シンボリックエンジン
PTC Mathcad では数値計算のほかに、変数や数学記号を含むシンボリック式の演算を実行することもできます。PTC Mathcad は記号形式で結果を返します。
関数のシンボリック評価は、ソルブブロック内ではサポートされていません。
シンボリック計算では、式は数値評価演算子 (=) ではなく、シンボリック評価演算子 (→) を使用して評価されます。標準の PTC Mathcad 演算子のすべて、および多数の組み込み関数がシンボリックに評価できます。
式をシンボリック評価するメリットは次のとおりです。
• 数値評価とは異なり、シンボリック評価では変数に値を割り当てることなく式を評価できます。
• シンボリック評価の結果により、数値評価の結果には表れない変数同士の関係が明らかになります。
• シンボリック計算では、数値計算では不可避である丸めによる誤差が出ません。
例
シンボリック計算の例は、次のとおりです。
シンボリック計算と数値計算の結果比較
式をシンボリックに評価すると、等号を使用して同じ式を評価するよりも正確な場合があります。違いを次の 2 つの例で示します。
• 分数の足し算の近似は次のようになります。
等号を使用して評価した 1 つ目の結果は、2 つの分数の和を数値的に近似したものになります。表示桁数は、そのときの「表示精度」の設定によって異なります。シンボリック評価演算子を使用して評価した 2 つ目の結果は、厳密解です。この場合は差があまりありませんが、別の問題では、シンボリック評価の結果は等号を使用して評価した結果よりもはるかに正確です。
• 組み込み定数の近似は次のようになります。
PTC Mathcad では、定数 π は π の近似であり、厳密値ではありません。したがって、sin(π) の数値的評価ではその近似が使用され、実際のところ結果はその sin になります。これは、sin のバグではなく、実数を近似する際には起こることです。
シンボリック計算における単位
PTC Mathcad のシンボリック計算では、単位は未定義変数名として扱われます。同じ単位でないかぎり、同じ量の単位が結合されることはありません。
