを含む板金パーツの平面長を計算するために、一組の補正値テーブルと補正値計算式が用意されています。
この章では次のトピックについて説明します。
中立面 -- ANSI 対 DIN
曲げ補正値のパラメータと数学
ショップレベルの代替方法
曲げ補正値の計算
ヘム曲げ補正値の計算
段曲げ補正値の計算
補正値計算式
固定 K-係数計算式をショップレベルの代替計算式として使用
中立面 -- ANSI 対 DIN
曲げを含む板金パーツで長さが変わらない平面を、"中立面" といいます。中立面の両側では、それぞれ長さの伸長と短縮が起こります。
中立面の位置は材質の厚さ (T) に関連し、"K-係数" という パラメータで表します。ANSI (米国国家規格協会: American National Standard Institute) の定義では、Kー係数は中立面の T からの段曲げになります。また DIN (ドイツ工業規格: Deutsche Industrienorm) の定義では、Kー係数は中立面の T/2 からの段曲げになります。これらの規定を次の図に示します。
図 6. K-係数の ANSI と DIN の解釈
曲げ補正値のパラメータと数学
以下の図は、曲げ補正値の計算に関係する図形パラメータと数学的考慮事項を示しています。Creo Elements/Direct Sheet Metal では、ANSI 規格の K-係数と DIN 規格の K-係数の両方が使用されていることに注意してください。
図 7. 曲げ補正値の計算
補正値テーブルの例は、Creo Elements/Direct Sheet Metal に付属する sha_demoshop.lsp ファイルにあります。補正値計算式の名前と計算式に対するポインタもこのファイルで指定されています。関連するサンプルの補正値計算式は sha_demoshop_func.lsp ファイルで詳細に説明されています。
:ALLOWANCE_FORMULA が曲げ工程テーブルで指定されている場合、Creo Elements/Direct Sheet Metal では、適用可能な曲げ補正値計算式またはテーブル補間法によって、実際の平面長が計算されます。以下の定義済み曲げ補正値計算式は、サンプルファイル sha_demoshop_func.lsp にあります。
DIN に基づいた補正値の計算式
固定 K-係数計算式
線形補間法
ロールベンドの補正値計算式
ショップレベルの代替方法
Creo Elements/Direct Sheet Metal で工程に依存する補正値が見つからなかった場合、または、ある工程の補正値計算式が指定されていない場合は、ショップ定義ファイルの :ALLOWANCE_FORMULA エントリで指定されたショップレベルの代替計算式が探されます。サンプルの sha_demoshop.lsp では、このショップレベルの代替方法は以下のエントリで実装されています。
; fall back strategy for allowance values
:ALLOWANCE_FORMULA sh_bend_allowance_din
この計算式の詳細については、 補正値計算式を参照してください。
* 
曲げ工程テーブルにツールがない場合、sh_bend_allowance_din 計算式は現在の曲げ工程に K-係数が含まれているかチェックします。K-係数が見つかった場合は、ショップレベルの代替計算式の代わりに、ロールベンド工程の補正値計算式が使用されます。
段曲げツールとヘム曲げツールは独自の代替計算式を使用します。これはそれぞれ :OFFSET_FORMULA エントリと :HEM_FORMULA エントリで指定されます。ただし、デモショップでは :HEM_FORMULA エントリは使用されません。詳細については、 ヘム曲げ補正値の計算段曲げ補正値の計算を参照してください。
補正値エラーの処理
補正値計算式の戻りプロパティを使用して、DFM 規則違反が起きた場合にエラーフラグを立てることができます。
(setf *sha-severity*
'(:tdb-shop-missing :high
:material-not-found :medium
:using-fallback-strategy :low
:tdb-table-missing :medium
:tdb-tool-missing :medium
:tdb-entry-missing :medium
:DFM_rule_violation :low
:tool-overlap :low
:unacceptable-deformation :medium
:not-manufacturable :high
)
)
各補正値計算式の setf return_values ステートメントは、エラー状態の解釈方法を指定しています。このステートメントはそれぞれ以下の要素から構成されています。
エラー状態の意味を説明する見出し文字列 (ポップアップ表示されるエラーボックスの見出しになります)
エラータイプ (上記の *sha-severity* リストから)、問題の回避方法についてのアドバイス
DIN 補正値計算式のこのような setf return_values ステートメントの例を以下に示します。
(setf return_values (list :warning-headline "警告: DFM 規則違反"
:error-type :DFM_rule_violation
:error-message "半径/厚さは 0.65 以上でなければなりません"))
Creo Elements/Direct Sheet Metal の曲げ、ヘム曲げ、段曲げの工程用に実装されたデフォルトの方法については、以下のセクションで取り上げます。
曲げ補正値の計算
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、以下のデシジョンツリーを使用して曲げ補正値を計算します。
図 8. 曲げ補正値計算のデシジョンツリー
以下の図は、この計算式に基づいた曲げ補正値のデフォルト代替方法を示しています。
図 9. 曲げ補正値計算の代替方法
曲げの工程とツールに依存しない補正値計算
この種の計算式は、曲げ工程または曲げツールのデータが入手できないか、曲げ補正値計算では不要な場合に使用されます。sha_demoshop.lsp ファイルでは、これが代替方法として使用されており、air_bend_allow 計算式の内部でも使用されています。入力パラメータとその戻り値は次のとおりです。
入力
sheet_thickness
材質の厚み (mm)。
bend_angle
曲げの角度 (°)。0 は "曲げなし" を意味します。
bend_radius
曲げの半径 (mm)。0 は "曲げなし" を意味します。
sheet_material
材料特性リスト。次の構文が適用されます。
構文:
(:shopname <shopname> :tabname <sheet mat. table>
:rowkey <material key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "sheet_metals" :ROWKEY
(:MATERIAL "UST 1203" :THICK 1.25))
戻り値
property list ( :allowance allowance-value ; [mm] must
:warning-headline message-string ; optional string
:error-type violation-type ; optional key
:error-message message_string ) ; optional string
