高度な操作方法
このセクションでは、Creo Elements/Direct Modeling の上級ユーザ向け機能について説明します。
ツールボックスの操作
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Creo Elements/Direct Modeling の終了後も消去されない恒久的なツールボックスを作成するには、カスタマイズファイルにボタンを定義する必要があります。
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ツールボックス ( > ) を使用すると、各自の作業方法に合わせて Creo Elements/Direct Modeling をカスタマイズできます。例えば、コマンドを起動するボタンや、メニューをオープンするボタンを追加することができます。頻繁に使用するボタンをツールボックスに追加することによって、同じ場所からさまざまな操作にすぐにアクセスできます。ボタンを追加するには、コマンドやメニューの正確な名前を知らなければなりません。
このセクションでは、次の内容について説明します。
ツールボックスにボタンを追加する手順
1. 画面の上部で > をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling に、ボタンを追加できる空のツールボックスが表示されます。
2. ユーザ入力ラインで ADD_TOOLBOX_BUTTON と入力し、Enter キーを押します。
3. コマンドまたはメニューを指定します。:ACTION と入力し、次の 2 つの方法のいずれかを使用します。
◦ コマンド名を二重引用符 ("") ので囲んで入力します (例: "POLYGON")。
◦ メニュー名を "(SHOW-WID \"MenuName\")" という構文で囲んで入力します (例: "(SHOW-WID \"MACHINE-DS\")")。
4. ボタンのラベルを指定します (ボタン上には 12 文字まで表示可能です)。まず、:LABEL と入力し、それから ボタンラベルのテキストを二重引用符 "" で囲んで入力します (例: "My Polygon")。
5. をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling により、ツールボックスにボタンが追加されます。このボタンをクリックすると、対応するコマンドが起動されるか、またはメニューが表示されます。
例: ツールボックスへのボタンの追加と削除
この例では、次の3つのボタンをツールボックスに追加します。
My Polygon | 多角形の操作を起動します。 |
My Machine | マシニングメニューを表示します。 |
My Extrude | 押し出し操作を起動します。 |
その後で、My Extrude ボタンをツールボックスから削除します。
1. 画面の上部で > をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling に、ボタンを追加できる空のツールボックスが表示されます。
2. My Polygon ボタンをツールボックスに追加します。
a. ユーザ入力ラインで ADD_TOOLBOX_BUTTON と入力し、Enter キーを押します。
b. コマンド名を指定します。:ACTION "POLYGON" と入力して Enter キーを押します。
c. ボタンのラベルを指定します。:LABEL "My Polygon" と入力して Enter キーを押します。
d. をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling により、「My Polygon」ボタンがツールボックスに追加されます。
3. My Machine ボタンをツールボックスに追加します。
a. ユーザ入力ラインで ADD_TOOLBOX_BUTTON と入力し、Enter キーを押します。
b. メニュー名を指定します。:ACTION "(SHOW-WID \"MACHINE-DS\")" と入力して Enter キーを押します。
c. ボタンのラベルを指定します。:LABEL "My Machine" と入力して Enter キーを押します。
d. をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling により、「My Machine」ボタンがツールボックスに追加されます。
4. My Extrude ボタンをツールボックスに追加します。
a. ユーザ入力ラインで ADD_TOOLBOX_BUTTON と入力し、Enter キーを押します。
b. コマンド名を指定します。:ACTION "EXTRUDE" と入力して Enter キーを押します。
c. ボタンのラベルを指定します。:LABEL "My Extrude" と入力して Enter キーを押します。
d. をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling により、「My Extrude」ボタンがツールボックスに追加されます。
