部品表

Windchill ESI を使用すると、Windchill PDMLink で作成または変更された複数レベルの部品表 (BOM) を配布ターゲットにパブリッシングできます。Windchill PDMLink では、BOM の作成に使用できる特定の BOM 属性をパブリッシングするように Windchill ESI を設定できます。BOM とその属性のパブリッシングのほかに、作成または変更された部品を同時にパブリッシングするように Windchill ESI を設定することもできます。

配布ターゲットの関連する設定に応じて、Windchill ESI 応答内の割当済みオプションセット、および関連付けられた基本定義式と高度な定義式が BOM に含まれます。配布ターゲットに関連付けられている保存済みフィルタを使用して、パブリッシング対象となる独立した定義式の正しいバージョンが決定されます。関連するオプションと選択肢がまだ目的の配布ターゲットにパブリッシングされていない場合は、割当済み定義式がパブリッシングオプションと選択肢情報のドライバーになることもあります。

さまざまな属性を Windchill PDMLink の BOM に関連付けると、属性が Windchill ESI から EAI ソフトウェアコンポーネントに渡されます。ESI から渡される属性は次のとおりです。

BOM データが Windchill PDMLink にパブリッシングされると、EAI ソフトウェアコンポーネントにより、Windchill PDMLink の BOM 属性が配布ターゲットの BOM 属性にマッピングされます。以下の表は、Windchill PDMLink の BOM 属性と SAP の BOM 属性のマッピングを示します。

Windchill PDMLink の BOM 属性	SAP の BOM 属性
Assembly Part Number	Bills Of Material Item Number Name
日付エフェクティビティ	Bills of Material Alternative Date
コンポーネント部品番号 (Component Part Number)	Component Item Name
コンポーネントの数量	コンポーネントの数量
コンポーネントの行番号 (Component Line Number)	アイテムシーケンス番号
Substitute Part Number	Substitute Component Name
代用部品の数量	Component’s Substitute Quantity
配布ターゲット	プラント
BOM 用途 (BOM Usage)	子部品 (Usage)
BOM 代替	代替部品 (Alternate)
Alternate Item Group	Alternate Item Group

Windchill PDMLink のアセンブリ部品 (BOM ヘッダ) は EAI ソフトウェアコンポーネントに渡されますが、属性は SAP に渡されません。SAP ターゲットシステムで Windchill PDMLink の BOM 作業版数を処理できる場合は、ESI の EAI ソフトウェアコンポーネント部分を拡張して情報を SAP に渡すことができますが、SAP では現在、作業版数情報を処理できる属性をサポートしていません。

Windchill PDMLink の「配布ターゲット」属性は、BOM の作成または変更が行われる配布ターゲットを示します。EAI ソフトウェアコンポーネントは、この情報を使用して適切な配布ターゲットと通信し、プラント情報を渡します。

属性によっては、変更を加えられることなく EAI ソフトウェアコンポーネントから配布ターゲットに渡されるものもありますが、EAI ソフトウェアコンポーネントによって変更されるか、相互参照が設定される値を含んでいる属性もあります。

Start Effectivity Date (エフェクティビティ開始日) は、YYYY-MM-DDHH:MM:SS というフォーマットで Windchill PDMLink から渡されます。Windchill ESI では、Windchill PDMLink、TIBCO、および SAP 間でタイムゾーンが設定されていることを前提としています。配布ターゲットにデータを渡す前の日付に伴うタイムスタンプは、EAI ソフトウェアコンポーネントによって削除されます。

シリアルエフェクティビティに対しては、エフェクティビティの値として提供された範囲の開始および終了シリアル番号と、関連するエフェクティビティコンテキストが Windchill PDMLink によって渡されます。EAI ソフトウェアコンポーネントでは、開始および終了シリアル番号を、シリアル番号が実際にコンテキストアセンブリに属している SAP のシリアル番号エフェクティビティの下限シリアル番号属性と上限シリアル番号属性にマッピングします。コンテキストアセンブリが SAP にまだ存在していない場合は、作成されます。