オプションの「戻す」プロパティを使用して、補正値の計算中に検出できるようエラーにフラグを立てることができます。ユーザへのエラーフィードバックには、次の内容が含まれます。
エラーポップアップボックスに見出しとして表示される見出し文字列。
エラーの重要度レベルとそれに応じたエラーポップアップボックスの色を定義するエラータイプ。
エラー条件を説明する詳細文字列。
エラータイプは、sha_demoshop_func.lsp ファイルまたはこのファイルの作業コピーの *sha-severity* リストで指定したタイプの 1 つでなければなりません。例:
:DFM_rule_violation
定義した各エラータイプは、3 つの重要度レベル色の 1 つにマッピングされます。
:low = 黄色
:medium = オレンジ
:high = 赤
* 
これらの重要度レベルのマッピングは組織における必要に応じてカスタマイズできます。例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。
これらの機能の例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。この関数の名前は、Sh_bend_allowance_din です。この関数は sheet_material パラメータを使用しません。詳細は、次の節を参照してください。
補正値計算式
曲げの工程とツールに依存した補正値計算
この方法は、曲げ工程または曲げツールのデータが入手でき、曲げ補正値計算で使用できる場合に使われます。Creo Elements/Direct Sheet Metal では、:ALLOWANCE_TABLE または :ALLOWANCE_FORMULA が曲げ工程テーブルに指定されている場合に、この方法が使用されます。sha_demoshop.lsp ファイルにある例は、linear_interp 関数と air_bend_allow 関数です (ただし、後者は余分なツール情報は利用しません)。
計算式を呼び出す場合は、以下のパラメータを指定します。
入力
sheet_thickness
材質の厚み (mm)。
bend_angle
曲げの角度 (°)。0 は "曲げなし" を意味します。
bend_radius
曲げの半径 (mm)。0 は "曲げなし" を意味します。
sheet_material
材料特性リスト。次の構文が適用されます。
(:shopname <shopname> :tabname <material table name>
:rowkey <material row key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "sheet_metals"
:ROWKEY (:MATERIAL "UST 1203" :THICK 1.25))
tool_id
ツール特性リスト。次の構文が適用されます。
(:shopname <shopname> :tabname <material table name>
:rowkey <material row key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "air_bending"
:ROWKEY (:DIE_WIDTH 20.0 :PISTON_RAD 1.6
:PISTON_ANG 0.78539816339744828))
戻り値
property list ( :allowance allowance-value ; [mm] must
:warning-headline message-string ; optional string
:error-type violation-type ; optional key
:error-message message_string ) ; optional string
オプションの「戻す」プロパティを使用して、補正値の計算中に検出できるようエラーにフラグを立てることができます。ユーザへのエラーフィードバックには、次の内容が含まれます。
エラーポップアップボックスに見出しとして表示される見出し文字列。
エラーの重要度レベルとそれに応じたエラーポップアップボックスの色を定義するエラータイプ。
エラー条件を説明する詳細文字列。
エラータイプは、sha_demoshop_func.lsp ファイルまたはこのファイルの作業コピーの *sha-severity* リストで指定したタイプの 1 つでなければなりません。例:
:DFM_rule_violation
定義した各エラータイプは、3 つの重要度レベル色の 1 つにマッピングされます。
:low = 黄色
:medium = オレンジ
:high = 赤
* 
これらの重要度レベルのマッピングは組織における必要に応じてカスタマイズできます。例については、
例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。
これらの機能の例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。この関数の名前は、air_bend_allow です。ツール情報を使用する代わりに、この関数は DIN に基づいた補正値計算式を直接呼び出しています。詳細については、 補正値計算式を参照してください。
曲げ補正値テーブル
ショップ定義ファイルの曲げ工程テーブルに :ALLOWANCE_TABLE が指定されていると (例は sha_demoshop.lsp ファイルを参照)、Creo Elements/Direct Sheet Metal は指定されたテーブルを使用して、関連する曲げ工程で作成された各曲げの実際の平面長を計算します。
曲げ工程の場合 (曲げ角度ごとに別のツールを使用)、ショップ定義ファイルの bend_form_allow テーブルに、材質とツールの異なる組み合わせごとに特定の補正値を追加できます。ほかの工程の場合 (任意の曲げ角度を使用)、補正値は計算式によって定義されます。
たとえば、sha_demoshop.lsp ファイルには曲げ工程用の bend_form_allow テーブルが含まれています。このテーブルのデフォルトの内容を下に示します。
(sha-define-shop-table "bend_form_allow"
:TABLE-TITLE "Bend Forming Allowances"
:COLUMNS
; material key tool key
(:MATERIAL :THICK :ANGLE :RADIUS :ALLOWANCE)
:UNITS
(nil :mm :deg :mm :mm)
:CONTENTS
(
;; Zincor 1.00
("UST 1203" 1.00 90.0 0.4 -1.65)
("UST 1203" 1.00 90.0 1.6 -2.10)
("UST 1203" 1.00 90.0 2.4 -2.40)
;; Zincor 1.25
("UST 1203" 1.25 90.0 0.4 -1.95)
("UST 1203" 1.25 90.0 1.6 -2.35)
("UST 1203" 1.25 90.0 2.4 -2.70)
;; Zincor 1.50
("UST 1203" 1.50 90.0 0.4 -2.35)
("UST 1203" 1.50 90.0 1.6 -2.70)
("UST 1203" 1.50 90.0 2.4 -3.21)
;; Aluminum 1.00
("AA 5052" 1.00 90.0 0.4 -1.75)
("AA 5052" 1.00 90.0 1.6 -2.10)
