拡張モジュール > Creo Elements/Direct Finite Element Analysis > 解析の実行
  
解析の実行
設計モデルのメッシュと解析に関する変数を入力したら、指定したプロパティおよび条件で実行する解析の種類を指定します。
FE Analysis/Stress では、線形静的、P-線形静的、線形静的 h 適応、モード、P-モード、線形座屈、および定常熱量の各種類の解析を選択できます。
線形静的解析は、指定された荷重と拘束を使って構造の応力と変位を検出するために使われます。
線形静的解析はごく普通の解析の種類を表します。「線形」とは、計算された応答、例えば変位や応力が、作用力に関して 比例関係にあるということです。「静的」とは、時間が経過しても力が変化しない、つまり時間の変化は取るに足らず、無視しても構わないということです。
静的の例には、従業員、設備、および備品などから成る、建築物の死荷重があります。この死荷重は、lb/ft2またはN/m2の公式で表されます。このような荷重は、用心のために適用される安全率と 最大期待荷重を使って定義されます。
静的方程式は、次のとおりです。
[K]{u}=(f)
K = システム剛性行列 (Creo Elements/Direct Finite Element Analysisによって自動的に生成される)
u = Creo Elements/Direct Finite Element Analysis によって計算される変位のベクトル
f = 作用力のベクトル (ユーザが指定)
変位が計算されると、Creo Elements/Direct Finite Element Analysis では、これらを使って応力、反力、およびひずみが計算されます。
線形座屈解析は構造座屈を生成する荷重の増倍率を検出し、座屈された構造の形状を検出するために使われます。
線形静的解析では、構造は安定した平衡状態にあると仮定されます。適用された荷重が削除されると、構造は元の変形していない位置に 戻ると仮定されます。ただし、荷重の一定の組み合わせの下では、荷重を増加しなくても構造は変形したままです。この場合、構造は不安定になり、座屈します。線形座屈解析では 構造の破損はなく、作用力の方向は変化しないと仮定されます。
座屈解析では、固有値を求めます。これは限界座屈荷重を作成するために 作用荷重に掛ける換算係数です。一般に、構造はより高い順位の座屈荷重に 達する前に破損するので、最低の座屈荷重が問題になります。このため、通常は、最低の固有値だけを計算する必要があります。
座屈方程式は、次のとおりです。
[ K + E1 Kd ] = 0
各要素の意味は、次のとおりです。
K = 剛性行列
Kd = 差動剛性行列
E1 = 計算される固有値
固有値が計算されると、限界座屈荷重が解決されます。
Pcr1 = E1Pa
各要素の意味は、次のとおりです。
Pcr1 = 限界座屈荷重
Pa = 作用荷重
E1 = 計算される固有値
ここでも、最低の限界座屈荷重だけを問題とします。
モード解析は、構造の固有振動数およびモード形状を検出するために使われます。
モード解析(固有周波数または固有振動解析ともいいます) は構造の固有周波数およびモード形状を計算します。固有周波数は作用を受けた場合に、構造が振動しやすい周波数です。例えば、ピアノの弦は、特定の周波数で振動するように調整されています。特定の固有周波数で変形される形状をモード形状と言います。
振動解析は、構造の動的な特性を理解する基礎となります。
振動解析が実行される主な理由は、次のとおりです。
コンポーネント(回転する機械の一部など)およびその補助構造との間の動的な 相互作用を評価するため。
補助構造の固有振動数が、コンポーネントの操作周波数に近い場合、非常に大きな動的荷重の増幅がありえます。
設計の変更が動的特性に与える影響を評価するため。
モードテストデータと解析結果の相互関係の度合いを評価するため。
振動解析では、モデルの固有値と固有ベクトルが計算されます。各固有値に対して、固有振動数に比例して、対応する固有ベクトルつまり モード形状が存在します。
各モード形状は、各ノードの変位や回転が発生する静的変位過重に似ています。モード形状と静的変位の主な違いは、倍率設定です。静的解析では、変位は適用荷重による物理的変位どおりです。振動解析では適用荷重がないので、モード形状コンポーネントは任意の倍率に 倍率設定できます。
P-線形静的解析は線形静的解析と同じですが、P 要素の適応性を使います (曲線形状と数学的表現がより正確に近似されます)。
線形静的 h 適応解析は線形静的解析と同じですが、h 要素の適応性を使います (要素のサイズが縮小され、数が増加します)。
P-モード解析はモード解析と同じですが、P 要素の適応性を使います (曲線形状と数学的表現がより正確に近似されます)。
定常熱量解析は、パーツ内の温度分布と熱流束を解析するために使われます。