レシピオーバーレイメカニズム
概要
WVS レシピオーバーレイメカニズムは、パブリッシングジョブの特定のカテゴリに対する Worker の実行時レシピコンフィギュレーションを調整するために役立つテクニックです。初期レシピコンフィギュレーションは、Creo View Adapters のセットアップフォルダ (proe2pv.rcp など) にあるレシピ (.rcp) ファイルによって定義されます。オーバーレイレシピは Windchill サーバーから設定することもでき、これによって初期レシピコンフィギュレーションはオーバーライドされます。
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VCS ユーザーは Worker 設定に直接アクセスできないので、レシピは Windchill サーバーを介してレシピオーバーレイメカニズムを使用して駆動されます。
このセクションでは、レシピオーバーレイメカニズムの以下の要素を設定するときに使用可能なプロパティについて説明します。
Windchill サーバー上のオーバーレイレシピファイルのコンフィギュレーション
オーバーレイレシピファイルの命名規則
オーバーレイレシピのコンフィギュレーションと命名のプロパティ
オーバーレイレシピファイルは、設定済みの共通ファイルシステムフォルダを使用してパブリッシングジョブを処理する Worker に送信される転送フォルダに追加されます。オーバーレイレシピファイルは、以下のいずれかのメカニズムを使用して管理できます。
Visualization コンフィギュレーション管理 UI
パブリッシング規則
WVS プロパティ
Visualization コンフィギュレーション管理 UI を使用した Worker オーバーレイレシピファイルの管理
「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI を使用して、Windchill サーバーマシン上のオーバーレイレシピファイルを管理できます。このメカニズムでは、「製品」「プロジェクト」「ライブラリ」「組織」、または「サイト」コンテキストにアクセス可能な場合、以下の機能を使用できます。
任意のコンテキストから「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI を使用して、レシピファイル (.rcp のみ) を Windchill サーバーにアップロードできます。
レシピファイル名の形状タイプと変換タイプの情報に基づいて、オーバーレイレシピファイルを関連付けることができます。
パブリッシング規則に基づいて、オーバーレイレシピファイルを関連付けることができます。
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レシピファイルはすべてのタイプのコンテキストで設定できます。レシピファイルが異なるコンテキストレベルで設定されている場合、最も低いレベルのレシピファイルが使用され、上位レベルで設定されているレシピファイルとはマージされません。たとえば、組織コンテキストレベルで設定されているレシピファイルは、具体的なコンテキストのニーズに対応するため、子コンテキスト (製品やライブラリなど) ではオーバーライドされます。詳細については、「コンテキスト継承」を参照してください。
「レシピファイル名に基づいた高度な設定」および「パブリッシング規則に基づいた高度な設定」セクションでは、「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI を使用した Windchill サーバーマシン上の Worker オーバーレイレシピファイルの管理を簡略化するための、レシピファイル名とパブリッシング規則に基づいた高度な設定について説明します。
レシピファイル名に基づいた高度な設定
「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI にアップロードされたレシピファイルの名前に基づいて、WVS はファイル名に記述されている形状タイプと変換タイプに基づいて Worker に送信するレシピファイルを評価および決定します。レシピファイルの名前は以下のフォーマットでなければなりません。
publish_overlayrecipefile_fortype_<shape type>_<conversion type>.rcp
ここで、
形状タイプとは、PROE、SOLIDWORKS などのオーサリングアプリケーション名を指します。
変換タイプとは、prt、view (アセンブリの場合) などのファイルタイプを指します。以下の表に、変換タイプの例とその説明を示します。
変換タイプ
説明
prt
部品
drw
図面
view
アセンブリ
viewsingle
配置アセンブリ (PosAssy)
singlelevel
拡張配置アセンブリ (XPosAssy)
lay
Creo レイアウトファイル
dgm
Creo ダイヤグラムファイル
frm
Creo 図面フォーマットファイル
変換タイプの値が名前で指定されていない場合、形状タイプに基づいて、すべてのファイルタイプ (部品、図面など) で同じレシピファイルが使用されます。たとえば、ファイル publish_overlayrecipefile_fortype_PROE_prt.rcp および publish_overlayrecipefile_fortype_PROE.rcp「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI にアップロードされているとします。この場合、PROE 部品ファイルにパブリッシングする際にはレシピファイル publish_overlayrecipefile_fortype_PROE_prt.rcp が使用されます。PROE 形状タイプのジェネリックファイルであるファイル publish_overlayrecipefile_fortype_PROE.rcp は、PROE パブリッシングの、アセンブリや図面などのその他すべてのファイルタイプに使用されます。
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「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI にアップロードされたオーバーレイレシピファイルは、ファイルを Windchill サーバーマシンディレクトリに配置する方法よりも優先されます。
オーバーレイレシピファイルをフェッチする際に、形状と変換タイプに基づいた適切な名前のレシピファイルが「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI で見つからなかった場合、WVS は Windchill サーバーディレクトリを使用してオーバーレイレシピファイルにアクセスします。
パブリッシング規則に基づいた高度な設定
「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI でパブリッシング規則の定義を使用してオーバーレイレシピをフェッチすることもできます。
パブリッシング規則の定義を使用してオーバーレイレシピファイルをフェッチする場合、以下のようになります。
パブリッシング規則で定義されているレシピファイル名が「Visualization コンフィギュレーション管理」に存在する場合、ジョブは成功し、オーバーレイレシピファイルのレシピオプションが使用されます。
このレシピファイルはほかの 2 つの方法 (Windchill サーバーディレクトリにアクセスしてレシピファイルにアクセスする方法、またはレシピファイル名に基づいてレシピファイルを取得する方法) よりも優先されます。
パブリッシング規則で定義されているレシピファイル名が「Visualization コンフィギュレーション管理」に存在しない場合、ジョブは失敗します。
Worker がパブリッシング規則 (サムネイルや Office など) をサポートしていないか、パブリッシング規則が設定されていない場合、オーバーレイレシピは常に「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI から形状タイプと変換タイプを使用してフェッチされます。ただし、この UI にファイルが存在しない場合、Windchill サーバーマシンディレクトリを使用するメカニズムを使用してオーバーレイレシピファイルにアクセスします。
overlay-recipe-file 属性の例を以下に示します。
<if condition="is_unreleased_part">
<publish on="checkin" overlay-recipe-file="test.rcp"/>
</if>
<condition name="is_unreleased_part">
<and>
<attribute name="epmdoc_lifeCycleName" value="Basic"/>
<not>
<attribute name="epmdoc_lifeCycleState" value="Released"/>
</not>
</and>
</condition>
overlay-recipe-file 属性の詳細については、「パブリッシング規則の評価」を参照してください。
作成するオーバーレイレシピファイルの名前の定義
これ以降の各セクションの情報は、wvs.properties.xconf ファイル内の各プロパティに関連する情報に基づいています。
WVS は、オーバーレイレシピを Worker に送信するとき、作成して送信するオーバーレイレシピファイルの正しい名前を知っている必要があります。これにより、そのレシピを受信する Worker がそのファイルを認識できます。これは形状タイプに基づいています。アダプタレシピファイルのデフォルトの名前はアダプタごとに異なるからです。以下に例を示します。
<Property default="pview_overlay.rcp"
name="publish.overlayrecipefile.overlayfilename"/>

