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キャビテーション - 概要
キャビテーションとは、局所的な動的外力の不均衡によって液体内で蒸気キャビティ (液体がほとんど存在しない小さな領域、気泡またはボイドとも呼ぶ) が発生する現象のことです。これは通常、等温状態で圧力の急変に液体がさらされた場合に発生します。たとえば、圧力がしきい値 (飽和蒸気圧) を下回ると、液体が破裂して蒸気キャビティを形成するのに対し、しきい値を超える圧力に蒸気気泡がさらされると、ボイドが内破 (気泡が崩壊) して強い衝撃波が生じます。
液体フローの場合、キャビテーションの発生しやすさはキャビテーション数によって表され、これは以下によって与えられます。
式 2.157
ここで、p はフロー基準圧力 (入口圧力など) の絶対値、pv は飽和蒸気圧 (温度と圧力に依存する材料特性) です。分母はフローの動水頭を表し、そのρl は液体密度、U は自由流速度です。したがって、式 2.157は、キャビテーション数が小さくなるにしたがい、液体フローでキャビテーションが発生しやすくなることを示しています。
燃料噴射器、液体ポンプ、プロペラ、インペラ、水中翼、静水圧ベアリング、医療用心臓弁などのさまざまな流体エンジニアリングシステムで、キャビテーション発生を伴う定常および非定常のフローが発生します。多くの場合、キャビテーションの発生は望ましくありません。性能が大きく低下して、質量流量が減ったり、ポンプでの圧力上昇が小さくなったり、負荷が非対称になったり、振動やノイズが発生したりすることがあります。また、キャビテーションによって、表面に気泡が衝突して装置が物理的に損傷し、最終的には構造の健全性が損なわれます。キャビテーションを最小限にする、あるいはその存在を考慮に入れるには、設計の初期段階においてキャビテーションの存在および範囲について把握しておく必要があります。したがって、正確かつ信頼性の高いキャビテーションモデリング機能を提供することが CFA において重要となっています。Creo Flow Analysis は、広範囲に及ぶ流体系で発生する、キャビテーション発生を伴うフローのシミュレーション用に、完全なキャビテーションモジュールとカスタマイズされたツール (テンプレート) を提供します。
このトピックでは、Creo Flow Analysis で使用されているモデリング理論とキャビテーションモデルについて説明します。モデルのパラメータと設定、ワークフロー、ポストプロセスされる量についても説明します。キャビテーションは液相と蒸気相間の熱相変化のプロセスなので、多相フローにおける界面質量移動としてモデリングされますが、Creo Flow Analysis では、キャビテーションは多相モジュールとは関係なくモデリングされます。このモジュールにアクセスするには、次の手順に従います。
1. 「物理モジュール」(Physics Module) をクリックします。「物理モデル選択」(Physical Model Selection) ダイアログボックスが開きます。
2. 「使用可能なモジュール」(Available Modules) からモジュールを選択します。Flow Analysis ツリーで、「Physics」の下に「Cavitation」が追加されます。
「Cavitation」モジュール内のアイテムの詳細については、以下を参照してください。
定義 - キャビテーションモジュールで使用されている用語。
物理 - キャビテーションモジュールで使用されている定義、用語、定数、モデル、および方法。
条件 - 境界、インタフェース、ボリューム、およびモジュールから出力などのエンティティの条件を指定します。
数値と収束 - 数値解を制御するパラメータとモデルです。
出力変数 - キャビテーションに関連する条件とポストプロセスを指定する定義式の作成。