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Creo Ansys Simulation での接触の挙動
接触している参照がシミュレーション検討中にどのように動作するか (接続維持、スライディング、または分離) を接触の挙動と呼びます。接触の挙動を定義するには、「解析モデル化」(Refine Model) > 「接触」(Contact) > 「接触の挙動」(Contact Behavior) の順にクリックします。一方の参照は接触参照と見なされ、もう一方の参照はターゲットと見なされます。接触の挙動はすべて自動非対称として定義されるので、ソルバーは最適な接触とターゲットを自動的に制御します。Creo Ansys Simulation では、次のタイプの接触の挙動を定義できます。
「結合」(Bonded) - 接触している参照間の分離またはスライディングを許可しません。結合接触では接続される構成部品間の自由度が 0 で、これは接着されていると見なすことができます。結合された構成部品は、シミュレーション検討中、分離しません。このタイプの接触では、荷重の適用時に接触長さまたは接触面積が変化しないので、線形解が得られます。
「分離なし」(No Separation) - 結合接触と同じように、接触している参照のシミュレーション検討中の分離を許可しません。接触している参照に沿って微量の摩擦のないスライディングが発生することはあります。
このオプションは熱検討には使用できません。
「フリー」(Free) - 接続されている構成部品またはサーフェスが互いに自由に移動できます。構成部品同士が離れていることも、相互溶け込みすることもできます。接続されている構成部品またはサーフェス間で、加えられているフォースは転送されません。
「摩擦なし」(Frictionless) - この設定では標準の片側接触がモデル化されます。つまり、分離が発生した場合、法線方向の圧力はゼロになります。このため、荷重に応じてモデル内のボディ間にギャップが生じる可能性があります。荷重が適用されると接触面積が変化する可能性があるので、これは非線形のケースです。このオプションは、摩擦係数がゼロで自由な滑りが可能であることを前提としています。この接触設定を使用する場合、モデルは十分に拘束されている必要があります。
「摩擦」(Frictional) - この設定では、接触する 2 つのジオメトリはインタフェース間でせん断応力を伝達でき、せん断応力が一定の大きさを超えるとジオメトリは互いに滑り始めます。このモデルは、ジオメトリ上で滑りが開始する等価せん断応力を接触圧力の比として定義します。せん断応力を超えると、2 つのジオメトリは互いに滑ります。摩擦係数には負でない値を指定できます。
「ラフ」(Rough) - この設定では、エッジまたはサーフェス間に滑りがない、完全に粗い摩擦接触がモデル化されます。デフォルトでは、ギャップは自動的に閉じません。このケースは、接触するボディ間の摩擦係数が無限大の場合に相当します。
「構造接触の挙動」(Structural Contact Behavior) ダイアログボックスで次のオプションを定義できます。
「摩擦係数」(Coefficient of friction) - 摩擦係数は無次元の数値であり、接触する 2 つの領域の摩擦力と垂直フォースの比率として定義されます。値には、ゼロより大きく無限大より小さい負でない数値を指定できます。
公式 - このオプションでは、特定の接触ペアの計算に使用するアルゴリズムを指定できます。次のタイプの公式が用意されています。
「プログラム制御」(Program controlled) - これがデフォルトの推奨される公式です。
「拡大ラグランジェ法」(Augmented Lagrange) - これもペナルティベースの手法です。ペナルティ法と比べて、この手法では通常、条件付けが向上し、接触弾性係数の大きさの影響を受けにくくなります。ただし、一部の解析で、特に変形後のメッシュの歪みが大きすぎる場合、拡大ラグランジェ法では追加のイテレーションが必要になることがあります。
「ペナルティ法」(Pure penalty) - ペナルティ法に基づいた基本的な接触の公式。
「多点拘束条件」(Multi-point constraint) - 「結合」(Bonded) および「分離なし」(No Separation) 接触の挙動タイプで使用できます。多点拘束条件の方程式が内部で作成されてボディが結合されます。これは、完全に線形な接触が求められる場合や、ペナルティ関数が使用されている場合に発生する可能性がある、自由振動での非ゼロモードの問題を処理する場合に役立ちます。接触に基づいた結果 (圧力など) はゼロになります。