<Property default="pview_proe2pv_overlay.rcp"
name="publish.overlayrecipefile.overlayfilename.PROE"/>

<Property default="pview_ug2pv_overlay.rcp"
name=""publish.overlayrecipefile.overlayfilename.UG"/>

<Property default="pview_sw2pv_overlay.rcp"
name=""publish.overlayrecipefile.overlayfilename.SOLIDWORKS"/>

<Property default="pview_inventor2pv_overlay.rcp"
name="publish.overlayrecipefile.overlayfilename.INVENTOR"/>

<Property default="pview_catia5_pv_overlay.rcp"
name="publish.overlayrecipefile.overlayfilename.CATIAV5"/>
生成されたオーバーレイレシピファイルは、共通ファイルシステムを介してジョブ (_wvsjob.paj) ファイルとともに Worker に送信されます。
これらのプロパティは通常、編集してはなりませんが、使用する形状タイプが設定されていない場合に、次の例のように新規エントリを追加することはできます。
<Property default="pview_ccdraft2pv_overlay.rcp"
name="publish.overlayrecipefile.overlayfilename.COCRDRAFT"/>
WVS が作成するオーバーレイレシピファイルの file パラメータに使用するアダプタラベルの定義
publish.overlayrecipefile.adaptername.<shapetype> プロパティを使用して、レシピファイルの作成で使用されるアダプタの名前を指定します。以下に例を示します。ほかの形状タイプを使用する場合は、既存の名前を編集するか、新規の名前を追加します。
<Property default="proe2pv"
name="publish.overlayrecipefile.adaptername.PROE"/>

