オプションの修飾子 (ISO)
使用可能なオプション
1. 「突出公差域」(Projected Zone) - 公差域が
ワークピースサーフェスの上側/外側に突出していることを示す
突出公差域シンボル Ⓟ が追加されます。このオプションを選択した場合、公差域の最小高さも入力する必要があります。突出公差域が使用されている場合、公差が指定されている
サイズ形体(通常は穴) の方向偏差は制限されますが、穴の位置偏差は制限されません。
2. 「自由ステート」(Free State) - 非拘束状態で
幾何公差が適用されることを示す
自由ステート修正子 Ⓕ が追加されます。この修正子は、拘束状態で公差が指定されていることを示す注記がある非剛体部品にのみ適用できます。
3. 「共通公差域」(Common Zone) - 複数のサーフェスに適用される幾何公差の公差域に、指定されたサーフェスに同時に適用される共通公差域がその幾何公差によって確立されることを示す
共通公差域修正子
CZ が追加されます。
4. 「非凸状」(Not Convex) - 公差が指定されているサーフェスに完全平面度からの凹状偏差だけがあることを示す
非凸状修正子NC が公差枠に追加されます (ISO 1101:2012 でのみ使用可能)。
5. 「指定済みオフセット」(Specified Offset) - 輪郭度公差に指定されたオフセットがあることを示す、指定済みオフセット修正子 UZ を追加します。このオプションを選択した場合、指定した値は理論上の輪郭のオフセットを表し、オフセットの方向は符号によって示されます。"+" 符号は "材料の外側方向" を示し、"-" 符号は "材料の内側方向" を示します。
選択するオプションの決定方法
Ⓟ シンボルは、主にねじ切り穴や圧入穴の直角度の偏差によってファスナー (ねじ、スタッドなど) が合致部品と干渉する可能性がある場合に使用します。固定ファスナーでは、(ねじ切りまたは圧入) 穴によってファスナーの位置と方向が決まります。位置公差域でファスナーが傾斜している場合、干渉が生じることがあります。
Ⓕ シンボルは、主に
非剛体部品の形体に対して使用します。非剛体部品であることは、データセット内に
拘束注記を追加することで示されます。拘束注記が存在する場合、すべての寸法が拘束状態で測定されます。拘束なしで公差を適用することを示すには、自由状態修正子を
公差枠内に指定します。
修正子 CZ は、主に CAD モデル内に 1 つのサーフェスとして機能する複数のサーフェス (同一平面上の複数の平面など) がある場合に使用します。たとえば、同一平面上の複数の平面サーフェスに平面度が適用されている場合、修正子 CZ によって、平面度要件に加えて同一平面要件が適用されます。
修正子 NC は凸状偏差が許容されない場合に使用します。修正子 NC を使用した場合、公差が指定されているサーフェスは完全平面度からの凹状偏差のみが許容されます。公差が指定されているサーフェスの最高点は、実際のサーフェスの外辺部付近に存在しなければなりません。この修正子は ISO 1101:2017 では除去されていることに注意してください。
修正子 UZ は、サーフェスの実際の輪郭からオフセットされた輪郭度公差域を定義する必要がある場合に使用します。実際の輪郭を中心にした位置から公差域をオフセットする機能的な理由がないかぎり、この修正子を使用しないでください。