5. My Extrude ボタンをツールボックスから削除します。
a. ユーザ入力ラインで REMOVE_TOOLBOX_BUTTON と入力し、Enter キーを押します。
b. ボタンのラベルを指定します。:LABEL "My Extrude" と入力して Enter キーを押します。
c. をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling により、「My Extrude」ボタンがツールボックスから削除されます。
ツールボックス内のボタンをクリックすると、コマンドが起動されるか、または対応するメニューが開きます。
ツールボックスからボタンを削除する手順
1. 画面の上部で > をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling にツールボックスが表示されます。
2. ユーザ入力ラインで REMOVE_TOOLBOX_BUTTON と入力し、Enter キーを押します。
3. 削除するボタンを指定します。:LABEL と入力して、ボタンラベルのテキストを二重引用符 ("") で囲んで入力します (例: "My Polygon")。
4. をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling により、ツールボックスからボタンが削除されます。
ツールボックスの高さの最大値を設定する手順
1. 画面の上部で > をクリックします。Creo Elements/Direct Modeling にツールボックスが表示されます。
2. ユーザ入力ラインで SET_TOOLBOX_MAX_HEIGHT と入力し、Enter キーを押します。
3. ユーザ入力ラインで :height と入力し、Enter キーを押します。
4. ユーザ入力ラインに、ツールボックスに表示する ボタンの行の最大数を入力します。
5. をクリックします。表示可能なボタン数 (最大行数の 2 倍) よりも多くのボタンがある場合、Creo Elements/Direct Modeling は水平スクロールバーを追加して、残りのボタンの表示とクリックを可能にします。
カスタマイズファイルを使用して恒久的なツールボックスを作成する手順
Creo Elements/Direct Modeling の終了後も消去されない恒久的なツールボックスを作成するには、カスタマイズファイルにボタンを定義する必要があります。そのためには、ファイル sd_customize を作成し、その中にボタンの構文を指定します。ファイルの作成は、Creo Elements/Direct Modeling をロードする前でも、Creo Elements/Direct Modeling のセッションの中でも行うことができます。
1. > の順にクリックします。ファイル一覧が開きます。
2. ファイル名 sd_customize を指定します。Creo Elements/Direct Modeling にファイルの内容が表示されます。
3. エディタを使用して、ツールボックスボタンを定義する行を追加します。コマンドボタンは、次の形式で定義します。
ADD_TOOLBOX_BUTTON :ACTION "CommandName" :LABEL "LabelName" COMPLETE
メニューボタンは、次の形式で定義します。
ADD_TOOLBOX_BUTTON :ACTION "(SHOW-WID \"MenuName\")" :LABEL "LabelName" COMPLETE
表示できるボタンラベルは 9 文字から 12 文字です (均等割り付けによります)。
カスタマイズファイルは、次に Creo Elements/Direct Modeling を起動したときに Creo Elements/Direct Modeling によって自動的にロードされます。Creo Elements/Direct Modeling を終了せずにカスタマイズファイルをロードするには、次の操作を行います。
1. ユーザ入力ラインで (LOAD "sd_customize") と入力し、Enter キーを押します。
ADD_TOOLBOX_BUTTON :ACTION "POLYGON" :LABEL "My Polygon" COMPLETE
ADD_TOOLBOX_BUTTON :ACTION "(SHOW-WID \"MACHINE-DS\")" :LABEL "My Machining" COMPLETE
ADD_TOOLBOX_BUTTON :ACTION "EXTRUDE" :LABEL "My Extrude" COMPLETE
連続マウスのカスタマイズ
ウィンドウマネージャで Control ボタンとマウスボタンに割り当てられた機能がある場合、ウィンドウマネージャまたはマウスの連続変換を再構成する必要があります。
マウスの連続変換を再構成するには、次の行をファイル .Xdefaults または VUE リソースファイルに追加します。
