依存処理
依存処理の概要
依存処理とは、ある操作でのオブジェクトの収集に対して指定するコンフィギュレーションに含めるオブジェクトを検討するときに、それらのオブジェクト間の関連を追跡することです。部品セントリックの依存処理と CAD ドキュメントセントリックの依存処理の間には、重要な違いがあります。基本的に、部品セントリックの依存処理では製品構造が追跡され (部品依存処理)、CAD ドキュメントセントリックの依存処理では CAD ドキュメントのモデル構造が追跡されます (CAD 依存処理)。
Windchill では Windchill ドキュメントのドキュメント依存処理もサポートされています。
デフォルトでは、ある操作でオブジェクトを初期選択すると、次の表に示すように、初期選択オブジェクトのタイプに基づいて依存処理が行われます。
初期選択オブジェクト
デフォルトの依存処理
CAD ドキュメント
CAD 依存処理
Windchill 部品
部品依存処理
Windchill ドキュメント
ドキュメント依存処理
1 つ以上の CAD ドキュメントが含まれている混合オブジェクト
CAD 依存処理
1 つ以上の部品が含まれているが CAD ドキュメントは含まれていない混合オブジェクト
部品依存処理
現在の操作ページに指定されている依存処理のタイプを確認するには、「現在のフィルタ」アイコン をクリックして「現在のフィルタ」ウィンドウを開きます (次の図では「CAD 依存処理」と表示されています)。
初期選択オブジェクトのタイプにかかわらず、使用する依存処理のタイプを指定することもできます。これには、依存処理タイプの明示的な選択を有効にしてから、その操作のコンフィギュレーション仕様フィルタを編集します。部品構造または CAD ドキュメント構造による依存処理を指定するには、「プリファレンス管理」ユーティリティで「表示」 > 「コンフィギュレーション仕様」 > 「依存処理タイプを有効化」サーバープリファレンスを「はい」に設定します。「はい」に設定した場合 (デフォルトは「いいえ」)、操作ページの「フィルタを編集」ウィンドウにフィールドが追加されます。
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「依存処理タイプを有効化」のデフォルト設定は「いいえ」ですが、上のテーブルに示すように、コレクターを使用するすべての PDM 操作は依存処理が有効な状態で収集を行います。
初期選択オブジェクトが部品か CAD ドキュメントかにかかわらず、いずれかの依存処理を選択できます。ただし、部品と CAD ドキュメントとの間にアクティブな関連付けがある場合にかぎります。たとえば、依存処理タイプとして「部品構造」を選択し、部品オブジェクトを初期選択した場合、初期選択した部品オブジェクトの子がコンフィギュレーションに含まれます。ただし、初期選択オブジェクトが CAD ドキュメントの場合、「部品構造」処理では最初にその CAD ドキュメントの関連部品が検索されます。次に、部品構造が追跡され、その構造内の部品に関連付けられている CAD ドキュメントが収集されます。この場合、初期選択した CAD ドキュメントおよびそのピア部品の依存部品に関連付けられている CAD ドキュメントが「オブジェクトリスト」に追加されます。
さらに詳しく説明すると、次のような処理が行われます。
初期選択した CAD ドキュメントは「オブジェクトリスト」に残る。
それに関連付けられている部品オブジェクトが「オブジェクトリスト」に追加される。
関連付けられた部品が次の操作の「ルート」オブジェクトになる。
コンフィギュレーションの設定 (最新バージョン、管理ベースライン名、ビュー、エフェクティビティ)
依存の収集 (すべて、なし)
たとえば、次のような場合があるとします。
コンフィギュレーション = 管理ベースライン
依存 = すべて
この場合は、管理ベースラインの一部でもある部品の依存のみがオブジェクトリストに追加されます。
追加される関連オブジェクト (CAD ドキュメント、ドキュメント) のうち、
追加される CAD ドキュメントは、収集された部品バージョンのピアであるバージョン (リビジョン/作業版数) になります。
部品の管理ベースラインが選択されている場合、CAD ドキュメントはベースラインの一部である必要はありません。
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ワークスペースの仕様で依存処理が部品セントリックに設定されているとき、CAD ドキュメントは最新でないと見なされます。ただし、ワークスペース内のバージョンと、部品の指定済みベースラインに含まれる部品バージョンとの間に関連付けリンクがない場合にかぎります。
反対に、「フィルタを編集」ウィンドウで依存処理タイプとして「CAD 構造」を選択した場合、依存処理では初期選択した CAD ドキュメントの構造が追跡されます。初期選択した部品の処理中に、その部品のピアである CAD ドキュメントが検出され、その CAD 構造が追跡されます。「オブジェクトリスト」にその CAD 構造の関連部品が追加されます。
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Windchill から収集した場合、パフォーマンスを向上させるためにメソッドサーバーによってコレクションがキャッシュに保存されます。多数の依存や関連オブジェクトを持つ非常に大きな構造の場合、サイト管理者はキャッシュが保持される時間を変更できます。これは wt.properties 設定 com.ptc.core.collectionsrv.engine.cache_expiration_time を使用して設定できます。このプロパティは Windchill から作成されたコレクションにのみ影響し、Windchill REST Services を介して呼び出される API には影響しません。詳細については、アーティクル CS73935 を参照してください。