("AA 5052" 1.00 90.0 2.4 -2.45)
;; Aluminum 1.60
("AA 5052" 1.60 45.0 0.4 -1.35)
("AA 5052" 1.60 90.0 0.4 -2.55)
("AA 5052" 1.60 90.0 0.6 -2.61)
("AA 5052" 1.60 90.0 0.8 -2.67)
("AA 5052" 1.60 90.0 1.6 -2.90)
("AA 5052" 1.60 90.0 2.4 -3.25)
)
:KEY
(:MATERIAL :THICK :ANGLE :RADIUS)
)
この補正値テーブルは、既存の値を修正したり、独自の試料から経験的に得た測定補正値を追加して、編集できます。以下のテキストブロックは、2 mm のアルミニウムに関するカスタム曲げ補正値テーブルセクションの例です。
;; Aluminum 2.00
("AA 5057" 2.00 45.0 0.5 -2.56)
("AA 5057" 2.00 90.0 3.2 -4.21)
この例では、補正値は次のようになります。曲げ角度が 45 度で曲げ半径が 0.5 mm のとき、曲げ補正値は -2.56 mm です。曲げ角度が 90 度で曲げ半径が 3.2 mm のとき、曲げ補正値は -4.21 mm です。
各曲げ工程ではどの計算式が使用されるのか
デフォルトで、サンプルの sha_demoshop.lsp ファイルには 5 つの定義済み曲げ工程の補正値計算式 (sha_demoshop_func.lsp ファイルで定義) に対する以下のポインタが指定されています。
曲げ工程
計算式の呼び出し
曲げ
なし -- テーブルの補正値にアクセス
エア ベンディング
air_bend_allow - sha_demoshop_func.lsp の計算式
折り曲げ
linear_interp - sha_demoshop_func.lsp の計算式
3 点曲げ
air_bend_allow -- さらに計算式によって補間された補正値テーブルも使用
ロールベンド
roll_bending_allow_din - K-係数に基づく計算式で補正値を指定
円錐ベンド
cone_bending_allow_din - 円錐ベンドの補正値を指定するための計算式
air_bend_allow ステートメントは実際の曲げ補正値計算式を読み出します。sha_demoshop_func.lsp ファイルでは、air_bend_allow は DIN に基づいた補正値計算式 (Sh_bend_allowance_din) を呼び出します。2 つの可能な代替策 (Sh_bend_allowance_K_factlinear_interp に対する関数呼び出し) は行頭にセミコロンを置いてコメントアウトされています。
linear_interp 関数は線形補間計算式を使用します。この計算式は補正値テーブルにアクセスして線形補間により値を計算します。この補正値テーブルの名前は、曲げツールの :ALLOWANCE_TABLE エントリから作成されます。曲げツールのツール ID は、計算式に渡されるパラメータの 1 つです。つまり、linear_interp 計算式を使用する曲げ工程は :ALLOWANCE_FORMULA エントリと :ALLOWANCE_TABLE エントリの両方を持つ必要があります。
sha_demoshop_func.lsp ファイルでは、roll_bending_allow_din は一般的な DIN に基づいた補正値計算式を呼び出します。つまり、K-係数は DIN 規格に従う必要があり、値は 0 ~ 2 の範囲です。
例: air_bend_allow 関数で使用する計算式の変更
air_bend_allow 計算式で、DIN に基づいた補正値計算式の代わりにほかの 2 つの代替策 (デフォルトでコメントアウトされています) の 1 つを使用する場合は、以下の手順に従います。
1. sha_demoshop_func.lsp ファイルまたは、このファイルの作業コピーで、無効にする関数呼び出しの先頭にセミコロンを置きます。たとえば、DIN に基づいた補正値計算式の関数呼び出しを無効にする場合は、下のようにセミコロンを追加してコメントアウトします。
; (sh_bend_allowance_din :sheet_thickness sheet_thickness ;
:bend_radius bend_radius ;
:bend_angle bend_angle ;
:sheet_material sheet_material ;
:tool_id tool_id)
(Sh_bend_allowance_K_fact :sheet_thickness sheet_thickness
:bend_radius bend_radius
:bend_angle bend_angle
:sheet_material sheet_material
:tool_id tool_id)
このように変更した結果、:ALLOWANCE_FORMULA ステートメントで指定された air_bend_allow 関数を使用する曲げ工程はどれも、DIN に基づいた補正値計算式の代わりに、固定 K-係数計算式を使用するようになります。
例: 計算式の直接指定
ある曲げ工程で、sha_demoshop_func.lsp ファイルにある定義済み曲げ補正値計算式を使用する場合は、その計算式を直接呼び出すことができます。たとえば、曲げ工程で固定 K-係数計算式を使用する場合は、その工程の :ALLOWANCE_FORMULA ステートメントを次のように変更します。
:ALLOWANCE_FORMULA Sh_bend_allowance_K_fact
別の方法として、曲げ工程で線形補間計算式を使用する場合は、その工程の :ALLOWANCE_FORMULA ステートメントを次のように変更して、線形補間用の関連テーブルを指定します。
:ALLOWANCE_FORMULA linear_interp
:ALLOWANCE_TABLE "general_allowances"
* 
これが機能するのは、&allow-other-keys ステートメントを使用しているために、工程に依存しない関数 (Sh_bend_allowance_K_factorlinear_interp) が工程に依存する長いパラメータリストを受け付けるためです。この特殊な LISP ステートメントは、関数定義のパラメータリストに含まれる tool ID パラメータをスキップします。
ヘム曲げ補正値の計算
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、2 ステップでヘム曲げを作成する仕組み上、ヘム曲げの補正値が通常の曲げ補正値とは異なるという事実が考慮されています。
ヘム曲げ補正値は、2 つの角度曲げの長さと板金パーツの平面長との差として定義されます。この関係を下図に示します。
図 10. ヘム曲げ補正値の計算
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、以下のデシジョンツリーを使用してヘム曲げ補正値を計算します。
図 11. ヘム曲げ補正値計算のデシジョンツリー
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、以下の代替方法を使用してヘム曲げ補正値を計算します。
図 12. ヘム曲げ補正値計算の代替方法
ヘム曲げの工程とツールに依存しない補正値計算
この種の計算式は、ヘム曲げ工程またはヘム曲げツールのデータが入手できないか、ヘム曲げ補正値計算では不要な場合に使用されます。入力パラメータとその戻り値は次のとおりです。
