図面に対する変更の保持
HMX V50 に追加された新機能の中で大きな割合を占めているのが、図面オブジェクトに対する変更を保持する機能です。
変更には以下のようなものがあります。
ビュー、テーブル、参照注記、およびバルーンの位置情報
ワイヤリストとキャビティテーブルのサイズ (幅) 情報
2D スケッチ内でのセグメントの向きの変更
2D スケッチ内のセグメントへのベンドの作成
接続されている構成部品に適用される拘束
破断ビュー
この情報は図面が保存されたときに図面に直接保存され、外部ファイルは必要ありません。
この機能のワークフローは次のとおりです。
1. HMX を実行して図面を作成します。図面を完全にデフォルトのままにすることも、任意の数のカスタムテーブルを作成することもできます。
2. 必要に応じて、テーブル、ビュー、注記、シンボルを移動します。
3. (オプション) asksmt.asm アセンブリを開き、セグメントの向きを変更したり、既存のセグメントにベンドを作成したりしてから、スケッチャーとアセンブリウィンドウを閉じます。
4. この図面を保存します。
5. 後日、新しいセッションで、元のアセンブリを開いてから、保存済みの図面をセッションに読み込みます。
6. 図面をセッションから消去せずに閉じます。
7. HMX を起動し、図面をテンプレートとして再使用するため、「はい」(Yes) を選択します。
8. (オプション) コンフィギュレーションオプションの変更やテーブルのカスタマイズを行います。
9. 「ハーネスを平展開」(Flatten Harness) ボタンをクリックします。
10. 新規図面が生成されます。この図面には、図面オブジェクトの以前の配置と、テーブル、ビュー、注記、およびシンボル生成に対する新しい変更がまとめられます。
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「保存」(Save) 操作のみがサポートされています。「名前を付けて保存」(Save As) は、図面のコピーが作成されるのでサポートされていません。
位置の変更
位置の変更は、図面シート上のオブジェクトの位置を参照します。ワイヤリスト、キャビティテーブル、部品表をシート上の任意の場所に移動でき、図面をテンプレートとして再使用する機能を使用して図面をテンプレートとして再使用した場合、それらの位置が保持されます。
これらの位置は、ワイヤリスト、部品表、2D ビュー、3D ビューの場合は別のオブジェクトを参照し、キャビティテーブルとビュー、参照指定子、バルーンの場合は属しているコネクタを参照して、絶対位置で指定できます。
絶対位置の場合、2 回目の実行では、1 回目の保存済みの実行のときと同じシート位置にオブジェクトが配置されます。
キャビティテーブルおよびビューがデフォルトの位置からコネクタに隣接する位置に移動した場合には、参照位置が使用されます。これにより、3D のルーティングのわずかな変更が 2D スケッチで保持されるとともに、キャビティテーブルと 2D スケッチの重なりが除去されます。
テーブルコンテンツの変更
テーブルコンテンツの変更とは、保持されている図面を使用した 2 回目の実行時に適用されるテーブルのカスタマイズを指します。テーブルコンテンツが変更された場合、HMX では、生じる可能性がある重なりを除去するために、図面オブジェクト要素の保持されている配置に新しい変更を取り込むことが試みられます。この結果、示されている順序で以下の変更が行われることがあります。
1. ワイヤリストテーブルをカスタマイズして列の数が変わった場合、その右側にあるすべてのオブジェクトがさらに右に移動します。
2. キャビティテーブルとキャビティビューの位置は、そのコネクタ参照からオフセットして再使用され、移動していないキャビティテーブル間の距離を維持しながら、その右側にあるすべてのオブジェクトがさらに右に移動します。
3. 3D ビューが、保持されている絶対位置に配置されます。
4. 部品表が、保持されている絶対位置に配置されます。
スケッチセグメントの変更
サポートされているスケッチセグメントは次の 2 つのカテゴリに分類されます。
セグメントまたはセグメントチェーンの回転
セグメントの破断およびセグメントへのベンド作成
オリジナル
ベンド/回転
これらの変更のいずれかが 2D スケッチに対して実行された場合、HMX で作成された図面に戻ると、スケッチの寸法が分解表示されています。これを解決するため、HMX ユーザーインタフェースに「図面を更新」(Update Drawing) コマンドが追加されました。このボタンを選択すると、Creo Parametric ウィンドウでアクティブな図面がある場合、2D ビューの寸法、注記、シンボルがデフォルトにリセットされます。
スケッチの修正を含む保存済み図面を再使用して新規図面を作成すると、破断したセグメントとベンドされたセグメントにはオレンジ色の寸法が表示されて、そのセグメントに変更が加えられたことが示されます。
拘束の保持
HMX 図面を作成した後、構成部品に適用されている拘束を編集できます。保存済みの図面をテンプレートとして使用する際に修正内容を保持するには、以下の拘束保持規則に従う必要があります。
重要なものから順にリストされている以下の規則を考慮してください。
1. ASMSKT.ASM 内の部品に適用される新しい拘束の場合、アセンブリ参照は、HMX でモデルツリーから名前付きで作成された明示的なフィーチャーでなければなりません。
2. 軸配置構成部品の場合、新しく適用された拘束によって、HMX で必要とされるジオメトリ配置規則に構成部品が違反することがないようにする必要があります。
3. 保存された出力を維持するためには、構成部品が完全に拘束されている必要があります。
4. どのような拘束タイプでも使用できます。
保持されている図面編集を適用できない場合
実行と実行の間でコンフィギュレーションオプションが大幅に変更された場合など、図面に対する変更が保持されないことがあります。これには次のような場合があります。
シートサイズを可変と固定の間で変更
「適合するようにベンド」(Bend to Fit) オプションを変更
「コスメティック」(Cosmetics) 追加を変更
ビューがないカスタマイズされたテーブルから、ビューがあるカスタムテーブル、またはデフォルトテーブルに変更
コネクタの寸法スキームを変更
「テーブルにシールドを含める」(Include Shields in Tables) オプションを変更
キャビティテーブルにすべてのピンを含めるオプションを変更
「円錐角度」(Cone Angle) の値を変更
「単一ピンコンポーネントを除外」(Exclude single pin components) オプションを変更
さらに、スケッチの編集中に、非接合セグメントが作成された場合、保存済みの変更が有効ではなく、別の図面の作成に再使用できないことを知らせる警告が表示されます。
このいずれかの状況が発生した場合、その図面をテンプレートとして使用すると、保持されている変更が再適用されず、デフォルトの図面が作成される可能性があることを知らせる警告が表示されます。