「ラグランジェ乗数法」(Normal Lagrange) - 接触が閉じたときにゼロ溶け込みを適用し、法線方向にはラグランジェ乗数を使用し、正接方向にはペナルティ法を使用します。ノーマル剛性はこの設定では適用されません。ラグランジェ乗数法では、モデルに追加の自由度として接触牽引力が追加され、接触状態を安定化するために追加のイテレーションが必要になります。多くの場合、拡大ラグランジェ法の設定と比べて計算コストが増大します。
接触検知 - 接触検知方法を選択することで、良好な収束を得るために解析で使用する接触検知の位置を選択できます。次のいずれかの接触検知方法を選択します。
「プログラム制御」(Program Controlled) - これがデフォルトの推奨される接触検知のメカニズムです。
「接触検知半径」(Contact detection radius) - 指定した半径値によって定義される領域内の接触を有効にします。これは公差の設定とほぼ同じです。検知半径のデフォルト値は 1.0 です。
「検知半径係数」(Detection radius factor) - 自動的に計算された接触検知半径に、「値」(Value) ボックスで指定した固定値を掛け合わせます。
ギャップと重複のモデリング - 非線形の接触タイプ (摩擦、摩擦なし、ラフ) では、ギャップもモデリングでき、接触する領域をさらに正確にモデリングできます。次の追加のオプションを指定できます。
「ギャップ/重複を調整」(Adjust gap/overlap) - ギャップまたは重複するジオメトリをモデリングする次のいずれかの方法を選択します。
「プログラム制御」(Program controlled) - これがデフォルトのメカニズムであり、ギャップおよび重複するジオメトリの処理に使用される方法はソフトウェアによって決定されます。
「偶発ギャップ/重複を修正」(Fix unintentional gap/overlap) - 偶発ギャップを閉じ、接触するサーフェス間の干渉を無視して、応力がない状態をシミュレートします。
「オフセット値を定義」(Define offset value) - 接触するサーフェスを移動する際の値を指定します。この値は実数でなければなりません。正の値を指定すると、ギャップを閉じるため、接触サーフェスはターゲットサーフェスに向かって移動します。負の値を指定すると、重複を解消するため、接触サーフェスはターゲットサーフェスから離れた方向に移動します。どちらの場合も、オフセット移動による応力が関連する成分でシミュレートされます。
「剛性係数」(Stiffness factor) - ノーマル剛性係数。自動計算された剛性係数に、ここで指定した定数値を掛け合わせます。非線形の接触タイプ (摩擦、摩擦なし、ラフ) で使用できます。
構造接触の挙動の作成
接触の挙動を作成するには、次の手順を実行します。
1. 「解析モデル化」 (Refine Model) > 「接触」(Contact) > 「接触の挙動」(Contact Behavior) の順にクリックします。「構造接触の挙動」(Structural Contact Behavior) ダイアログボックスが開きます。
2. 接触タイプを選択します。
3. 接触の名前を入力するか、デフォルト名をそのまま使用します。
4. 摩擦タイプの挙動の場合、「摩擦係数」(Coefficient of friction) の値を指定します。値には、ゼロより大きく無限大より小さい負でない数値を指定できます。
5. + をクリックして「その他の設定」(Additional Settings) エリアを展開し、公式の設定を指定します。
6. 接触の検出方法(Detect contacts by) リストから設定を選択します。
7. 非線形の接触タイプの場合、ギャップと重複のモデリングに使用する方法を指定します。
8. 非線形の接触タイプの場合、剛性係数(Stiffness factor) の値を指定します。
9. 「OK」をクリックして、接触の挙動を作成し、保存します。接触の挙動がシミュレーションツリーに表示され、それを使用するすべての接触の親ノードになります。
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