入力
sheet_thickness
材質の厚み (mm)。
hem_dist
ヘムのリップ間の距離 (mm)。0 はリップが接触していることを意味します。
sheet_material
材料特性リスト。次の構文が適用されます。
(:shopname <shopname> :tabname <material tablename>
:rowkey <material row key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "sheet_metals"
:ROWKEY (:MATERIAL "UST 1203" :THICK 1.25))
戻り値
property list ( :allowance allowance-value ; [mm] must
:warning-headline message-string ; optional string
:error-type violation-type ; optional key
:error-message message_string ) ; optional string
オプションの「戻す」プロパティを使用して、補正値の計算中に検出できるようエラーにフラグを立てることができます。ユーザへのエラーフィードバックには、次の内容が含まれます。
エラーポップアップボックスに見出しとして表示される見出し文字列。
エラーの重要度レベルとそれに応じたエラーポップアップボックスの色を定義するエラータイプ。
エラー条件を説明する詳細文字列。
エラータイプは、sha_demoshop_func.lsp ファイルまたはこのファイルの作業コピーの *sha-severity* リストで指定したタイプの 1 つでなければなりません。例:
:DFM_rule_violation
定義した各エラータイプは、3 つの重要度レベル色の 1 つにマッピングされます。
:low = 黄色
:medium = オレンジ
:high = 赤
* 
これらの重要度レベルのマッピングは組織における必要に応じてカスタマイズできます。例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。
ヘム曲げの工程とツールに依存した補正値計算
この方法は、ヘム曲げ工程またはヘム曲げツールのデータが入手でき、ヘム曲げ補正値計算で使用できる場合に使われます。Creo Elements/Direct Sheet Metal では、:ALLOWANCE_TABLE または :ALLOWANCE_FORMULA がヘム曲げ工程テーブルに指定されている場合に、この方法が使用されます。ヘム曲げ補正値計算式では以下のパラメータが使用されます。
入力
sheet_thickness
材質の厚み (mm)。
hem_dist
ヘムのリップ間の距離 (mm)。0 はリップが接触していることを意味します。
sheet_material
材料特性リスト。次の構文が適用されます。
(:shopname <shopname> :tabname <material table name>
:rowkey <material row key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "sheet_metals" :ROWKEY (:MATERIAL "UST 1203" :THICK 1.25))
tool_id
ツール特性リスト。次の構文が適用されます。
(:shopname <shopname> :tabname <material table name>
:rowkey <material row key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "hems" :ROWKEY (:HEM_DIST 1.25))
戻り値
property list ( :allowance allowance-value ; [mm] must
:warning-headline message-string ; optional string
:error-type violation-type ; optional key
:error-message message_string ) ; optional string
オプションの「戻す」プロパティを使用して、補正値の計算中に検出できるようエラーにフラグを立てることができます。ユーザへのエラーフィードバックには、次の内容が含まれます。
エラーポップアップボックスに見出しとして表示される見出し文字列。
エラーの重要度レベルとそれに応じたエラーポップアップボックスの色を定義するエラータイプ。
エラー条件を説明する詳細文字列。
エラータイプは、sha_demoshop_func.lsp ファイルまたはこのファイルの作業コピーの *sha-severity* リストで指定したタイプの 1 つでなければなりません。例:
:DFM_rule_violation
定義した各エラータイプは、3 つの重要度レベル色の 1 つにマッピングされます。
:low = 黄色
:medium = オレンジ
:high = 赤
* 
これらの重要度レベルのマッピングは組織における必要に応じてカスタマイズできます。例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。
ヘム曲げ補正値テーブル
ツールとショップ工程の特徴に依存しているため、ヘム曲げ補正値は経験的データに基づいています。以下の例では、sha_demoshop.lsp ファイルに含まれるヘム曲げ用の定義済み補正値テーブルの該当セクションを示します。
(sha-define-shop-table "hem_allow"
:TABLE-TITLE "Hem allowances"
:COLUMNS
; material key tool key
(:MATERIAL :THICK :HEM_DIST :ALLOWANCE)
:UNITS
(nil :mm :mm :mm)
:CONTENTS
(
;; Zincor 1.25
("UST 1203" 1.25 0.001 -0.70)
("UST 1203" 1.25 1.25 -0.20)
)
:KEY
(:MATERIAL :THICK :HEM_DIST)
)
たとえば 1.25 mm Zincor の場合、このテーブルは 1.25 mm ヘム曲げツールに補正値 -0.20 mm が関連付けられていることを示しています。
この補正値テーブルは、既存の値を修正したり、独自の試料から経験的に得た測定補正値に基づいてカスタム値を追加して、編集できます。
段曲げ補正値の計算
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、段曲げ作成の仕組み上、段曲げの補正値が通常の曲げ補正値とは異なるという事実が考慮されています。Creo Elements/Direct Sheet Metal では、段曲げは 2 つの結合された曲げゾーンによって表されます。段曲げの高さが板金の厚さ以下の場合は、特殊な半径計算が使用されます。
段曲げ補正値は、元の板金の平面長さと、段曲げを含む製作された板金パーツの長さとの差として定義されます。この関係と Creo Elements/Direct Modeling で使用されている図形表現を下図に示します。
図 13. 段曲げ補正値の計算
見かけは 2 つの隣接する逆方向の曲げに似ていますが、通常の曲げツールでは 2 つの曲げの間にゼロでない距離が存在する必要があるため、段曲げは特殊なツールを使用して 1 回のステップで製作する必要があります。この特殊な段曲げツールでは、2 つの曲げゾーンの内部と間に特定の引延ばしが生じます。
