スプールの作成
スプールはワイヤ、ケーブル、被覆の各種パラメータを定義します。ケーブリング設計でワイヤ、ケーブル、または被覆をルーティングする前に、各タイプのスプールを定義するか使用可能でなければなりません。ケーブリングではスプール情報に基づいて 3D グラフィック表示の作成と再生が行われます。
「電気パラメータ」(Electrical Parameters) ダイアログボックスでスプールの作成と修正を行えます。ワイヤ、ケーブル、または被覆がルーティングされた後でスプールパラメータに対して行われた更新は、3D グラフィック表示モデルが再生された後で反映されます。
Creo Schematics からのスケマティック情報を使用してワイヤ、ケーブル、または被覆をルーティングする際には、スプールが自動的に作成されます。自動的に作成されたスプール情報を修正すると、2D 論理データと 3D 設計間に不一致が生じます。このような不一致が生じないようにするため、PTC は Creo Schematics で変更を行ってから情報を再インポートすることをお勧めします。論理データを再インポートすると、スケマティックで定義されている情報に従ってスプール情報がリセットされます。
スプールパラメータ
次の表にはすべてのシステムスプールパラメータがリストされています。この表には、各タイプのスプールに必須のパラメータ、オプションのパラメータ、推奨されるパラメータもリストされています。特定の要件を定義するユーザー定義パラメータも追加できます。
R = 必須
O = オプション
RD = 推奨
パラメータ
説明
ワイヤ
ケーブル
ケーブル導線
被覆
NAME
スプールの名前。
R
R
R
TYPE
スプールのタイプ。
WIRE
PREFAB
SHEATH
MIN_BEND_RADIUS
ケーブルまたは被覆をルーティングする際の最小ベンド半径を設定します。
ケーブルスプールパラメータ DEFINE および ENDDEF とともに使用して導線を定義した場合、このパラメータの値は DEFAULT_COND_BEND_RAD パラメータの値をオーバーライドします。
R
R
O
O
THICKNESS
ケーブルのタイプが WIRE または ROUND の場合はケーブルの直径、FLAT の場合はケーブルの厚み。
この値は、位置を配置する際にケーブルの中心線をサーフェスからオフセットするときに使用します。
ケーブルスプールパラメータ DEFINE および ENDDEF とともに使用して導線を定義した場合、このパラメータの値は DEFAULT_COND_THICKNESS パラメータの値をオーバーライドします。
R
R
O
UNITS
スプールの厚みの単位を設定します (例: ミリメートル、フィート、インチ)。
R
R
R
R
NUM_CONDUCTORS
ケーブル内の導線の総数。
R
COLOR
ケーブルや被覆のカラーを設定します。このパラメータの値は外観マネージャ内の色の名前にマッピングされている必要があります。
RD
RD
RD
RD
DENSITY
線密度 (質量/単位長)。ワイヤ、ケーブル、被覆にはパラメータ MASS_UNITS と UNITS も指定する必要があります。
パラメータ MASS_UNITS と UNITS を使用しない場合、パラメータ DENSITY の値のデフォルト単位がアセンブリから取得されます。
RD
RD
RD
RD
MASS_UNITS
質量の単位 (オンス、ポンド、キログラムなど)。パラメータ DENSITY を使用する場合にこのパラメータを指定します。
RD
RD
RD
RD
OUTER_DIAMETER
チューブ被覆の外径を指定します。使用する単位は UNITS パラメータで指定します。
R
PRESHRINK_INNER_DIAMETER
収縮被覆の収縮前の直径を指定します。この値は内径のみを指定し、収縮被覆自体とその内側のワイヤ、ケーブル、バンドル間の干渉チェックに使用されます。被覆の厚みはパラメータ WALL_THICKNESS によって指定されます。値を 0 (デフォルト) に設定すると、干渉チェックは行われません。
R
SHEATH_TYPE
このスプールの被覆のタイプを指定します。有効な値は TAPE、TUBE、SHRINK です。
R
WALL_THICKNESS
被覆の厚みを指定します。使用する単位は UNITS パラメータで指定します。
R
オプションのパラメータ
DEFAULT_COND_BEND_RAD
ケーブル内のすべての導線のデフォルトの最小ベンド半径を設定します。導線の定義で MIN_BEND_RADIUS スプールパラメータの値を指定することで、このパラメータの値をオーバーライドできます。
O
DEFAULT_COND_THICKNESS
ケーブル内のすべての導線のデフォルトの厚みを設定します。導線の定義で THICKNESS スプールパラメータの値を指定することで、このパラメータの値をオーバーライドできます。
O
COLOR_CODE
色のコードを設定します
O
O
O
O
INSUL_TYPE
被覆タイプを表します (fiber、teflon、tefzel など)。
O
O
O
LINEAR_RESISTANCE
スプールの線形抵抗を設定します。
O
O
LINESTYLE
ケーブルまたは被覆スプールの線種を変更します。被覆スプールに対してこのパラメータを設定する場合、バンドルに割り当てられている線種がこのパラメータの値よりも優先されます。次の線種を指定できます。SOLID FONT (デフォルト)、DOTFONT、CTRLFONT、PHANTOMFONT、DASHFONT、CTRLFONT_S_L、CTRLFONT_L_L、CTRLFONT_S_S
O
O
O
OUTER_SHIELD_LINEAR_RESISTANCE
ワイヤのアウターシールドの直線抵抗を指定します。
O
SHIELD_TYPE
ケーブルのシールドタイプを指定するテキスト文字列。
O
SHIELD_LINEAR_RESISTANCE
ワイヤのシールドの直線抵抗を指定します。
O
CABLE_JACKET_REPORT_NAME
デフォルト値 DEFAULT を使用すると、レポートテーブルのケーブル名が表示されます。その他の値に設定すると、プレーンテキストと解釈されます。たとえば、&cable_name と指定されていても特別な意味は持ちません。