ロットエフェクティビティに対しては、エフェクティビティ用に提供された範囲の開始および終了ロット番号が Windchill PDMLink によって渡されますが、EAI ソフトウェアコンポーネントではこれらを無視します。これは、SAP ではロット番号エフェクティビティ OOTB をサポートしておらず、この形式のエフェクティビティをサポートするにはカスタマイズが必要となるためです。

シリアル (またはロット) エフェクティビティに関連付けられているコンテキストアセンブリは、Windchill でシリアル (またはロット) エフェクティビティが指定されているコンポーネントを保持するアセンブリである必要があります。そうなっていない場合、かつ「エフェクティビティコンテキストを検証」プリファレンスの値が「はい」の場合はパブリッシングが失敗します。また、シリアル (またはロット) エフェクティビティをパブリッシングする際に、コンテキストオブジェクトがリリースの一部ではなく、「エフェクティビティのコンテキストを含める」プリファレンスの値が「いいえ」の場合もパブリッシングは失敗します。ただし、このプリファレンスの値が「はい」の場合は、コンテキストオブジェクトは自動的にリリースに含まれます。

仕様により、Windchill PDMLink は Substitutes の変更 (Update) をサポートしません。Delete および Create の各操作を使用した場合も結果は同じです。

BOM の作成または変更のために必要な属性で、Windchill PDMLink によって指定されない属性がいくつかあります。このような場合、Windchill ESI は、データを配布ターゲットに渡す前に EAI ソフトウェアコンポーネントでデフォルト値に設定します。以下の表は、Windchill ESI でデフォルトとして設定される BOM 属性とその値を示します。

SAP の BOM のデフォルト値
SAP の BOM 属性	デフォルト値
子部品 (Usage)	1 (生産)
代替部品 (Alternate)	01

Windchill ESI には、Windchill PDMLink から BOM をパブリッシングする際に BOM の複数のコンポーネントを送信できる機能が用意されています。各コンポーネントに関する行番号情報を送信するように設定することも、本番システムに行番号情報をパブリッシングする際のデフォルト値を使用するように設定することもできます。

Windchill PDMLink の BOM 構成品目属性と SAP の BOM 構成品目属性のマッピング

Windchill PDMLink の BOM 構成品目属性

SAP の BOM 構成品目属性

部品番号

コンポーネント

数量

コンポーネントの数量

行番号

オブジェクト番号

Alternate Item Group

代替明細グループは、構成品目に代用部品がある場合にのみ送付されます。

BOM 構成品目の作成または削除のために SAP で必要な属性には、Windchill PDMLink によって指定されていないものがいくつかあります。このような場合、Windchill ESI は、データを SAP に渡す前に EAI ソフトウェアコンポーネントでデフォルト値に設定します。次の表は、Windchill ESI でデフォルトとして設定されている SAP の BOM 構成品目属性とその値を示します。

SAP の BOM 構成品目のデフォルト値
SAP の BOM 構成品目属性	デフォルト値
オブジェクトカテゴリ (Object Category)	L (在庫アイテム)
優先度	1 (プライマリ)
方針 (Strategy)	2 (100 % 確認)
使用頻度 (Usage Probability)	100

Windchill ESI には、Windchill PDMLink から BOM をパブリッシングするときに BOM にリストされたすべてまたはいずれかのコンポーネントに関係する複数の代用部品をユーザーが送付できる機能も装備されています。Windchill PDMLink の代用部品は SAP の代替部品にマッピングされています。

Windchill PDM の BOM 代用部品と SAP の BOM 代替部品属性のマッピング
Windchill PDMLink の BOM 代用部品属性	SAP の BOM 代替部品属性
Substitute Part Number	代替部品 (Alternate)
代替部品の数量 (Alternate Quantity)	コンポーネントの数量
行番号	オブジェクト番号
Alternate Item Group	Alternate Item Group

BOM 代用部品の作成または削除のために SAP で必要な属性には、Windchill ESI によって指定されていないものがいくつかあります。このような場合、Windchill ESI は、データを SAP に渡す前に EAI ソフトウェアコンポーネントでデフォルト値に設定します。次の表は、Windchill ESI でデフォルトとして設定されている SAP の BOM 代用部品属性とその値を示します。