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、以下のデシジョンツリーを使用して段曲げ補正値を計算します。
図 14. 段曲げ補正値計算のデシジョンツリー
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、以下の代替方法を使用して段曲げ補正値を計算します。
図 15. 段曲げ補正値計算の代替方法
段曲げの工程とツールに依存しない補正値計算
この種の計算式は、段曲げ工程または段曲げツールのデータが入手できないか、段曲げ補正値計算では不要な場合に使用されます。入力パラメータとその戻り値は次のとおりです。
入力
sheet_thickness
材質の厚み (mm)。
offset_height
段曲げの高さ (mm)。0 は "段曲げなし" を意味します。
sheet_material
材料特性リスト。次の構文が適用されます。
(:shopname <shopname> :tabname <material table name> :rowkey <material row key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "sheet_metals" :ROWKEY (:MATERIAL "UST 1203" :THICK 1.25))
戻り値
property list ( :allowance allowance-value ; [mm] must
:warning-headline message-string ; optional string
:error-type violation-type ; optional key
:error-message message_string ) ; optional string
オプションの「戻す」プロパティを使用して、補正値の計算中に検出できるようエラーにフラグを立てることができます。ユーザへのエラーフィードバックには、次の内容が含まれます。
エラーポップアップボックスに見出しとして表示される見出し文字列。
エラーの重要度レベルとそれに応じたエラーポップアップボックスの色を定義するエラータイプ。
エラー条件を説明する詳細文字列。
エラータイプは、sha_demoshop_func.lsp ファイルまたはこのファイルの作業コピーの *sha-severity* リストで指定したタイプの 1 つでなければなりません。例:
:DFM_rule_violation
定義した各エラータイプは、3 つの重要度レベル色の 1 つにマッピングされます。
:low = 黄色
:medium = オレンジ
:high = 赤
* 
これらの重要度レベルのマッピングは組織における必要に応じてカスタマイズできます。例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。
これらの機能の例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。この関数の名前は、Sh_offset_allowance です。関連する計算式は、sha_demoshop.lsp ファイルの "offset_allow" テーブルに示された経験的な段曲げ補正値から作成されます。この計算式では材質タイプが区別されません (スチールとアルミなど)。計算式では、段曲げの高さがシート材質の厚さの 2 倍に等しくなるまで、段曲げの高さに対する三次曲線プロット補正値が記述されます。段曲げの高さの値が大きくなると、補正値は段曲げの高さと特殊定数の和に等しくなります。この手法による誤差は、sha_demoshop.lsp ファイルで指定した条件で 0.1 mm 以下にできます。
段曲げの工程とツールに依存した補正値計算
この方法は、段曲げ工程または段曲げツールのデータが入手でき、段曲げ補正値計算で使用できる場合に使われます。Creo Elements/Direct Sheet Metal では、:ALLOWANCE TABLE または :ALLOWANCE_FORMULA が段曲げ工程テーブルに指定されている場合に、この方法が使用されます。段曲げ補正値計算式では以下のパラメータが使用されます。
入力
sheet_thickness
材質の厚み (mm)。
offset_height
段曲げの高さ (mm)。0 は "段曲げなし" を意味します。
sheet_material
材料特性リスト。次の構文が適用されます。
(:shopname <shopname> :tabname <material table name> :rowkey <material row key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "sheet_metals" :ROWKEY (:MATERIAL "UST 1203" :THICK 1.25))
tool_id
ツール特性リスト。次の構文が適用されます。
(:shopname <shopname> :tabname <material table name> :rowkey <material row key property list>)
次に例を示します。
(:SHOPNAME "demoshop" :TABNAME "offsets" :ROWKEY (:OFFSET_HEIGHT 2.0))
戻り値
property list ( :allowance allowance-value ; [mm] must
:warning-headline message-string ; optional string
:error-type violation-type ; optional key
:error-message message_string ) ; optional string
オプションの「戻す」プロパティを使用して、補正値の計算中に検出できるようエラーにフラグを立てることができます。ユーザへのエラーフィードバックには、次の内容が含まれます。
エラータイプは、sha_demoshop_func.lsp ファイルまたはこのファイルの作業コピーの *sha-severity* リストで指定したタイプの 1 つでなければなりません。例:
エラーポップアップボックスに見出しとして表示される見出し文字列。
エラーの重要度レベルとそれに応じたエラーポップアップボックスの色を定義するエラータイプ。
エラー条件を説明する詳細文字列。
:DFM_rule_violation
定義した各エラータイプは、3 つの重要度レベル色の 1 つにマッピングされます。
:low = 黄色
:medium = オレンジ
:high = 赤
* 
これらの重要度レベルのマッピングは組織における必要に応じてカスタマイズできます。例については、sha_demoshop_func.lsp ファイルを参照してください。
段曲げ補正値テーブル
ツールとショップ工程の特徴に依存しているため、段曲げ補正値は経験的データに基づいています。以下の例では、sha_demoshop.lsp ファイルに含まれる段曲げ用の定義済み補正値テーブルの該当セクションを示します。
(sha-define-shop-table "offset_allow"
:TABLE-TITLE "Offset Allowances"
:COLUMNS
; material key tool key
(:MATERIAL :THICK :OFFSET_HEIGHT :ALLOWANCE)
:UNITS
(nil :mm :mm :mm)
:CONTENTS
(
;; Zincor 1.25