Creo Elements/Direct Modeling*TopLevelShell.XmForm.XmDrawingArea.translations: #override \n\
Ctrl<Btn1Down>: start-dynamic-vp()
\n\
Ctrl<Btn2Down>: start-dynamic-vp()
\n\
Ctrl<Btn3Down>: start-dynamic-vp()
\n\
<Btn2Down>: Lispstr(complete)
\n\
<Btn3Down>: Lispstr(complete)
\n\
Ctrl<Btn1Motion>: translate-x-y-vp()
\n\
Ctrl<Btn2Motion>: rotate-x-y-z-vp()
\n\
Ctrl<Btn3Motion>: zoom-vp()
\n\
Break: Lisp(user-break t)
\n\
<Key>: send-to-enter()
Ctrl を別のキー (Shift + Mod1 など) に置き換えることができます (新しい修飾キーを照会または定義するには、X クライアントの xmodmap を使用します)。たとえば、ファンクションキー [F8] を Mod5 として定義するには、次のようにします。
xmodmap -e 'add Mod5 = F8'
LISP 関数をカスタマイズするには
- (set-dyn-mouse-zoom-factor factor)
with factor = any number
Default: 5
- (set-dyn-mouse-rotation-amount degree)
with degree = any number
Default: 360
- (set-dyn-mouse-z-rotation-boundary circle)
0 < circle < 1
Default: 0.8 = 80 % Circle
LISP 関数の連続ビューのカスタマイズ
連続ビューのカスタマイズのための LISP 関数は、次のとおりです。
(set-dynamic-redraw-mode :wire)
または、
(set-dynamic-redraw-mode :edged)
または、
(set-dynamic-redraw-mode :shaded)
または、
(set-dynamic-redraw-mode :default)
デフォルトモードは、"稜線 (:edged)" および "陰影 (:shaded)" です。モードを "ワイヤ (:wire)"、"稜線 (:edged)" または "陰影 (:shaded)" にすると、表示が速くなります。
3D 注記インターフェイスのカスタマイズ
次のカスタマイズルーチンを使用して、ほかの 3D 注記カテゴリを登録できます。デフォルトで、3D 注記メニューには、スタートアップ時に次の 3D 注記カテゴリが あります。
• 全般
• 設計
• 製造 (Mfg.)
• 検査
これらのデフォルトの設定を変更、追加、または削除するには、次のカスタマイズファイルにこの関数の呼び出しを含めることをお勧めします。
personality/sd_customize/DESIGNINFO/diff_customize
このファイルは、Creo Elements/Direct Modeling により自動的に読み込まれます。
「3D 注記」ダイアログボックスを開くには、3D Documentation モジュールをアクティブ化します。「3D Documentation」をクリックしてから「注釈」グループで 「注記」をクリックします。
• 使用方法
(cust_feat:register-3d-note-category :<category>
:label <label>
:selection <select-focus>
:delete <t/nil>)
カテゴリ[キーワード] | 3D 注記インターフェイスに追加する新しい 3D 注記カテゴリ |
ラベル[文字列] | 3D 注記インターフェイスに表示する新しいカテゴリのラベル |
選択[選択焦点] | このカテゴリの 3D 注記を付加できる、使用可能な選択焦点のタイプ |
削除[ブール値] | t を指定すると、3D 注記インターフェイスに表示される使用可能なカテゴリから指定したカテゴリが削除されます。 |
• 例 1:
次のルーチンにより、Body Note というラベルが付いた新しい「3D 注記」カテゴリが追加されます。これにより、このカテゴリの 3D 注記だけをパーツまたはアセンブリに付加できます。
(cust_feat::register-3d-note-category
:category
:body-note
:label "Body Note"
:selection '(oli:*sd-part-seltype* oli:*sd-assembly-seltype*))
• 例 2:
次のルーチンにより、製造 (Mfg.) 注記カテゴリが「3D 注記」メニューから削除されます。
(cust_feat::register-3d-note-category :category :mfg :delete t)
