Creo Flow Analysis > プリプロセス > 物理の定義 > 力学 (ダイナミック) > 条件 > 直線運動
  
直線運動
「Translation (1 DOF)」は、境界またはボリュームの線形運動を明示的に指定するか、動的なフォースバランスで決定します。直線運動は 1 方向のみ使用可能です。それぞれ固有のダイナミックとともに「Translation (1 DOF)」モジュールを無制限に追加でき、モジュールごとに異なる名前を設定できます。
「プロパティ」(Properties) パネルでは、以下の条件とパラメータを使用できます。
「設定オプション」(Setup Options)
「Key Dynamics」
「Simulation Method」
「Time Definition」 - 「Simulation Method」「Transient (Moving Grid)」に設定した場合
「運動タイプ」(Motion Type)
「ODE Time for Steady-State Run」 - 「Simulation Method」「Steady(Fixed Position)」に設定した場合
「Movement Direction」
「Minimum Displacement」
「Maximum Displacement」
設定オプション
これは設定およびパラメータに適用され、パラメータを再設定することなく切り替えることができます。モデルのセットアップ向けには 2 つの「設定オプション」(Setup Options) があります。
「Normal Mode」 - 「ダイナミック」(Dynamics) モジュールの選択時に、セットアップを簡素化する目的で表示オプションを制限します。
「Advanced Mode」 - 「ダイナミック」(Dynamics) モジュールの選択時に、使用できるすべてのオプションを表示します。
「設定オプション」(Setup Options)「Advanced Mode」を選択すると、「プロパティ」(Properties) パネルに次の設定が表示されます。
「Stability Factor (0-0.9)」 - 選択した「ダイナミック」(Dynamics) モジュールで使用される陰的ソルバースキームと陽的ソルバースキームの数を制御します。値ゼロが、完全に陽的なソルバースキームに相当します。ゼロ以外の値は、陰的ソルバースキームの割合でソルバー法に重み付けをします。値が 0.3 の場合、70% が陽的で 30% が陰的になります。安定性係数の値が大きいほどソリューションが安定しますが、数値的な処理は増加します。
「Contact Friction Model」 - フォースバランス式での摩擦による追加フォースを指定します。この摩擦モデルをアクティブ化するには、「はい」(Yes) を選択します。「Contact Friction Model」の下で指定するオプションは次のとおりです。
「静摩擦係数」(Static Friction Coefficient)
「Sliding Friction Coefficient」
「接触フォース」(Contact Force)
「Bounce Model」 - 関連付けられたボリュームまたは境界が運動の限界に達したとき、どのようにはね返るかを指定します。バウンスに関連付けられた運動エネルギーは、運動が最小変位または最大変位に達したポイントで適用されます。このモジュールのオプションは次のとおりです。
「No Bounce」 - 運動エネルギーの完全損失。
「Partial Bounce」 - 指定した運動エネルギー損失の値に基づいてエネルギーを損失した状態で、ボリュームまたは境界が方向を変えます。運動エネルギー損失の値は、0 から 1 の間で定義します。運動エネルギー損失の値が 1 の場合、運動エネルギーは完全に失われます。
「Perfect Bounce」 - エネルギーをまったく失うことなく、エネルギーボリュームまたは境界が方向を変えます。完全なバウンスでは、粒子の運動量および運動エネルギーが完全に保存されます。
「ODE Integrator」 - 常微分方程式 (ODE) ソルバーに次のオプションのいずれかを指定します。
「Stiff」 - Creo Flow Analysis 独自の ODE 向け陽的ソルバー。「Stiff」はこのモジュールのデフォルト設定です。「公差」(Tolerance) を指定できます。
「Euler」 - 与えられた初期値で常微分方程式 (ODE) を解くための 1 次数値プロシージャ。
「Runge Kutta」 - 常微分方程式を数値積分するための陽的な方法。「公差」(Tolerance) を指定できます。
キーダイナミック
選択した「ダイナミック」(Dynamics) モジュールに対して、「Key Dynamics」「はい」(Yes) または「いいえ」(No) に設定すると、このモジュールがすべてのモジュールの「Time Definition」を制御します。
 