O
CABLE_SHIELD_REPORT_NAME
シールドケーブルのケーブルシンボル名として使用します。
O
LIN_CAP_TO_ITEM
アイテム間の直線電気容量を指定します。
O
LIN_CAP_ITEM_TO_SHIELD
アイテムとシールド間の直線電気容量を指定します。
O
LIN_CAP_ASSEM_ITEM_TO_SHIELD
アセンブリアイテムとシールド間の直線電気容量を指定します。
O
OUTER_SHIELD_THICKNESS
ワイヤのアウターシールドの厚みを指定します。
O
WIRE_CONSTRUCTION
ワイヤの構成を示すテキスト文字列 (solid、stranded など)。
WIRE_GAUGE
ワイヤゲージを指定する文字列。
O
O
WIDTH
テープ被覆のテープの幅を指定します。
リボンケーブルのみ
スプールを作成するには
このセクションでは、ワイヤ、ケーブル、被覆、またはリボンケーブルのスプールを作成する手順について説明します。サンプルモデルは <Creo load point>\Common Files\help\sample_models\cabling にあります。このサンプルファイルを使用して、ケーブリングモデルにスプールパラメータを設定する方法について学習します。ファイル cabling_assembly.asm を開き、 「スプール」(Spools) > 「編集」(Edit) の順にクリックします。「スプールを選択」(Select Spools) ダイアログボックスでスプール 3M81240985000048700406、および BL-18GXL を選択し、「OK」をクリックします。「電気パラメータ」(Electrical Parameters) ダイアログボックスに各種スプールとそのパラメータ値が表示されます。
次のステップを実行して、ワイヤ、ケーブル、被覆、またはリボンケーブルのスプールを作成します。
1. 「スプール」(Spools) をクリックします。「スプール」(SPOOLS) メニューが表示されます。
2. 「作成」(Create) をクリックします。「スプールを作成」(CREATE SPOOL) メニューが表示されます。
3. 作成するスプールのタイプをクリックします。
4. プロンプトで、指定したタイプのスプールの新しい名前を入力し、Enter キーを押します。スプールの名前は一意でなければなりません。「電気パラメータ」(Electrical Parameters) ダイアログボックスが開きます。
5. 「表示アイテム」(Display For)「結合」(Connections) を選択します。
6. デフォルトで表示されるパラメータ値を選択します。
7. 選択したパラメータの値を「値」(Value) ボックスで指定し、「適用」(Apply) をクリックします。
次の表には、サンプルのケーブリングアセンブリ (cabling_assembly.asm) に設定されているパラメータとその値のリストが示されています。
8. デフォルトでは使用できないパラメータを追加するには、「ビュー」(View) > 「列」(Columns) の順にクリックします。「モデルツリー列」(Model Tree Columns) ダイアログボックスが開きます。
a. 「非表示」(Not Displayed) で、表示するパラメータを選択します。次の表には、各タイプのスプールに設定する必要がある追加のパラメータがリストされています。
b. 作成するスプールのタイプに基づいてパラメータを選択します。
* 
ユーザー定義パラメータを追加する場合、パラメータの名前を「名前」(Name) ボックスに入力します。
c. をクリックして「表示」(Displayed) リストにパラメータを追加します。
d. 「OK」をクリックします。選択したパラメータが「電気パラメータ」(Electrical Parameters) ダイアログボックスに追加されます。
9. 「電気パラメータ」(Electrical Parameters) ダイアログボックスで追加のパラメータを選択します。
10. 追加のパラメータの値を「値」(Value) ボックスで指定し、「適用」(Apply) をクリックします。
11. ケーブルまたはリボンのスプールにパラメータ NUM_CONDUCTORS を選択した場合、「導線」(Conductors) ラジオボタンが有効になります。
12. 「表示アイテム」(Display For)「導線」(Conductors) を選択します。
13. 「電気パラメータ」(Electrical Parameters) ダイアログボックスで導線を展開し、導線パラメータの値を指定します。
* 
導線のパラメータが表示されない場合、ステップ 8 の説明に従ってパラメータを追加します。
14. 「電気パラメータ」(Electrical Parameters) ダイアログボックスの「OK」をクリックします。新しいスプールが作成されます。
* 
新しいスプールをアクティブなアセンブリで使用できますが、そのスプールを今後再使用するには、スプールファイル (.spl) をローカルディスクに保存する必要があります。
15. 今後のケーブリングアセンブリ用にスプールファイルを保存するには、次の手順に従います。
メニューマネージャから:
1. 「スプール」(Spools) をクリックします。「スプール」(SPOOLS) メニューが表示されます。
2. 「書き込み」(Write) をクリックします。「スプールを選択」(Select Spools) ダイアログボックスが開きます。
3. 「全スプール」(All Spools) を選択します。
4. 「OK」をクリックします。
ショートカットメニューから
モデルツリーでスプールの名前を右クリックし、「スプールを保存」(Save Spool) をクリックします。Ctrl キーを押しながら複数のスプールを選択して保存できます。
選択したスプールファイルは、拡張子 *.spl 付きでワーキングディレクトリまたはスプールディレクトリ (コンフィギュレーションオプション pro_spool_dir を設定している場合) に保存されます。
* 
複数のスプール名を選択した場合、選択したスプールごとに別個のスプールファイルがワーキングディレクトリ内に作成されます。