Creo でのデータ管理について
Creo アプリケーションは各種 Windchill アプリケーションの製品データ管理 (Windchill PDM) オペレーションとシームレスに連携します。統合された Windchill PDM 機能により、Creo アプリケーションで製品データを管理できます。
製品データ管理とは
製品設計では大量のデータが生成されます。製品の市場投入までの期間を短縮するためには、複数の設計者が 1 つの製品で作業できるように、このデータを共有する必要があります。このような環境では、ほかのユーザーにデータを配布しながらデータの制御を維持することは困難です。複数の設計者が同じデータからそれぞれバリエーションを作成することで、設計に矛盾が発生する可能性があります。
Creo アプリケーションと Windchill PDM の連携により、データの制御とコンカレント設計環境の利用が可能になります。これを実現するために、Windchill PDM はすべてのデータを中央サーバーに格納し、データに対するすべての変更がこのサーバーで監視、制御、および記録されます。
Windchill PDM サーバー
Windchill PDM サーバーは、製品データを格納し、管理するボルトです。基礎となる Windchill システムを表します。Windchill の操作に慣れているユーザーに対しては、PDM サーバーはキャビネットの集まりを表します。
チェックアウトとチェックインのタスク
Windchill PDM サーバーから、設計者はデフォルトで最新バージョンの製品設計をダウンロードできます。設計を修正するには、設計をチェックアウトして、その依存オブジェクトをサーバーからコピーする必要があります。チェックアウトのプロセスで、設計を修正する意図をサーバーに伝えます。設計をチェックアウトしたユーザーだけがその設計を修正できます。その他すべのユーザーは、設計の読み取り専用バージョンのダウンロードのみを行えます。これによってデータの整合性が維持されます。
設計を修正した後、その修正をほかのユーザーと共有するために、設計をサーバーにチェックインする必要があります。チェックインプロセスによって、ユーザー名と日付が付いたオブジェクトが古いデータとともに Windchill PDM サーバーに格納されます。
ワークスペース
Windchill PDM システムには、PDM サーバーと Creo セッションとのやり取りのためのワークスペースと呼ばれるインタフェースがあります。ワークスペースは、複数のオブジェクトの管理、また基本的な PDM 操作の実行が可能な個人領域です。
1. Windchill PDM サーバー
2. ワークスペース
3. ハードディスク上のローカルキャッシュ
4. Creo アプリケーション
ワークスペースはテーブルとして表現されます。テーブルの各行は、ダウンロードまたはチェックアウトしたオブジェクトを表し、各列はオブジェクトの属性を表します。列の並べ替えやフィルタの適用を個別に行って、オブジェクトを属性に従って整理できます。
ワークスペースを使用して、設計を PDM サーバーからチェックアウトし、修正した設計をチェックインできます。ワークスペースでは次の操作も行えます。
• 新規オブジェクトや修正したオブジェクトをサーバーにアップロードしたり、オブジェクトをワークスペースにダウンロードしたりするなどの、基本的な PDM 操作を実行する。
• ダウンロードまたはチェックアウトしたオブジェクトを表示または並べ替える。
• 新規オブジェクト、ダウンロードしたオブジェクト、またはチェックアウトしたオブジェクトの表示を設定する。
複数のプロジェクトで作業している場合は、複数のワークスペースを作成できます。プロジェクトごとにワークスペースを作成して、各プロジェクトの設計データを分離できます。
作業版数
Windchill PDM サーバーは、オブジェクトに対して行ったすべての修正を追跡します。修正したオブジェクトをチェックインするごとに、PDM サーバーはオブジェクトの作業版数を格納します。詳細なレポートを生成して、オブジェクトに対して行った設計の修正を確認できます。オブジェクトのバージョンは、多数の作業版数で構成されている場合があります。
バージョン
バージョンは、部品の改訂とイテレーション (A.1 など) を識別します。
CAD ドキュメント
CAD ドキュメントは、オブジェクトを Creo アプリケーションで作成し、部品に関連付けて、ワークスペースに保存したときに作成されます。Windchill では、ドキュメントは、特定のアプリケーションフォーマットのファイルを含むオブジェクトを表します。CAD ドキュメントは CAD モデルを含む Windchill オブジェクトです。CAD モデルは、特定のアプリケーションフォーマットによる情報で構成されたファイルまたはファイルセットです。CAD ドキュメントには、外部アプリケーションのみに関連する属性と構造化されていないコンテンツが含まれています。CAD ドキュメントを使用して、Creo データを Windchill で管理できます。
CAD ドキュメント:
• CAD で生成されたファイル (3D モデル、図面、ビューデータなど) が格納されます。
• 部品への関連付けと、関連付けられた部品の説明。
• ほかの CAD ドキュメントへの関連付け。オーサリング CAD システムで作成および維持されている複雑な依存 (モデルとモデルの関係や、モデルと図面の関係など) を表現できます。
部品
Windchill では、部品は、製品の構成部品や構成部品の論理グループを表す主要なオブジェクトです。部品は CAD ドキュメントの集まり、または管理が必要な製造オペレーションを表します。
オブジェクトのアップロード
アップロードによって、Creo ファイルとその他の依存内容が、ローカルワーキングディレクトリから Windchill PDM サーバーに転送されます。Creo ファイルが新しい場合は、アップロードプロセスによって新規の CAD ドキュメントが PDM サーバーに自動的に作成され、チェックアウトされた CAD ドキュメントのコピーがアクティブなワークスペースに置かれます。
アップロードは以下の目的で使用されます。
• Windchill PDM サーバーでの新規 CAD ドキュメントの作成 (既存の Creo ファイルの場合)。
• ローカルファイルシステムから Windchill サーバー上のパーソナルキャビネットへの Creo ファイルの転送。
• Windchill PDM サーバーにチェックインされていない修正済みの CAD ファイルを格納する。
オブジェクトのダウンロード
ダウンロードによって、オブジェクトの内容が、Windchill PDM サーバーからアクティブワークスペースに読み取り専用オブジェクトとして転送されます。オブジェクトが別のユーザーによってチェックアウトされている場合は、「ダウンロード」(Download) コマンドを使用して、オブジェクトを参照専用としてワークスペースに追加できます。ダウンロードしたオブジェクトは読み取り専用です。ダウンロードしたオブジェクトは Windchill PDM サーバーにチェックインできないため、修正することはできません。
古いオブジェクトの更新
チェックアウトせずにワークスペースにダウンロードしたオブジェクトは、Windchill PDM サーバーでオブジェクトが変更されると古くなります。「更新」(Update) コマンドを使用して、ワークスペース内の設計データを PDM サーバー上の設計データと同期化できます。