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基本的な有限要素論
有限要素法を使う応力解析 (線形静的解析) を理解する上で最も大切な概念はフックの法則です。ロバート・フックは 1678 年に、今日の有限要素の線形静的応力解析の基礎を確立しました。フックの法則は、「弾性のある固体は加わる力 (応力) に比例して伸縮する (ひずむ)」というものです。これは、次の式で表すことができます。
F=kx
F = 応力
k = 比例定数
x = ひずみの距離
フックの法則から導き出された式を使うと、他のさまざまな物理現象も表すことができます。
テーブルにコップが置かれていると仮定します。ここで、このコップを数学的に 5000 の小さな「ピラミッド」形の要素に分割します。各要素には 5 つのコーナ、つまりノードがあります。コップの底のすべてのノードは固定、つまり「拘束」されており、移動できません (専門用語では、これらのノードにゼロ変位を課すと言います)。コップの上部近くの 1 つのノードを下に押して、荷重を適用します。
どのような材質もある程度の弾力性があるので、ノードはわずかに動きます。個々の要素の動きは、式 F=kx に従っていますが、ほかの要素によって動きが妨げられます。言うまでもなく、最初の要素を通して伝えられた力は他のノードに影響し、更に、これらのノードがコップ全体の他のノードに影響します。
有限要素法では、「要素剛性式」という基本計算が行われます。この方法では、各要素のすべてのノード間の関係に比例定数 "k" が設定されます。従って、個々の要素の各ノードはバネで別のノードと接合していると考えることができます。このバネは、フックの方程式 F=kx に従って応力に反応します。
このようにしてコップは相互に関連し合うバネの集まりとして考えることができます。解析を続けると、式 F=kx を使って、"x" と "F" の各値がすべてのノードで決定されます。注記: "F" と "x" は、それぞれ値と方向を持つベクトルです。
各ノードでの "F" の値と各要素の図形が認識できたので、解析の最後の段階で応力が決定されます。
h 要素適応性およびp 要素適応性
この項では、次の事柄について簡単に説明します。
h 適応性と h 要素
p 適応性と p 要素
従来の有限要素解析では、要素数が増えるにしたがって解析の精度が向上します。問題の精度は、ひずみエネルギー、変位、応力などのさまざまなエンティティで量的に計測できる他、単純な数学的標準値または最小二乗法などの各種の誤差予測方法で計測ことができます。目標は、このような誤差解析方法を使って、実際のモデルの動作を正確に予測することです。
一連の有限要素解析は、サイズを縮小したり要素数を増やしたりするなどの方法で、手動または自動で編集することができます。これは標準の h 適応性方法です。各要素は、事前定義された形状関数の次数を使用した数学公式にあてはめられます。この多項式の次数は、h 適応性方法の中で変化しません。この機能と関連付けられた要素を h 要素と呼びます。
同じ問題に対する後続の有限要素解析を編集する別の方法は、元の有限要素サイズとメッシュを維持したままで、各要素の多項式の次数を増やすことです。補間次数の増加は内部的なもので、指定した許容誤差に達すると、解析が自動的に停止します。これを p 適応性方法と言います。この機能と関連付けられた要素を p 要素と呼びます。
p 要素は、大きな値の次数の多項式を持ち、複雑な応力フィールドをより正確に表現できます。
図形と荷重をより正確に表現できます。
解析の精度を、要素のサイズではなく、多項式の次数で制御できます。
荷重の場合と同様に、詳細な応力解析では、p 要素に分散境界条件を使うことが重要です。集中境界条件は特異な応力フィールドを生じる原因となるので、使わないようにしてください。
次のようにまとめることができます。
h 適応性:
要素のサイズが縮小され、数が増加します。
p 適応性:
元の有限要素サイズとメッシュを維持したまま、各要素の多項式の次数が増加します。補間次数の増加は内部的なもので、指定した許容誤差に達すると、解析が自動的に停止します。