("UST 1203" 1.25 1.0 0.20)
("UST 1203" 1.25 2.0 0.80)
("UST 1203" 1.25 3.0 1.60)
("UST 1203" 1.25 4.0 2.70)
;; Zincor 1.50
("UST 1203" 1.50 1.0 0.10)
("UST 1203" 1.50 2.0 0.50)
("UST 1203" 1.50 3.0 1.20)
("UST 1203" 1.50 4.0 2.30)
;; Aluminum 1.00
("AA 5052" 1.00 1.0 0.20)
("AA 5052" 1.00 2.0 0.90)
("AA 5052" 1.00 3.0 1.98)
("AA 5052" 1.00 4.0 2.90)
;; Aluminum 1.60
("AA 5052" 1.60 1.0 0.10)
("AA 5052" 1.60 2.0 0.65)
("AA 5052" 1.60 3.0 1.30)
("AA 5052" 1.60 4.0 2.30)
)
:KEY
(:MATERIAL :THICK :OFFSET_HEIGHT)
)
たとえば 1.25 mm Zincor の場合、このテーブルは、1.0 mm の段曲げに補正値 0.2 mm が必要になることを示しています。
この補正値テーブルには、独自の試料から経験的に得た測定補正値に基づいてカスタム値を追加できます。
補正値計算式
このセクションでは sha_demoshop_func.lsp ファイルにある以下の定義済み計算式について説明します。
DIN に基づいた補正値計算式
固定 K-係数計算式
線形補間法
ロールベンドの補正値計算式
円錐ベンドの補正値計算式
DIN に基づいた補正値計算式
デフォルトで、Creo Elements/Direct Sheet Metal では曲げ、ヘム曲げ、段曲げの一般的な代替方法として、DIN に基づいた補正値計算式が使用されます。また air_bend_allow 関数内でも使用されるため、暗黙のうちにエアベンディング工程と 3 点曲げ工程でも使用されます。この DIN に基づいた計算式の名前は次のとおりです。
Sh_bend_allowance_din
この計算式は、Creo Elements/Direct Sheet Metal を使用しないで生成されたパーツ、または、明示的に定義された曲げ、ヘム曲げ、段曲げ工程がないパーツを正しく平展開するときに使用されます。
これは、Creo Elements/Direct Sheet Metal に付属する sha_demoshop_func.lsp ファイルで詳細に説明されています。この計算式は、以下の DIN 規約にしたがって、中立面の位置 (K_factor) をシートの厚さ (ゲージ) と曲げ半径の関数として計算します。
K_factor = 0.65 + 1/2 * lg radius/thickness
DIN に基づいた補正値計算式のカスタマイズ
DIN に基づいた補正値計算式で使用する K-係数をカスタマイズするには、以下のいずれかの方法を使用します。
係数の 0.65 と 1/2 を、経験的に得た係数に置き換えます。
独自の計算式を作成して適用します。詳細については、「カスタム補正値計算式の作成と適用」を参照してください。
固定 K-係数計算式
この方法は米国で広く使われています。Creo Elements/Direct Sheet Metal では以下の計算式によって実装されています。
Sh_bend_allowance_K_fact
この計算式は、中立面の位置 (K_factor) を、ショップ定義ファイルの材質仕様テーブルの K_FACTOR 列をスキャンして算出します。この列が見つからない場合は、ショップ仕様の K_FACTOR 列を探します。この列も見つからない場合は、デフォルトの K-係数が使用されます。Creo Elements/Direct Sheet Metal に付属のサンプルファイル sha_demoshop_func.lsp では、この係数は 0.4 に設定されています。
固定 K-係数計算式をショップレベルの代替計算式として使用
ショップレベルの代替方法として、デフォルトの Sh_bend_allowance_din 計算式の代わりにこの計算式を適用する場合は、ショップ定義ファイル (sha_demoshop.lsp またはその作業コピー) のブロックを次のように置き換えます。
; fall back strategy for allowance values
:ALLOWANCE_FORMULA sh_bend_allowance_din
by:
; fall back strategy for allowance values
:ALLOWANCE_FORMULA sh_bend_allowance_k_fact
固定 K-係数計算式を特定の工程で使用
直接:
この計算式を所定の工程に適用する場合は、以下のようにその工程の :ALLOWANCE_FORMULA の関数呼び出しを sh_bend_allowance_k_fact 計算式に設定します。
:ALLOWANCE_FORMULA sh_bend_allowance_k_fact
間接:
所定の工程の :ALLOWANCE_FORMULAsha_demoshop_func.lsp ファイルで定義した工程特有の補正値計算方法を指している場合は、このファイルの sh_bend_allowance_k_fact 計算式呼び出しを有効にする必要があります。たとえば、sha_demoshop.lsp ファイルではエアベンディングと 3 点曲げ工程の両方が次のデフォルト補正値計算方法を指しています。
:ALLOWANCE_FORMULA air_bend_allow
sha_demoshop_func.lsp ファイルで air_bend_allow を設定すると、その最初の補正値の代替値、Sh_bend_allowance_din がデフォルトになります。air_bend_allow で固定 K-係数計算式を使用する場合は、以下の手順に従います。
1. sha_demoshop_func.lsp ファイルまたはその作業コピーで、DIN に基づいた補正値計算式の関数呼び出しの先頭にセミコロンを置いてコメントアウトします。結果のテキストブロックを下に示します。
; (sh_bend_allowance_din :sheet_thickness sheet_thickness ;
:bend_radius bend_radius ;
:bend_angle bend_angle ;
:sheet_material sheet_material ;
:tool_id tool_id)
(Sh_bend_allowance_K_fact :sheet_thickness sheet_thickness
:bend_radius bend_radius
:bend_angle bend_angle
:sheet_material sheet_material
:tool_id tool_id)
このように変更した結果、air_bend_allow ステートメントで :ALLOWANCE_FORMULA 関数を呼び出す曲げ工程はどれも、DIN に基づいた補正値計算式の代わりに、固定 K-係数計算式を使用するようになります。
固定 K-係数計算式のカスタマイズ
この計算式をカスタマイズするには、以下のいずれかの方法を使用します。
材質テーブルに対する K-係数列の追加
計算式の K-係数の変更
材質テーブルに対する K-係数列の追加
設計経験上、各種材質に異なる K-係数が適用されるとわかっている場合は、以下の手順に従って、K-係数と固定 K-係数計算式を適用できます。
