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レプリケーションのパフォーマンスの向上
Windchillでは、コンテンツデータの処理を高速化し共同開発を促進する 2 つのテクノロジーを 1 つのオプションで利用できるようにしています。
ローカルアップロード - ユーザーのアップロードされたコンテンツを、中間地点のローカルキャッシュボルトに配置した後、同期化操作時 (sysForceSync) にマスターサイトに転送します。
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リモートサイトだけで取得可能なコンテンツのリクエストをマスターサイトが受信した場合にも、コンテンツはマスターサイトへ転送されます。
ファイルサーバー - 頻繁に要求されるコンテンツデータに高速でアクセスするためのロケーションを作成します。
2 つのテクノロジーはいずれも、リモートサイト内の指定されたキャッシュボルトに依存します。これらのテクノロジーは、Windchill ユーザーには特に意識されることがなく、アプリケーションへの組み込みが可能です。これらのテクノロジーには、以下の利点があります。
ユーザーのチェックインが高速でできる。
共有する標準のプリファレンスを使用した、ユーザーのキャッシュコンテンツへのアクセスが高速化、迅速化される。
すべてのユーザーがいつでもデータを利用できる。
マスターサイトでチェックインステータスを確認できる。
失敗に備えてデータを保護するために、キャッシュボルトサイトでデータをミラーリングできる。
規則に従いリモートサイト構造を配置できる。
マスターサイトでデータをインデックシングすると、すべてのユーザーがデータを検索できる。
JavaBeans を使用してアプリケーションにローカルアップロード機能を容易に組み込むことができる。
ローカルキャッシュの動作内容
以下の図は、ローカルキャッシュの動作内容を説明しています。
図の記号の意味は以下のとおりです。
A - マスターサイトのボルト。
E - キャッシュサーバーサイトのローカルキャッシュボルト。
E1 - ローカルキャッシュボルトでのミラーリングに使用するフォルダに対応する、ファイルシステム上の物理パス。フォルダのミラーリング先のパスは、リモートサイトからのダウンロードには使用できません。
E2 - ローカルキャッシュボルトに対して読み取りと書き込みを行うためのフォルダに対応する、ファイルシステム上の物理パス。
G1 および G2 - ユーザーがダウンロードに関して同じサイトプリファレンスを共有するホスト。このサイトプリファレンスは、ローカルキャッシュボルトも含むリモートサイトに設定されます。
G3 - ユーザーのダウンロードに関するサイトプリファレンスが、キャッシュボルトを含まないリモートサイトに設定されたホスト。
g1e1 および g2e1 - ローカルキャッシュボルトのミラーリングフォルダへのマウント。
g1e2 および g2e2 - ローカルキャッシュボルトの読み取り可能フォルダへのマウント。
H - 別のサイトに存在する、ローカルキャッシュボルトではないボルト。このボルトは、ホスト G3 のユーザーの優先ダウンロードサイトです。
sA - サイト sE および sH のマスターサイト。
sE - ローカルキャッシュボルトを含み、ホスト G1 および G2 のユーザーの優先ダウンロードサイトであるリモートサイト。
sH - ローカルキャッシュボルトを含まず、ホスト G3 のユーザーの優先ダウンロードサイトであるリモートサイト。
ユーザーがファイルをチェックイン、作成、読み取り、および更新するのにかかる時間が短縮されるのは、比較的低速でアクセス可能なマスターサイトのボルトではなく、高速でアクセス可能なキャッシュボルトのデータを使用するからです。これらのコンテンツファイルは、事前に要求されていないかぎり、sysForceSync 同期化スケジュールに従って、マスターサイトにレプリケーションされます。
たとえば、ホスト G1 のユーザーがデータをチェックインすると、チェックインされたコピーはマスターサイトボルト A ではなく、ローカルキャッシュボルト E に格納されます。ローカルキャッシュの強化点が有効ではない場合には、格納先はチェックインボルトとなります。適用可能な sysForceSync 同期化スケジュールがアクティブになった時点、またはデータのリクエストがサイト sA に到着した時点のいずれかで、データはボルト E からボルト A にコピーされます。
コンテンツキャッシュのプリファレンスを、ローカルキャッシュボルトを含むリモートサイトに設定すると、マスターサイトからのみアクセスする場合よりもさらに高速で、リモートサイトに格納されたデータにアクセスできます。たとえば、ホスト G2 のユーザーが、ホスト G1 のユーザーによってチェックインされたコンテンツにアクセスしたい場合、コンテンツは比較的低速でアクセス可能なマスターサイトのボルト A ではなく、ローカルキャッシュボルト E からダウンロードされます。ローカルキャッシュボルト E のチェックインはマスターサイト sA よりも高速であるため、アクセス時間が短縮されるだけでなく、データをより早く取得できます。
ローカルキャッシュボルトのみに存在するデータに対するリクエストをマスターサイトが受信すると、そのデータは即座にマスターサイトに移動し、リクエストに応えられるようになります。たとえば、ボルト E に存在し、ボルト A には存在しないコンテンツをホスト G3 のユーザーがリクエストすると、そのコンテンツはボルト A にコピーされ、コンテンツがホスト G3 にダウンロードされます。コンテンツを転送するためのレプリケーション規則を作成しない場合は、コンテンツはサイト sH に自動的には転送されません。
これらの動作は Windchill ユーザーに意識されることがないため、ローカルキャッシュボルト E にチェックインされたデータがマスターサイト sA にコピーされたかどうかを確認する必要が生じる場合があります。マスター sA サイトで実行されるユーティリティを使用することにより、サイト sA にまだコピーされていないファイルの情報を得られます。詳細については、ローカルキャッシュボルトの管理のセクション「バックアップ支援ユーティリティ」を参照してください。
ローカルキャッシュボルト内にデータのコピーを 2 つ維持することにより、データの消失や損傷を防ぎます。読み取りおよび書き込み操作でアクセスされる各ローカルキャッシュボルトフォルダと、そのフォルダのミラーリングを行うフォルダの両方のフォルダのマウントパスを設定時に同じエントリで指定する際に、この 2 つのフォルダを関連付けることが可能です。読み取りおよび書き込み操作でアクセスされるフォルダが読み取り不可能な場合、ミラーリングフォルダの内容を読み取り可能なフォルダにコピーできるので、読み取り操作を続行できます。たとえば、マウントパス g2e2 が読み取り可能フォルダ E2 とホスト G2 を関連付け、またマウントパス g2e1 がミラーリングフォルダ E1 とホスト G2 を関連付けます。ミラーリングの詳細については、ローカルキャッシュボルトの管理のセクション「ローカルキャッシュボルトでのミラーリングの設定」を参照してください。
コンテンツがローカルキャッシュボルトからマスターサイトにレプリケーションされている場合、コンテンツは両方のロケーションに存在します。ローカルキャッシュボルト内でその構造が規則に違反している場合、規則がアクティブになると、その違反が修正されます。
インデックシングはコンテンツのキーワードを収集して、検索可能にする機能です。ローカルキャッシュのデータはインデックシングされません。データは、ローカルキャッシュボルトからマスターサイトに移動するとインデックシングされます。
ダウンロードおよびアップロード JavaBeans を使用して、アプリケーションに機能を実装できます。JavaBeans については、Windchill Customization Guideで説明しています。