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測定モジュールの概念
ここでは、以下のトピックについて説明します。
同期化
ティーチング
計測結果の評価
視覚化
このモジュールのユーザタスク情報については、 測定モジュールの使用 2を参照してください。
同期化
同期化を行う主な目的は、測定プロセスと設計プロセスを平行して実行できるようにすることです。このプロセスでは、測定プロセスにおいて作成された情報を マスタ モデル (設計モデル) と結合させます。
同期化では、システムは計測計画に含まれる全ての情報をマスタ モデルと結合します。つまり、グループおよび計測点は基本的にマスタモデルへと転送されます。グループはシンプルなグループとして作成され (可変グループのサポートはない)、シーケンス情報とローカルの座標系情報が含まれます。計測点には、位置度、インデックス、およびシーケンス情報が含まれます。
同期化では、新しい公差または Annotation をマスタ モデルへ転送することは できません。たとえば、測定エンジニアが新しい GDT 公差を作成する場合、CSV ファイルにはこの公差の測定情報が含まれます。しかし、このファイルが マスタ モデルと同期化されるとき、GDT 公差がマスタ モデルに存在していないため、この公差の同期化は行われません。測定エンジニアが実行できるのは、新しいグループ および計測点をマスタモデルのコピー ファイルに作成することのみです。この 2 つ の項目以外についても、新しいエンティティを作成できるタイプはなく、マスタモデルへも転送されません。特定のエントリの処理が失敗すると、その エントリはログ ファイルに記録され、処理がスキップされて次のエンティティへ移ります。
測定エンジニアは、設計エンジニアが保有しているマスタ モデルの同期化を定期的に行う必要があります。これを実行するためには、計測計画をエクスポートして目的の モデルとの同期化を行います。
同期化ファイルをインポートすると、測定エンジニアが入力したデータと マスタモデルの現在のデータとの間には必然的に不一致が生じます。したがって、これらの不一致を解決する判定が必要になります。エラーが発生すると、同期化レポートが生成され、処理できなかった Annotation (インデックス番号で通知)、および不一致が解決された理由と方法が詳細に説明されます。このレポートは HTML ファイル形式です。不一致を解決する試みは常に実行されますが、同期化プロセスは複雑なため、発生した問題が常に完璧に解決できるわけではありません。
同期化のインポートでは、マスタの設計モデルにはもはや存在しない Annotation に対応する計測点は無視されます。これは、それらの計測点が現在では利用されていない 可能性が高いからです。
測定エンジニアのモデルと設計エンジニアのモデルは一致していない可能性があるため、設計モデルに保存されている計測点インデックスと外部ファイル中の計測点 インデックスとを、注意深く比較することが必要です。設計モデル内にインデックスされた計測点が外部ファイルに存在していない場合、それらの点は 使用されていない可能性が高いため、設計モデルから削除することができます。また、計測点が外部ファイルには存在していても設計モデル内には存在しておらず、そのインデックス番号が設計モデル内で最も大きいインデックス番号よりも小さい場合は、その計測点も利用されていない可能性が高いので無視できます。しかし、ある計測点が設計モデルにも外部ファイルにもインデックスされている場合、または設計モデルには今まで存在していなかった明らかに新しい計測点である場合は、設計モデルを更新して新しいデータを取り込む必要があります。
ティーチング
ティーチングは、製造されたパーツ上の実際の測定点の位置にしたがって、設計モデル上の計測点の位置を更新するプロセスです。たとえば、測定エンジニアが指定した 計測位置が測定者にとって測定不可能な位置だった場合は、測定者はこの位置を調整せざるを得ません。このとき、ティーチング プロセスを使用すれば、設計モデル上の計測点を更新することができます。
計測計画を初めてエクスポートするときは、全ての計測点はティーチング未実行としてマークされます。ティーチングが行われた後は、2 番目以降のエクスポート の CSV ファイルにおいて、ティーチング実行済みの計測点がティーチング済みとマークされます。測定者は、ティーチング未実行とマークされた全ての 計測点は、以下のいずれかであると判断できます。
まだ処理されていない (すなわち、計測計画における新しい計測点である)。