ショップ定義ファイルの材質テーブルに :K_FACTOR 列を追加します。
適切な曲げ工程テーブルのステートメントに固定 K-係数計算式を指定します。
K-係数列を追加するには
以下の手順に従って、ショップ定義ファイルの材質テーブルに K_FACTOR 列を追加します。
1. 材質テーブルの :COLUMNS セクションで :K_FACTOR 列を宣言します。
2. :COLUMN_NAMES セクションで :K_FACTOR 列の K-FACTOR を指定します。
3. :UNITS セクションで nil を指定します (K-係数には単位がないため)。
4. 材質テーブルの :CONTENTS セクションに :K_FACTOR 列を追加します。
以下の例は、新しく追加した :K_FACTOR 列を含む "シートメタル" 材質テーブルを示しています。
(sha-define-shop-table "sheet_metals"
:TABLE-TITLE "Sheet Metals"
;; :MAT_ID Ident. number/string of the material e.g. "7144-0503"
;; :MATERIAL material description e.g. "UST 1405"
;; :THICK material thickness e.g. 0.88
;; :MIN_BEND_RAD minimum bending radius e.g. 0.4
;; :K_FACTOR fixed k-factor for allowance calc e.g. 0.41
:COLUMNS
(:MAT_ID :MATERIAL :THICK :MIN_BEND_RAD :K_FACTOR)
:COLUMN-NAMES
("Mat Id" "Material" "Thick" "Min Bend Rad" "K-Factor")
:UNITS
(nil nil :mm :mm :nil)
:CONTENTS
(
("8888-0009" "AA 5052" 1.00 0.4 0.38)
("8888-0003" "AA 5052" 1.60 0.4 0.39)
("9999-0477" "UST 1203" 1.00 0.4 0.39)
("9999-0344" "UST 1203" 1.25 0.4 0.41)
("9999-0345" "UST 1203" 1.50 0.4 0.41)
)
:KEY (:MATERIAL :THICK) ; The material key MUST not be changed
; A FLAT-TEXT info is not used
:HELP "sha_sheet_metals"
)
固定 K-係数計算式を指定するには
以下の手順に従って、所定の曲げ工程に固定 K-係数計算式を適用します。
1. 曲げ工程テーブルの :CONTENTS セクションの下で、次のように :ALLOWANCE_FORMULA を指定します。
:ALLOWANCE_FORMULA Sh_bend_allowance_K_fact
2. テーブルからほかの補正値計算式と補正値テーブル仕様をすべて削除します。
計算式の K-係数の変更
設計経験上、0.4 以外の固定 K-係数の方が特定のショップ環境では適切であることがわかっている場合は、0.4 を適切な値に置き換えることができます。たとえば、0.42 という固定 K-係数を適用する場合は、K_factor 引数を次のように編集します。
(setf K_factor 0.42)
線形補間法
sha_demoshop_func.lsp ファイルで説明されている 3 番目の補正値計算方法は、線形補間法です。線形補間法を使用する曲げ工程には、以下が必要です。
呼び出す補間式を指定する :ALLOWANCE_FORMULA 列。sha_demoshop_func.lsp ファイルで定義されている linear_interp 補正値計算式が例として役に立ちます。
追加の値を補間する既存の補正値を含む別の補正値テーブルを指定する :ALLOWANCE_TABLE 列。この補正値テーブルには、材質キー列、ツールキー列、(ツールキーに含まれていない場合) :ANGLE 列、:ALLOWANCE TABLE 列が必要です。:ALLOWANCE TABLE 列は補正値テーブルの最後の列にする必要があります。Bend_fold_allow テーブルが例として役に立ちます。
linear_interp 計算式では、このようなテーブルが見つからなかった場合、sha_demoshop.lsp ファイルの "general_allowances" テーブルを代替テーブルとして使用します。
sha_demoshop_func.lsp ファイルのサンプル計算式 linear_interp は、定義されたテーブル値の範囲外は外挿しません。そのため、補正値テーブルは通常、曲げ角度 0 (曲げなし) と補正値 0 から始めて、最後は、所定のツールの最大許容曲げ角度にする必要があります。
補間式では、まず、シート材質と関連曲げツールの有効な組み合わせを探します。この情報を利用して、角度と角度の間を補間します。この目的のために、以下の関数が使用されます。
特殊な Creo Elements/Direct Sheet Metal 関数
sha-get-shop-tab-entry
sha-rowkey-plist-to-generals-string
sha-table-entry-eq
sha-separate-plist
Creo Elements/Direct Modeling Integration Kit にある関数
sd-get-logical-table-number-of-rows
sd-read-logical-table-row
線形補間法の例は、sha_demoshop.lsp ファイルの "折り曲げ" テーブルにあります。このテーブルの関連セクションを下に示します。
:ALLOWANCE_FORMULA linear_interp
:ALLOWANCE_TABLE "Bend_fold_allow"
これらのエントリから、この工程の補正値計算式の名前が linear_interp であることがわかります。補間に使用する既存の値は bend_fold_allow テーブルから得られます。
線形補間法をショップレベルの代替計算式として使用
ショップレベルの代替方法として、デフォルトの Sh_bend_allowance_din 計算式の代わりにこの方法を適用する場合は、ショップ定義ファイル (sha_demoshop.lsp またはその作業コピー) の次のブロックを、
; fall back strategy for allowance values
:ALLOWANCE_FORMULA sh_bend_allowance_din
次のように置き換えます。
; fall back strategy for allowance values
:ALLOWANCE_FORMULA linear_interp
:ALLOWANCE_TABLE "Bend_fold_allow"
直接:
線形補間法を所定の工程に適用する場合は、以下のようにその工程の :ALLOWANCE_FORMULA の関数呼び出しを linear_interp 計算式に設定し、bend_fold_allow テーブルを指定します。
:ALLOWANCE_FORMULA linear_interp
:ALLOWANCE_TABLE "Bend_fold_allow"
間接:
