CATIA V5 オブジェクトアダプタの設定
このセクションでは、CATIA V5 オブジェクトアダプタでレシピファイルについて設定する方法を説明します。
出力の制御
オブジェクトアダプタが生成する出力は、次の 3 つのファイルで制御されます。
1. Creo View レシピファイル
2. Theorem コンフィギュレーションファイル
3. Theorem マスクファイル
CATIA V5 データの Creo View 形式への変換は 2 段階で行われます。まず、CATIA V5 ファイルからジオメトリデータが読み込まれ、続いてジオメトリが Creo View で表示可能なデータに変換されます。
レシピファイルでは、コンバータが生成する出力を一部しか制御できません。レシピファイルでは多数のオプションを利用できますが、コンフィギュレーションオプションのほとんどは、Theorem のコンフィギュレーションファイルとマスクファイルに指定する必要があります。レシピファイルの設定は出力に影響しません。
レシピファイルでは、コンフィギュレーションファイルは adapter/ConfigFile=D:\\PTC\\icenterv01-workers\\catiav5-6r2013\\theoremconfig.txt として識別されます。
一般的なコンフィギュレーションファイルは次のようになります。
mask D:\PTC\icenterv01-workers\catiav5r2013\theoremmask.txt
progress_file D:\PTC\icenterv01-workers\catiav5r2013\progressfile.log
"mask" で始まる行は、マスクファイルを定義します。マスクファイルの内容は、レイヤーとエンティティのマスクを定義し、変換するエンティティとレイヤーを定義します。
一般的なマスクファイルは次のようになります。
ON SOLID
ON SKIN
OFF CURVE
OFF LAY 3
この例では、ソリッドとサーフェスが変換され、カーブは変換されません。また、レイヤー 3 のジオメトリも変換されません。
Theorem コンフィギュレーションファイルのオプション
CADverter コンフィギュレーションファイルは、CATIA V5Creo View アダプタのレシピファイルにより参照されます。このファイルは ASCII 形式のテキストファイルとして作成され、ファイル内にはオプションがそれぞれ 1 行で記述されています。値が 2 つあるオプション (たとえば、progress_file <ファイル名>) は、ファイル内で別々の行に入力します。ファイルはファイルシステムの任意の場所に格納され、ファイルの絶対パスと名前を使用してレシピファイルから参照されます。
以下にコンフィギュレーションファイルの例を示します。
progress_file
C:\temp\auditlog.txt
off_ditto
mask
C:\temp\cadverter_maskfile.txt
read_pmi
read_captures
次のコンフィギュレーションオプションを指定できます。
オプション
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説明
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progress_file <ファイル名>
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変換監査ファイル出力を <ファイル名> という名前のファイルに出力します。
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off_ditto
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すべてのアセンブリ情報を除去し、データを単一部品で作成されているように変換します。
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convert_surfaces
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デフォルトで読み込まれる標準フォーマットの代わりに、すべてのサーフェスの NURBS サーフェス表示を読み込みます。このオプションは、標準サーフェス表示の読み込みに関連する問題を避けるためにも使用されます。
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convert_curves
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デフォルトで読み込まれる標準フォーマットの代わりに、すべてのカーブの NURBS サーフェス表示を読み込みます。このオプションは、標準カーブ表示の読み込みに関連する問題を避けるためにも使用されます。
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mask <マスクファイル名>
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マスクファイルの内容を使用して、CATIA V5 から読み込むデータを制限します。マスクファイルに特定のキーワードを入力してこのオプションを使用すると、ユーザーは特定のレイヤーから選択したエンティティタイプまたはデータのみを読み込むことができます。デフォルトの設定では、ファイル全体が読み込まれます。
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read_cgr
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トランスレータがジオメトリのテサレーションされた CATIA Graphical Representation (CGR) 表示を読み込むようにします。デフォルトの設定では、境界表示が読み込まれます。
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read_pmi
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トランスレータが変換プロセス中に、CATIA V5 Functional Tolerance and Annotations (FTA) モジュールで作成された、3D 寸法やアノテーションなどの Product Manufacturing Information (PMI) を読み込むようにします。このオプションには、CATIA V5Creo View PMI の追加ライセンスで必要です。