<Property default="ug2pv"
name="publish.overlayrecipefile.adaptername.UG"/>

<Property default="sw2pv"
name="publish.overlayrecipefile.adaptername.SOLIDWORKS"/>

<Property default="inventor2pv"
name="publish.overlayrecipefile.adaptername.INVENTOR"/>

<Property default="catia5_pv"
name="publish.overlayrecipefile.adaptername.CATIAV5"/>
これらのプロパティは、WVS がレシピファイルを作成し、その場でオーバーレイするときに形状タイプごとに追加する文字列を定義します。
これらのプロパティは通常、編集してはなりませんが、使用する形状タイプが設定されていない場合に、次の例のように新規エントリを追加することはできます。
<Property default="ccdraft2pv"
name="publish.overlayrecipefile.adaptername.COCRDRAFT"/>
これにより、publish.overlayrecipefile.overlayfilename.COCRDRAFT プロパティで名前が指定され、最初の行に file=ccdraft2pv-rcp が含まれているオーバーレイレシピファイルが作成されます。
特定のパブリッシングジョブ変換タイプのレシピ設定を含んでいるソースオーバーレイレシピファイルの定義
publish.overlayrecipefile.fortype.<shapetype>.<convtype> プロパティを使用して、特定のタイプの変換に使用されるソースオーバーレイレシピファイルの名前と場所を指定します。これは形状タイプと変換タイプに基づいています。変換タイプはプロパティ名内で省略することもできます。<convtype> を指定しない場合、すべての変換タイプに同じオーバーレイレシピファイルが使用されます。
下の例の設定は、特定のオーバーレイレシピファイル proe_view.rcp を使用した Creo Parametric アセンブリ (つまり、形状タイプ "PROE" と変換タイプ "view") のパブリッシングと、汎用オーバーレイレシピファイル proe.rcp を使用したその他すべての Creo Parametric 変換タイプのパブリッシングに使用されます。
<Property default="D:\ptc\Windchill\proe_view.rcp"
name="publish.overlayrecipefile.fortype.PROE.view"/>

<Property default="D:\ptc\Windchill\proe.rcp"
name="publish.overlayrecipefile.fortype.PROE"/>

ほかの形状タイプと変換タイプの組み合わせを使用する場合は、それに対応するエントリを追加します。参照されるソースオーバーレイレシピファイルは、Windchill サーバーに作成され、配置される必要があります。例を以下に示します。
<Property default="D:\ptc\Windchill\ccdraft_view.rcp"
name="publish.overlayrecipefile.fortype.COCRDRAFT.view"/>
ここで、COCRDRAFT は形状タイプ、view は変換タイプで、D:\ptc\Windchill\ccdraft_view.rcp は、この場合、送信するレシピオーバーレイ設定を含んでいる WVS バックグラウンドメソッドサーバーホスト上のファイルです。
パブリッシングジョブ変換タイプについては、知識ベース記事 CS53556 を参照してください。
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WVS プロパティを使用してオーバーレイレシピファイルを参照するという方法は、同じコンフィギュレーションが「Visualization コンフィギュレーション管理」 UI で提供されているので、Windchill の将来のリリースで廃止される予定です。
カスタムクラスまたはメソッドオーバーレイファイルの定義
publish.overlayrecipefile.filtermethod プロパティを使用して、使用する Worker オーバーレイレシピファイルを決定するために呼び出されるクラスおよびフィルタメソッドを定義します。フィルタメソッドのプロパティ値は、classname および methodname のフォームで、次の署名とともに指定されます。
public static <String methodname>(Persistable d <String workerType>
<String fileName>)
ここで、
Persistable d は、パブリッシングされるオブジェクトです。
String workerType は、使用されるフル Worker タイプです
(PROE.prtPROE.view など)。
String fileName は、変換されるファイルの名前です。
戻り値は、オーバーレイレシピファイルのコンテンツである文字列です。null が返された場合、オーバーレイレシピファイルは使用されません。
<Property default="" name="publish.overlayrecipefile.filtermethod"/>
既成では、フィルタは設定されていません。
カスタムメソッドには、返されるオーバーレイレシピファイルを決定するビジネスロジックが含まれています。このメソッドは、レシピファイルのコンテンツを文字列として返す必要があります。この後、WVS はこのコンテンツを使用してオーバーレイファイルを作成し、これらの前述の設定の組み合わせに基づいてそれに名前を付けます。
publish.overlayrecipefile.overlayfilename.*
および
publish.overlayrecipefile.adaptername.*
* 
このプロパティは publish.overlayrecipefile.fortype.* 設定をオーバーライドします。
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