所定の工程の :ALLOWANCE_FORMULAsha_demoshop_func.lsp ファイルで定義した工程特有の補正値計算方法が指定されている場合は、このファイルの linear_interp 計算式呼び出しと関連 bend_fold_allow テーブルを有効にし指定する必要があります。たとえば、sha_demoshop.lsp ファイルではエアベンディングと 3 点曲げ工程の両方が次のデフォルト補正値計算方法を指しています。
:ALLOWANCE_FORMULA air_bend_allow
sha_demoshop_func.lsp ファイルで air_bend_allow を設定すると、その最初の補正値の代替値、Sh_bend_allowance_din がデフォルトになります。air_bend_allow で線形補間法を使用する場合は、以下の手順に従います。
1. sha_demoshop_func.lsp ファイルまたはその作業コピーで、DIN に基づいた補正値計算式の関数呼び出しの先頭にセミコロンを置いてコメントアウトします。結果のテキストブロックを下に示します。
(sh_bend_allowance_din :sheet_thickness sheet_thickness
:bend_radius bend_radius
:bend_angle bend_angle
:sheet_material sheet_material
:tool_id tool_id)
2. 同じファイルで、線形補間計算式の関数呼び出しからセミコロンを削除して、テキストブロックを以下のようにします。
(linear_interp :sheet_thickness sheet_thickness ;
:bend_radius bend_radius ;
:bend_angle bend_angle ;
:sheet_material sheet_material ;
:tool_id tool_id)
このように変更した結果、:ALLOWANCE_FORMULA ステートメントで air_bend_allow 計算式を呼び出す曲げ工程はどれも、DIN に基づいた補正値計算式の代わりに、線形補間法を使用するようになります。
ロールベンドの補正値計算式
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、roll_bending_allow_din 関数を使用して、角度が 180 度より大きい曲げの補正値を定義します。sha_demoshop.lsp ファイルでは、ロールベンド工程は以下の補正値計算法を指しています。
:ALLOWANCE_FORMULA roll_bending_allow_din
roll_bending_allow_din 関数はツールテーブルから K-係数を取得して、Sh_calculate_bend_allowance_DIN 計算式で使用します。この計算式によって、角度が 180 度より大きい曲げが処理されます。
曲げ工程テーブルにツールがない場合は、以下の手順が適用されます。
1. 指定の材質について曲げ工程テーブルにツールが 1 つしかない場合は、そのツールの K-係数が使用されます。
2. 指定の半径値が曲げ工程テーブルの 2 つの半径値の間にある場合は、K-係数が補間されます。
3. 曲げ工程テーブルに材質が定義されていない場合、または、指定の半径が曲げ工程テーブルの最小半径値と最大半径値の間にない場合、K-係数は以下の順序で決定されます。
a. 材質テーブルの K-係数
b. ショップに定義されたグローバル K-係数
c. すべて失敗した場合は、K-係数として 0.8 を使用
円錐ベンドの補正値計算式
Creo Elements/Direct Sheet Metal では、cone_bending_allow_din 関数を使用して円錐ベンドの補正値を定義します。sha_demoshop.lsp ファイルでは、円錐ベンド工程は以下の補正値計算法を指しています。
:ALLOWANCE_FORMULA cone_bending_allow_din
また、次の計算式が円錐ベンドの代替計算式として定義されています。
:CONE_BEND_FORMULA cone_bending_allow_din
cone_bending_allow_din 関数は、補正値ではなく K-係数を返します。この関数は K-係数をツールテーブルから取得します。
曲げ工程テーブルにツールがない場合は、以下の手順が適用されます。
1. 指定の材質について曲げ工程テーブルにツールが 1 つしかない場合は、そのツールの K-係数が使用されます。
2. 指定の円錐角度値が曲げ工程テーブルの 2 つの円錐角度値の間にある場合は、K-係数が補間されます。
3. 曲げ工程テーブルに材質が定義されていない場合、または、指定の円錐角度が曲げ工程テーブルの最小円錐角度値と最大円錐角度値の間にない場合、K-係数は以下の順序で決定されます。
a. 材質が定義されている場合は、材質テーブルから
b. ショップに定義されたグローバル K-係数
c. すべて失敗した場合は、K-係数として 0.8 を使用
K-係数は工程テーブルで定義され、代替テーブルは DIN 規格を使用して定義されます。したがって、ショップエントリ :K-FACTOR-NORM :DIN:DIN に設定する必要があります。Creo Elements/Direct Sheet Metal の内部処理では ANSI 規格を使用し、ショップの K-係数の値を上の設定に沿って変換しています。
カスタマイズした補正値テーブルと計算式の使用
シートの厚さを基準とした中立面の相対的位置は、以下のようなさまざまな条件によって決定されます。
曲げ工程
材質の厚さ (ゲージ)
板金素材の回転方向 ("しぼ")
材質の表面粗さの特性
材質のグレード
制動方法 (ジグと固定具)
曲げ力
温度
自分の製造環境でこの複雑な条件に最も正確に対処する方法は、試料を使ってその測定結果を補正値テーブルと補正値計算式に反映させることです。サンプルの補正値テーブルは、Creo Elements/Direct Sheet Metal に付属する sha_demoshop.lsp ファイルにあります。結果の長さを計算するサンプル計算式は、sha_demoshop_func.lsp ファイルで詳細に説明されています。TDB 管理者は、組織固有のニーズを満たすために、既存のテーブルと計算式を修正したり、カスタムテーブルと計算式を定義し実装したりできます。
カスタマイズを目的としてこれらのファイルの作業コピーを作成するときは、新しいファイルの名前をカスタマイズファイル (デフォルトの sha_customize ファイルの作業コピー) で指定することを忘れないでください。詳細については、 テクノロジーデータベースの構造を参照してください。
カスタマイズした補正値テーブルの例は、この章ですでに示されています。次のセクションでは、独自の (カスタム) 補正値計算式を作成し適用する際の一般的な手順について説明します。
カスタム補正値計算式の作成と適用
必要に応じて、製造環境で収集した経験的データに基づいて、独自の補正値計算式を作成し適用することができます。一般的な手順は以下のとおりです。
1. Creo Elements/Direct Sheet Metal に付属するサンプルファイル sha_demoshop_func.lsp の作業コピーを作成します。
2. このファイルの中で説明されている定義済み補正値計算式を確認して内容を理解します。
3. sha_demoshop_func.lsp ファイルの作業コピーに独自の補正値計算式を作成します。
4. ショップ定義ファイルの :ALLOWANCE_FORMULA ステートメントで、この計算式の名前を指定します。例については、sha_demoshop.lsp ファイルを参照してください。