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read_captures
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トランスレータが変換プロセス中に、CATIA V5 Functional Tolerance and Annotations (FTA) モジュールで作成されたキャプチャおよび 3D セクションを読み込むようにします。このオプションには、CATIA V5Creo View PMI の追加ライセンスで必要です。
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大きなアセンブリの処理に関する最良事例
大きな CATIA V5 アセンブリの処理では、多くの場合、大量のリソースにアクセスする必要があります。これは使用可能なディスク容量とメモリリソースの組み合わせであり、CATIA V5 API のアセンブリデータへのアクセス方法によりさらに複雑になる場合があります。大きなアセンブリを使用する場合は、次のステップをお勧めします (それぞれについては、以下のセクションで説明します)。
1. 最小メモリモードのレシピ設定を使用します。
2. CATIA V5 キャッシュモードを有効にし、アセンブリに少なくとも一度アクセスして、キャッシュされた CGR ファイルを生成します (この設定の詳細については、CATIA V5 のオンラインヘルプを参照してください)。
3. 1 および 2 の方法で十分でない場合は、CATIA V5 および CATIA V5Creo View Adapter の両方について、Windows 64 ビット版の使用を検討します。
4. WVS.properties ファイルでタイムアウト時間を延長します。
最小メモリモード
デフォルトのアセンブリ処理では、Creo View にすべてのデータを出力する前に、CATIA V5 アセンブリとそのジオメトリコンテンツ全体がメモリに読み込まれます。最小メモリ変換モードは、データをより効率的に処理する方法です。このモードは PTC レシピエディタで選択します。このメカニズムでは、アセンブリデータが読み込まれた後、アセンブリで参照されている各 .CATPart ファイルが部品ごとに処理されます。
最小メモリモードを設定する方法は以下のとおりです。
1. コマンドラインで rcpedit.exe <レシピファイル名> と入力して、レシピエディタを起動します。
レシピエディタが表示されます。
2. 「アドバンス」で「Theorem」タブを選択し、変換モードを「最小メモリ」に設定します。
3. レシピファイルを保存します。
ファイルを保存したら、コマンドラインで新しいレシピファイルを参照することにより、トランスレータがこの設定を利用できるようになります。次に例を示します。
catiar23_pv.cmd <input file> -r <recipe file name>
CATIA V5 キャッシュモード (CGR キャッシュ) を有効にします。
CATIA キャッシュ (CGR キャッシュモード) を有効にすることで、CATIA V5 のメモリ使用状況を最適化します。大きなアセンブリの発行を開始する前に、CGR キャッシュを最新の状態にすることが重要です。キャッシュが最新でない場合、CATIA V5 はアセンブリのロード中に CGR ファイルを生成する必要があり、メモリの効率化を達成できません。
Windchill で CATIA V5 データ管理に対して CGR ファイル管理が有効な場合は、パブリッシングの際にファイル同期化を使用することにより、キャッシュが最新に維持されます。この方法では、一時ワークスペースを通して必要な CATIA V5 ファイルがダウンロードされ、必要な CGR ファイルがダウンロードされてローカルの CGR キャッシュに置かれます。
CGR ファイルが Windchill で管理されていないか、発行にファイル同期化を使用していない場合は、CGR キャッシュを最新に維持するための方法が別に必要です。Windchill Workgroup Manager ユーザーと CATIA V5 Worker で共有されている、リリース済みの CGR キャッシュを実装できます。
また、アセンブリの発行に使用されている CATIA V5 セッションに対して、キャッシュモードが有効であることを確認する必要もあります。CGR ファイルを操作するときに、CATCache フォルダの場所が比較的短いパスであることを確認してください。これは、CATIA V5 によって作成されたフォルダ構造が、Windows の最大パスの制限を超える可能性があるためです (これは、作成された比較的長い WLD パスを、CGR を作成するために CATCache フォルダ内にレプリケーションする必要があるためです)。
64 ビット Windows でのオブジェクトアダプタの実行
最小メモリモードと CGR キャッシュモードを使用しても、大きなアセンブリの発行に十分でない場合は、オブジェクトアダプタを Windows 64 ビットプラットフォームにインストールします。CATIA V5、Windchill Workgroup Manager、およびオブジェクトアダプタは、いずれも Windows 64 ビットプラットフォームで使用できます。Windows 64 ビットでも、CGR キャッシュ、最小メモリモード、およびファイル同期化の組み合わせを設定できます。
WVS.properties ファイルでのタイムアウトの延長
非常に大きいアセンブリおよびコンポーネントでは、wvs.properties ファイルのデフォルトのタイムアウト値では不十分な場合があります。Worker のタイムアウト値に影響する wvs.properties ファイルのプロパティを、以下に示します。
• publish.cadtimeout.assembly=3600
• publish.cadtimeout.component=600
• publish.cadtimeout.drawing=600
値の単位は秒です。大規模な発行ジョブで CATIA V5 Worker がタイムアウトする場合は、これらのプロパティの値を大きくします。site.xconf ファイルでこれらの値を編集し、xconfmanager -p を使用して設定を反映させます。