ペンシル加工特有のミリングパラメータ
共通のミリングパラメータのほかに、次のパラメータを使用して、ペンシル加工 NC シーケンスによって生成されたツールパスを制御します。
「パス数」(NUMBER_PASSES)
XY ピッチが一定のペンシルミリングパスの数を定義します。開いたプロファイルの一定サーフェス XY ピッチでは、開いたプロファイルの両側に、一連のペンシルオフセットミリングパスの効果がある、指定した数のオフセットが作成されます。標準ペンシルミリングパスでは除去しきれない材料がある場合、仕上げの後でこの方法によってジョブのコーナーをクリーンアップできます。複数のパスを作成する場合、パラメータ LIMIT_PASSES に適切な値を設定します。
CONTACT_ANG_HIGH と CONTACT_ANG_LOW
最小および最大接触角度を設定することで、工具の接触角度の範囲を設定します。角度がその範囲内にある領域の周囲に境界が描画されます。なだらかな領域を検出するため、通常は 0 から 30 度の範囲にします。ただし、最小または最大角度に非常に近い部分ではエッジがぎざぎざになることがあります。そのようなときには範囲を少し変更します。または、境界に少しのオフセットを与えることで、ぎざぎざのエッジをなくすことができる場合もあります。
OVERTHICKNESS
工具が境界領域と接している場合、このパラメータを使用します。コーナーをスムーズにするときに使用するものより若干大きい工具が必要な場合、厚みを設定することに加え、工具に余分な厚みを適用できます。このパラメータは、ペンシルミリングパスオペレーションまたはストックモデルを使用してパスを編集する場合に設定できます。このパラメータを設定した場合、カッターの半径より半径が大きいパスをフィレットに沿って作成することもできます。「例: 角度制限を使用したペンシル加工」のトピックを参照してください。
CLEAR_BY
これは、早送りリンクモーション中に工具がサーフェスから離れる最小距離です。工具の先端とサイドのすべての点が、この距離だけサーフェスを回避します。最小垂直リトラクトモーションの場合、工具はクリアランスが確保される高さまで上がります。最短ルートモーションの場合、工具は指定した距離内のクリアサーフェスを越えると、クリアランスを確保するため、サーフェスの上に上がります。
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このクリアランスが、カッターにすでに指定している厚みに追加されます。特に、負の厚みの場合、クリアランスは実際のサーフェスではなく厚みが減ったサーフェスの上になります。したがって、工具がサーフェスと誤ってぶつからないようにするため、この値を大きく設定する必要があります。
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CLEAR_WITHIN
このパラメータは、最短ルートリトラクトのパスに影響します。このパラメータは、高速モードに入る前にサーフェスから工具が離れる距離、つまり加工パスのリードアウトの長さを指定します。この距離は、リードアウト円弧の端から水平に、サーフェスからの工具のクリアランスが確保される点まで測定されます。
CURL_DOWN_RADIUS と CURL_OVER_RADIUS
これらのパラメータの値によって、リトラクト移動のリードアウト/リードインセグメント間のツールパスの円弧が変わります。これらのパラメータは、「リトラクト方法」(RETRACT_OPTION) パラメータが値 SHORTEST_ROUTE に設定されている場合にのみ適用されます。CURL_OVER_RADIUS はリードイン移動の円弧の値を定義し、CURL_DOWN_RADIUS はリードアウト移動の円弧の値を定義します。
HORIZONTAL_OFFSET
このパラメータの値を YES に設定した場合、プロファイルのオフセットの XY ピッチは水平平面のみから取得されます。つまり 2D オフセットになります。「急勾配 XY ピッチ」(STEEP_STEP_OVER) の値は無視されます。「例: 水平オフセットを使用したペンシル加工」のトピックを参照してください。
RESTPASS_ENABLE
大きなカッターが届かない領域にだけパスを生成するには、このパラメータを使用します。このパラメータを YES に設定した場合、前の工具を選択する必要があります。
LIMIT_PASSES
コーナーを加工する際に生成されるパスの数を制限するには、このパラメータを使用します。LIMIT_PASSES を NO に設定した場合の結果を次の例に示します。切削工具より大きい前の工具も定義されています。「例: パスを制限することによるペンシル加工」のトピックを参照してください。
CONTACT_AREAS_ONLY
このパラメータを使用した場合、カッターが参照と接触する場所にのみパスが作成されます。非接触領域を含む領域を加工する場合、このパラメータは使用しないでください。「例: 接触領域のペンシル加工」のトピックを参照してください。
REVERSE_LINK_DIRECTION