依存処理の例
このセクションでは、初期選択オブジェクトと依存処理タイプに基づいた、サンプルデータセットのコレクション動作の例を示します。
次のようなデータセットがあるとします。
次の表は、初期選択オブジェクトがすべて同じタイプである場合の、コレクション操作での依存処理の結果を示しています。
最初に選択
依存処理タイプ
依存の設定
オブジェクトリストの結果
コメント
CADAsm1
CAD ドキュメント構造
CAD ドキュメント: すべて
CADAsm1、CADComponent1a、CADComponent1b
CAD ドキュメント (EPMDocument) 構造が検索されます。
CADAsm1
部品構造
部品: すべて
CADAsm1、CADComponent1a
1. 依存処理タイプは「部品構造」です。初期選択した CADAsm1 の関連オブジェクト PartAsm1 が検索されます。
2. PartAsm1 の依存に関連付けられている CAD ドキュメントが収集されます。
3. 初期選択した CADAsm1 に加え、(CADAsm1 の依存としてではなく) PartComponent1a の関連オブジェクトとして CADComponent1a が返ります。
CADAsm1、CADAsm2
部品構造
部品: すべて
CADAsm1、CADComponent1a
CADAsm2、CADComponent2a
1. 依存処理タイプは「部品構造」です。PartAsm1 と PartAsm2 の依存に関連付けられている CAD ドキュメントが検索されます。
2. PartAsm1 と PartAsm2 の依存に関連付けられている CAD ドキュメントが収集されます。
3. 初期選択した CADAsm1 と CADAsm2 に加え、(CADAsm1 と CADAsm2 の依存としてではなく) PartComponent1a と PartCompponent2a の関連オブジェクトとして CADComponent1a と CADComponent2a が返ります。
CADAsm3
部品構造
部品: すべて
CADAsm3
CADDocument3
1. 依存処理タイプは「部品構造」です。初期選択した CADAsm3 の関連オブジェクト PartAsm1 が検索されます。
2. PartAsm3 の依存に関連付けられている CAD ドキュメントが収集されます。
3. 初期選択した CADAsm3 に加え、PartComponent3a の関連オブジェクトとして CADDocument3 が返ります。
PartAsm3
CAD ドキュメント構造
CAD ドキュメント: すべて
PartAsm3
関連する CAD ドキュメントの依存には部品が関連付けられていません。
次の表は、初期選択オブジェクトのタイプが複数である場合の、コレクション操作での依存処理の結果を示しています。
最初に選択
依存処理タイプ
依存の設定
結果
コメント
CADAsm1、PartAsm2
CAD ドキュメント構造
CAD ドキュメント: すべて
CADAsm1、CADComponent1a、CADComponent1b
PartAsm2、PartComponent2a
1. 依存処理タイプは「CAD ドキュメント構造」です。初期選択した PartAsm2 の関連オブジェクト CADAsm2 が検索され、初期選択した CADAsm1 が検索されます。
2. CADAsm2 の依存に関連付けられている部品が収集され、CADAsm1 の依存が収集されます。
3. 初期選択オブジェクト (CADAsm1、PartAsm2) および CADAsm1 の依存 (CADComponent1a、CADComponent1b) が返ります。さらに、CADAsm2 の依存に関連付けられている部品が返ります。
CADAsm1、PartAsm2
部品構造
部品: すべて
CADAsm1、CADComponent1a
PartAsm2、PartComponent2a
1. 依存処理タイプは「部品構造」です。初期選択した CADAsm1 の関連オブジェクト PartAsm1 が検索され、初期選択した PartAsm2 が検索されます。
2. PartAsm1 の依存に関連付けられている CAD ドキュメントが収集され、PartAsm2 の依存が収集されます。
3. 初期選択オブジェクト (CADAsm1、PartAsm2) および PartAsm2 の依存 (PartComponent2a) が返ります。さらに、PartAsm1 の依存に関連付けられている CAD ドキュメント (CADComponent1a) が返ります。
CADAsm1、PartAsm3
CAD ドキュメント構造
CAD ドキュメント: すべて
CADAsm1、CADComponent1a、CADComponent1b
PartAsm3
1. 依存処理タイプは「CAD ドキュメント構造」です。初期選択した PartAsm3 の関連オブジェクト CADAsm3 が検索され、初期選択した CADAsm1 が検索されます。
2. CADAsm3 の依存に関連付けられている部品が収集され、CADAsm1 の依存が収集されます。
3. 初期選択オブジェクト (CADAsm1、PartAsm3) および CADAsm1 の依存 (CADComponent1a、CADComponent1b) が返ります。CADAsm3 の依存に関連付けられているオブジェクトはないので、その他の部品は返りません。
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