今までにティーチングが一度も行われたことがない。
CSV ファイルのエクスポート時、システムは CSV ファイル内に自動的にシンボリックリンクを作成します。これにより、同じティーチング済みの点が多くの位置で使用され ていても、測定者は CSV ファイルにティーチング済みの点を一度入力するだけで済みます。シンボリック リンクが無効になっている場合、CSV ファイル内で リンクは働かず、各フィールドは別個のエントリとして扱われます。
計測結果の評価
データの生成
CSV ファイルに測定結果がすべて入力されたら、このファイルを Creo Elements/Direct Modeling にロードして、測定データの結果を視覚的に表示できます。測定データには、CSV ファイルに指定されている各計測点の測定位置や測定値が含まれます。適用可能な 場合、必要な全ての公差に対して単一の測定値が与えられることもあります。
測定者は、測定結果を含めるためにファイルを更新します。
結果データは、外部ファイルに入力する代わりに、測定モジュールへ直接入力する ことも可能です。これは測定モジュールのグラフィカルブラウザによって実行できます (右クリックメニューから対応するコマンドを選択)。しかし、そのように入力されたデータは保存されず、単一セッションの間だけ存在するにすぎません。この方法は、Creo Elements/Direct Modeling を使用して Annotation を識別しながら計測データを収集する際に便利です。この計測データを保存するには、外部ファイルに書き込む 必要があります。
評価のためのインポート
CSV ファイルが評価のために測定モジュールに読み込まれると、システムはグループをさまざまなカテゴリに編成する評価の一覧を表示します。ユーザの必要に応じて、データは計測グループや制限グループに編成できます。新しい外部ファイルをロードすると、それより以前にロードされた全ての測定データが上書きされます。制限グループには、計測値がその公差に応じて指定された割合の範囲内 にある Annotation が収集されます。これらの割合 (すなわち、範囲の値および 特定の上段/下段の範囲) は、測定モジュールで設定可能です。
視覚化
評価が実行されると、面はその公差の範囲に応じて色付けされます。たとえば、デフォルトでは、設計制限の 100% を超過する全ての公差は赤色で表示されます。また、その Annotation に属する全ての面も赤色で表示されます。
デフォルトでは、制限グループにそれぞれ色が割り当てられています。色は、指定から大きく外れている面、公差、および計測点を視覚化するために使用されます。通常、赤などの色は大きい誤差を示し、緑色に近づくに従って小さい誤差を示すようになります。
視覚化の設定は以下のように変更できます。
色コードはカスタマイズできます (無効な公差のための色コードも指定できます)。境界値を追加および削除してカスタマイズします。
評価において、下公差、上公差、または両方 (完全な計測) を考慮するかどうかの 指定も可能です。最初の 2 つのオプションを選んだ場合、エンティティに適用 できるのは単一の色のみのため、測定エンジニアは上公差および下公差を超過する 計測を識別できなければなりません。公差タイプのデフォルト設定は、上段 & 下段です。
ユーザ インターフェイスでは、データム桁数の指定が必要になります。これは、計測点がデータムを定義するときの位の数で、変化はしますが常に指定の 範囲内に考慮されます。
ユーザ インターフェイスによって制御された設定が適用されると、制限の色は Annotation に応じて面に適用され、ビューポートに表示されます。面が複数の 計測 Annotation によって参照される場合は、最も誤差の大きい Annotation に適用される色が使用されます。色は、新しいコマンドが開始されるまでビューポートに 表示されます。
計測の評価が行われている間は、制限の色はグループの一覧に表示される Annotation にも適用されます。
計測点を視覚化すると、測定エンジニアは指定範囲内でない箇所を認識できます。計測点は矢印で表現され (特定の色で表示されます)、矢印は面から計測方向に 伸びます。線の長さは、点の誤差率に比例します (全ての線には設定可能なグローバル倍率が適用されます)。各矢印には、計測点インデックスが付帯しています。計測点の表示は、グラフィカルな計測一覧から開始でき、表示する計測点の数も制御できます。
ユーザ定義の範囲は、読み込み中に自動的にロードされるカスタマイズファイルによって定義できます。