SAP の BOM 代用部品のデフォルト値
SAP の BOM 代用部品属性	デフォルト値
オブジェクトカテゴリ (Object Category)	L (在庫アイテム)
優先度	2 (セカンダリ)
方針 (Strategy)	2 (100 % 確認)
使用頻度 (Usage Probability)	1

Windchill では、BOM の構成品目に関連したパブリッシング参照指定子もサポートされていますが、SAP には、Windchill のように参照指定子という概念がないので、Windchill ESI の EAI ソフトウェアコンポーネント部分では SAP へのパブリッシング参照子はサポートしていません。

• オプションセット情報は Windchill ESI 応答のみで提供され、既成の状態 (OOTB) ではオプションセットは SAP に含まれません。SAP でオプションセット情報を使用するには、Windchill ESI 応答で提供されるオプションセット情報をカスタマイズする必要があります。

オブジェクト中心モードでアセンブリをパブリッシングする場合、配布ターゲットの「BOM パブリッシング時に関連ドキュメントをパブリッシング」属性の設定が「はい」のときは、アセンブリ内の部品に関連付けられたドキュメントもパブリッシングされます。

配布ターゲットにオブジェクトを再びパブリッシングする際に送信される情報は、以前にパブリッシングされた情報に基づきます。このような状況が発生するのは、配布ターゲットにパブリッシングされている上流 BOM があり、まだパブリッシングされていない下流 BOM がその BOM に対応付けられている場合です。下流 BOM を後でパブリッシングする場合は、上流 BOM に使用されたものと同じ配布ターゲットを使用できます。別の配布ターゲットを作成して下流 BOM に関連付ける必要はありません。

Computer A.20 (製造) 用のアセンブリには、構成部品 CPU、マウス、キーボード、モニター、および Web カメラがあり、これらは配布ターゲット DT-1100 および DT-1200 にパブリッシングされたものです。配布ターゲットは、下流システム内の製造プラントです。

後になって、ビジネス要件のために下流の対応 BOM DT-1100 と DT-1200 を作成する必要が生じました。ここで、次のように製造ビューの子ビューを作成できます。

配布ターゲット DT-1100 を BOM Computer, A.10 (1100) に関連付け、配布ターゲット DT-1200 を BOM Computer, A.30 (1200) に関連付けて、これらの BOM を配布ターゲットにパブリッシングします。差分変更の計算は、Computer, A.10 (1100) と Computer A.30 (1200) を Computer, A.20 (製造) と比較することによって行われ、BOM は変更済み BOM として送信されます。

オブジェクト	操作	タイプ
コンピュータ A.10 (1100)	変更	部品およびアセンブリ部品
モニター A.2 (1100)	変更	部品
マウス A.2 (1100)	変更	部品
キーボード A.1 (製造)	なし	部品
CPU B.1 (製造)	なし	部品
光学式ドライブ A.1 (1100)	作成	部品
すべてのコンポーネントに、作成/削除/変更/なしのマークが適切に付けられます

オブジェクト	操作	タイプ
コンピュータ A.30 (1200)	変更	部品およびアセンブリ部品
タッチスクリーンモニター A.1 (1200)	作成	部品
マウス A.1 (1200)	変更	部品
キーボード A.1 (1200)	変更	部品
CPU A.1 (1200)	変更	部品
5M Web カメラ A.1 (1200)	作成	部品
すべてのコンポーネントに、作成/削除/変更/なしのマークが適切に付けられます

この動作は、プロパティ com.ptc.windchill.esi.CalculateDeltaUsingLatestPublishedObject によって制御されます。デフォルト値は TRUE です。すでにパブリッシング済みの上流 BOM と同じ配布ターゲットに下流 BOM がパブリッシングされないようにする場合は、このプロパティを FALSE に変更します。詳細については、ESI カスタマイズガイドを参照してください。

Windchill PDMLink では、最新のリビジョンではない BOM の作業版数をパブリッシングできます。たとえば、P1 B.10 が配布ターゲットにパブリッシングされた後、そのターゲットにまだパブリッシングされたことがない P1 A.15 (前のバージョン) をパブリッシングする必要がある場合に、そのようなパブリッシングが下流のパブリッシングシステムによって許可されていれば、その BOM をパブリッシングできます。SAP では、このようなパブリッシングが許可されています。