パスの方向を反転するには、このパラメータを使用します。双方向パスの場合、各パスは前のパスとは反対の方向に加工されます。
「最小リトラクト距離」(MIN_RETRACT_DISTANCE)
あるパスの終点と別のパスの始点との間で移動する際、移動距離に応じて、カッターはサーフェス上にとどまるか、リトラクトします。このパラメータは、2 つの状態間の決定を行う点を制御します。あるパスの終点と別のパスの始点間の距離がこの値より小さい場合、カッターはサーフェス上にとどまります。距離が大きい場合、カッターはクリアランス平面までリトラクトします。「例: ペンシル加工中のカッター配置」のトピックを参照してください。
SURFACE_RAMP_OPTION
参照に沿った各パス間のランプ接続を制御するには、このパラメータを使用します。このパラメータには次の値があります。
• 「直線」(Straight Line) - サーフェスに沿った各パス間が直線によって直接接続されます。
• 「角度付き」(With Angle) - サーフェスに沿った各パス間がこの推奨角度で直線によって直接接続されます。
• 「角度付き正接」(Tangent With Angle) - サーフェスに沿った各パス間が角度付きリンクモーションで直接接続されます。この接続は、スムーズな S 字カーブです。
• 「スプラインカーブ」(Spline Curve) - サーフェスに沿った各パス間がカーブによって接続されます。この移動はなめらかであり、鋭いコーナーがないので、リンクの長さ全体を通してカッターの速度はほぼ変わりません。
MIN_PASS_LENGTH
カットする加工パスの長さを設定するには、このパラメータを使用します。指定した長さより短いパスはツールパスに含まれません。
TRIM_PASS_OPTION
このパラメータの値を MINIMUM または FULL に設定することで、トリミングスタイルを定義します。水平加工パスにリード円弧を追加した場合、トリムされるパスの長さは円弧の半径以下になります。ただし、急勾配の仕上げパスに円弧を追加した場合、トリムされるパスの長さ、つまりトリミング距離はずっと大きくなります。これにより、加工パスが過剰に除去され、材料の大きな領域がカットされずに残る可能性があります。
MAX_TRIM_LENGTH
このパラメータを使用した場合、トリミング距離に制限が加わります。トリムの量が指定した値を上回る場合、円弧は使用されず、その代わりにパス全体が加工され、直線垂直モーションが追加されます。
RAMP_EXTENSION
ランプの開始の高さを増やすには、このパラメータを使用します。
REMOVE_SPIKES
急勾配の領域に隣接するサーフェス上の鋭いジャンプを除去するには、このパラメータを使用します。パスの終点の、あるサーフェスが別のサーフェスとかなりの急角度で接している場所に、鋭いジャンプが生じることがあります。これは、カッターが急勾配のウォールと接触して上に上がるか、高いレッジから落下して底に落ちる場所で生じます。このパラメータを使用してスパイクを除去すると、鋭いジャンプが除去されます。
この値を end に設定した場合、パスの終点にあるスパイクだけが除去されます。このオプションがアクティブな場合、ループパスには終点がないのでスパイクは除去されません。この場合、このオプションを選択解除することで、パスの中央からスパイクを除去できます。
MAX_SPIKE_ANGLE
MAX_SPIKE_ANGLE よりも角度が大きいスパイクまたはジャンプがツールパスから編集されます。この角度は水平平面から測定されます。
SPIKE_ALLOWANCE
スパイクの影響を受ける領域上の編集する領域の最大長さを指定するには、このパラメータを使用します。スパイクの上または下に残っている小さい水平領域をトリムできます。
SURFACE_RAMP_ANGLE
このパラメータをパラメータ SURFACE_RAMP_OPTION とともに使用することで、計算で使用するランプ角度の値を取り込むことができます。
「リトラクト方法」(RETRACT_OPTION)
このパラメータは、ペンシルミリングパスに適用するリトラクトスタイルを定義します。このパラメータには次の値があります。
• 「常時」(ALWAYS) - カッターはクリアランス平面まで垂直に上に移動し、この高さで直線に移動し、次のパスの始点まで垂直に下がります。
• 「最短ルート」(SHORTEST_ROUTE) - カッターは、サーフェスとのクリアランスを維持し、進行を早めるためにカーブを採用しながら、あるパスから別のパスへの直接ルートをとります。リトラクト移動の最小高さは CLEAR_BY パラメータによって制御され、形状はパラメータ RETRACT_SMOOTH_RADIUS、CURL_OVER_RADIUS、CURL_DOWN_RADIUS によって制御されます。
• 「最小垂直」(MINIMAL_VERTICAL) - カッターはサーフェスとのクリアランスを確保するために必要な最小 z 高さまで垂直に上に移動し、この平面に沿って直線に移動し、次のパスの始点まで垂直に下がります。リトラクトの最小高さは「CLEAR_BY」パラメータによって制御されます。