LISP での定義式の評価
ダイアログでの定義式の直接使用については、
数式の使用を参照してください。このセクションでは、LISP マクロファイルとユーザ入力ラインでの定義式の使用方法を説明します。
定義式とは、一般に数式と呼ばれるものです。式 (公式) は、数値、文字列、変数、関数、および演算子から構成できます。式を評価すると1つの結果が得られます。たとえば、単純な 1+1 という式を評価すると、2 という結果が得られます。
LISP 式は前置表記法 (演算子を引き数の前に置く表記法) で指定します。たとえば、有効な式は 1+1 ではなく (+ 1 1) です。次の表に、一般によく利用される式とその例を示します。
| 角度に基づく式 (sin、cos、tanなど) には、ラジアン単位の値を使用します。 |
Creo Elements/Direct Modeling の式 (例は小数点以下 2 桁まで)
式 | 意味 | 例 |
---|
(* 数値 数値) (+ 数値 数値) (- 数値 数値) (/ 数値 数値) | 乗算 加算 減算 除算 | (* 12 5 4) [240] (+ 10 20 45) [75] (- 100 5 75) [20] (/ 100 5 2) [10] |
pi | π (円周率) の近似値 | |
(SIN 数値) (COS 数値) (TAN 数値) | 引数の正弦 (sin) 引数の余弦 (cos) 引数の正接 (tan) | (SIN (/ pi 2)) [1] (COS (* pi 2)) [1] (TAN (/ pi 4)) [1] |
(ACOS 数値) | 余弦が引数に等しくなる角度の主値 | (ACOS 1) [0] |
(ASIN 数値) | 正弦が引数に等しくなる角度の主値 | (ASIN 0) [0] |
(ATAN 数値) | 正接が引数に等しくなる角度の主値 | (ATAN (/ pi 2)) [1.00] |
(SQRT 数値) | 引数の平方根 | (SQRT 144) [12] |
補助アプリケーション用の出力ファイルの作成
補助アプリケーション専用に構成された出力ファイルを Creo Elements/Direct Modeling から作成できます。IGES を 標準として使用して、「IGES 保存」オプションボックスに記入するデフォルトの方式を設定できます。
「ファイル」メニューに追加のユーザインターフェイスボタンを追加すれば、各補助アプリケーション用の出力ファイルの作成をさらに容易にすることができます。
補助アプリケーション用のボタンを作成する手順
1. > の順にクリックします。ファイル一覧が開きます。
2. ファイル名 sd_customize を指定します。Creo Elements/Direct Modeling にファイルの内容が表示されます。
| Creo Elements/Direct Modeling 環境下のディレクトリ personality/partners には、事前定義された構成ファイルが含まれています。 |
3. エディタを使用して、次のような行をファイルに追加します。
(register-iges-output-button "my application name"
"myapplicationname.cfg"
"myapplicationname.igs")
最初のパラメータは、ボタンの名前を指定する行です。第 2 パラメータは構成ファイルの名前、最後のパラメータは IGES 出力ファイルの名前です。
表示できるボタンラベルは 9 文字から 12 文字です (均等割り付けによります)。
カスタマイズファイルは、次に Creo Elements/Direct Modeling を起動したときに Creo Elements/Direct Modeling によって自動的にロードされます。
4. 次の手順で、アプリケーション用に作成する出力ファイルのデフォルトの設定をセットアップします。
a. 「外部」メニューの新しいボタンをクリックします (「ファイル」内)。
b. 「IGES 保存」オプションボックスで、名前を変更するか、パラメータを設定します。
c. 「IGES 保存」オプションボックスの「構成保存」をクリックして、この設定をデフォルトの設定として保存します。
これにより、「IGES 保存」オプションボックスは、新しいボタンをクリックして補助アプリケーション用の出力ファイルを作成するときに、常に上の手順で指定したデフォルトの設定を表示するようになります。テキストエディタでも構成ファイルを編集することができます。この方法を使うと、ユーザインターフェイスには表示されない 構成スイッチにもアクセスできます。
補助アプリケーションの出力ファイルを作成する手順
1. スクリーンの上部、またはメニューバー内の「ファイル」をクリックします。
2. 「外部」をクリックします (「ファイル」内)。
3. 「外部」メニューに追加した補助アプリケーションボタンをクリックします。Creo Elements/Direct Modeling は、「IGES 保存」オプションボックスを表示し、ボタン作成時にセットアップされたデフォルトの設定を表示します。