ベンドテーブルについて
ベンドテーブルは、円弧を持つジオメトリにベンドを作成するために必要な、平らな材料の展開長さのベンド許容の計算を制御します。展開長さは、材料のタイプ、厚み、およびベンド半径に依存します。任意の数のベンドテーブルを部品にコピーできますが、一度に部品に指定できるベンドテーブルは 1 つだけです。指定されたベンドテーブルに関連付けされているすべてのフィーチャーは、再生時に更新されます。基板セグメントの作成時に異なるベンドテーブルを指定することによって、フィーチャー固有のベンド許容を作成することもできます。
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注記 円錐や円柱など、さまざまな半径を持つベンドには、Y 係数または K 係数を使用して展開長さを計算します。
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Machinery’s Handbook (第 28 版) には、90 度ベンド用として、次の 3 つの標準的なベンドテーブルが記載されています。
テーブル
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材料
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Y 係数
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K 係数
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テーブル 1
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軟質黄銅、銅
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0.55
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0.35
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テーブル 2
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硬質黄銅、銅、柔鋼、アルミニウム
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0.64
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0.41
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テーブル 3
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硬銅、青銅、冷延鋼板、ばね鋼
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0.71
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0.45
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カスタマイズしたベンドテーブルを作成して、上記以外の材料や展開長さの計算方法を指定することもできます。独自のベンドテーブルのライブラリを作成する場合、コンフィギュレーションオプション material_upd_boardbend_table <フルディレクトリパス> を使用して、ファイルパスを設定できます。ベンドテーブルには、次の情報が含まれています。
• 式 - 計算と論理文を使用して、ベンド許容値と展開長さ値を制御します。式 L = (Π/2 x R + Y 係数 x T) Θ/90 は Creo Parametric によって定義され、テーブルデータの範囲外の半径と厚みの値にのみ使用されます。
• テーブルデータ - 半径と材料厚みの値、およびそれに対応するベンド許容または展開長さのリストです。ベンドテーブルは、1 列 x 1 行以上で構成されている必要があります。ベンドテーブルのすべてのセルにベンド許容データを挿入する必要はありません。テーブルに値がない場合は、そのデータが自動的に補間されます。ベンドテーブルの式を適用するだけの場合には、設計に使用されていないデータを含めます (半径 = 1000、厚み = 1000)。必ず 90 度ベンドのテーブルデータを指定する必要があります。90 度以外のベンドでは、値にΘ/90 を掛けます。Θは特定のベンド角度 (単位は度)です。
• 材料データ - ベンドテーブルを適用できる材料をリストします。部品の材料タイプがこのリストに記載されていない場合は、警告メッセージが表示されます。使用する材料は、開始材料と終了材料の間に記載されている必要があります。材料は、最初の列に、1 行に 1 項目ずつ大文字で入力してください。
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注記 材料データリストでは、大文字と小文字が区別されます。部品の材料タイプは、材料データリストのタイプと一致させる必要があります。
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• 変換方程式 - ベンドテーブルのベンド許容値を使用して、展開長さを計算します。たとえば、変換方程式 L = 2 * (T + R)-A では、次の例に示すようにベンド許容値に対して調整が行われます。指定した厚みとベンド半径の値がテーブルデータの範囲内にあるがテーブルには表示されていない場合、テーブルのベンド許容値を補間することで、これに相当するベンド許容値が計算されます。詳細については、ベンド許容値の計算に使用される補間方法についての以下の説明を参照してください。変換方程式が定義されていない場合、展開長さはベンド許容値と等しくなります。半径と厚みの値がテーブルデータの範囲外にある場合、ベンドテーブルは無視され、Creo Parametric によって定義される式が使用されます。
次の例に、一定のベンド角度範囲に適用される方程式を示します。
0 < ANGLE < = 90 の場合、既知のパラメータを使用して展開長さが計算されます。
SFLAT = X + Y - A
次は既知です。
X = T + R + b
SFLAT = a + b + L
代入すると次の式になります。
a + b + L = (T + R + a) — A
すなわち、
変換方程式は次のようになります。
L = 2 * (T + R) — A
ここで
T = 厚み
ANGLE = ベンド角度
R = ベンド半径
A = ベンド許容
SFLAT = X + Y - A、ここで SFLAT はストリップ全体の長さ
展開長さの計算に使用される既知のパラメータは次のとおりです。
X = T + R +b
Y = T + R + a
SFLAT = a + b + L
代入すると次の式になります。
a + b + L = (T + R + b) + (T + R + a) - A
OR
L = 2 * (T + R)-A これは変換方程式です。
例として、Creo Parametric による式の定義と補間での変換方程式の使用を次のプログラムに示します。
FORMULA
IF R<=2
IF ANGLE > 0 & ANGLE < 90
L = (ANGLE * PI/180) * (R + T/2)
L = (ANGLE * PI/180) * (R + T/2)
ENDIF
IF ANGLE >= 90 & ANGLE < 180
L = (ANGLE * PI/180) * (R + T/3)
ENDIF
ENDIF
IF R>2
L = (ANGLE * PI/180) * (R)
ENDIF
END FORMULA
!
CONVERSION
IF ANGLE > 0 & ANGLE <=90
L = 2 * (T + R) - .4285 * A
ELSE
L = 2 * (T + R) - .3567917 * A
ENDIF
END CONVERSION
ベンド許容の計算に使用される補間方法での方程式を次に示します。
A1,1*(Ty-T0)*(RY-R0) + A0,1*(T1-Ty)*(Ry-R0) + A1,0*(TY-T0)*(R1-RY) + A0,0*(T1-TY)*(R1-RY)
Ay = --------------------------------------------------------------------------------------------------
(T1-T0)*(R1-R0)
ここで
A0,0 は T0,R0 の許容値
A1,0 は T1,R0 の許容値
A0,1 は T0,R1 の許容値
A1,1 は T1,R1 の許容値
上の例では、T0 < Ty <T1 かつ R0 < Ry < R1 になります。
T0 = T1 = Ty の場合、次の式を使用できます。
A1,1 (Ry-R0) + A1,0 (R1-Ry)
Ay = -----------------------------
(R1 - R0)
上の例では、A1,0 = A0,0 かつ A1,1 = A0,1 になります。
R0 = R1 = Ry の場合、次の式を使用できます。
A1,1 (Ty -T0) + A0,1 (T1-Ty)
Ay = ------------------------------
(T1 -T0)
上の例では、A0,0 = A1,1 = A1,0 になります。
ここで
T = 厚み
R = 半径