*注記 「Translation (1 DOF)」または「Rotation (1 DOF)」のどちらかのモジュールに対して、「Key Dynamics」「はい」(Yes) に設定します。2 番目のモジュールに対して「Key Dynamics」「はい」(Yes) に設定すると、最初のモジュールの「Key Dynamics」「いいえ」(No) に再設定されます。
シミュレーション方法
「Simulation Method」で使用できるシミュレーション方法は次の 2 つです。
1. 「Steady(Fixed Position)」 - ボリュームまたは境界は、次のどちらかに基づいて一定の位置に直線移動します。
「指定」(Prescribed) - ボリュームまたは境界は、最初のイテレーションで指定された位置に直接移動します。
「フォースバランス」(Force Balance) - 各イテレーションの疑似時間ステップに従って ODE を解くことで、バルブ位置を取得します。固定シミュレーション法を選択した後、「ODE Time for Steady State Run」オプションがアクティブ化され、値には疑似時間ステップが秒で提供されます。
2. 「Transient (Moving Grid)」 - ボリュームまたは境界は、指定された運動またはフォースバランスに基づいて、時間とともに直線移動します。これは、「Flow Analysis」タブ内の非定常シミュレーションに対応します。
運動タイプ
ボリュームまたは境界に対して選択した運動は次のように指定されます。
「フォースバランス」(Force Balance) - バルブ位置は非定常時間ステップに従って ODE を解くことで取得されます。「フォースバランス」(Force Balance) パラメータには次が含まれます。
初期変位
初期速度 (m) - 移動中のボリュームまたは境界に対して初期速度 (t=0) を設定します。これはシミュレーションの開始時 (t=0) に適用されます。初期速度の値が正になる場合、移動ベクトルの方向と同じ方向になります。
「ボディ質量」(Body Mass)
ばね定数
ばね初期荷重フォース
「減衰係数」(Damping Coefficient) - 速度とは逆方向のフォースを生成し、指定した平均値に依存します。減衰係数に関連付けられたフォースは、運動方向に逆らいます。
「Additional Force on Body」 - 「Translation (1 DOF)」運動のフォースバランスにフォースを追加します。このオプションは、「Advanced Mode」を選択した場合に表示されます。これは移動方向ベクトルの方向に適用されます。
「指定」(Prescribed) - ボリュームまたは境界は、最初の時間ステップで指定された位置に直接移動します。ここに変位値を指定します。「指定」(Prescribed) を選択した後で、「定義式エディタ」(Expression Editor) を使用して変位の定義式を時間関数として指定します。ここで指定した変位および関連速度にアクセスするには、定義式変数 trans_1d.displacement および trans_1d.velocity を使用します。変位の単位は m です。
非定常 (グリッド移動) シミュレーションに対して一定の変位を指定すると、最初の時間ステップでボリュームまたは境界がその位置に直接移動します。
「指定」(Prescribed) に定常 (固定位置) を設定した場合、ボリュームまたは境界は、t=0 に対応する変位位置に直接移動します。
時間定義
非定常シミュレーションでの時間ステップの数とサイズを、サイクルおよび合計時間ステップに基づいて決定します。このオプションは、「Transient (Moving Grid)」を選択した場合に表示されます。いずれかのモジュールを選択して「Key Dynamics」「はい」(Yes) に設定すると、「Time Definition」オプションが表示されます。
「サイクル」(Cycles) - 次に基づいて、シミュレーション内の時間ステップの数とサイズを決定します。
「サイクル数」(Number of Cycles)
「Number of Time Steps per Cycle」
「Motion Frequency(Hz)」 - デフォルト値は、システムの固有周波数に基づいて計算されます。
「Total Time Steps」 - シミュレーション内の時間ステップの数とサイズを、次に基づいて決定します。
「Number of Time Steps per Cycle」
「Motion Frequency(Hz)」
ODE 時間 (定常実行)
「ODE Time for Steady State Run」のデフォルト値は 1 です。この値が小さくなるほど疑似時間ステップも小さくなり、結果としてより低速で安定性の高いソリューションになります。いずれかのモジュールを選択して「Key Dynamics」「いいえ」(No) に設定すると、「ODE Time for Steady State Run」オプションが表示されます。
移動方向
直線移動するボリュームまたは境界に対して、正の運動の方向を設定します。これは、モデル座標系を基準とした 構成部品について指定します。
最小変位
「Translation (1 DOF)」で指定された変位の最小値を制限します。最小変位の単位は m であり、これを物理的な限界または停止と見なすことができます。「指定」(Prescribed) または「フォースバランス」(Force Balance) に対応する変位 trans_1d[.subname].displacement が最小変位に達すると、次のようになります。
trans_1d[.subname].displacement の値がこのポイントより低下することはありません。
選択されたバウンスモデルに対応するエネルギーにより、ボリュームまたは境界がはね返ります。
 
*注記 デフォルト値は 1 です。#INF は、移動方向とは逆方向へのオブジェクトの運動で、trans_1d.displacement が負の無限大に達する物理的な制限がないことを意味しています。
最大変位
「Translation (1 DOF)」で指定された変位の最大値を制限します。最大変位の単位は m であり、これを物理的な限界または停止と見なすことができます。「指定」(Prescribed) または「フォースバランス」(Force Balance) に対応する変位 trans_1d[.subname].displacement が最大変位に達すると、次のようになります。
trans_1d[.subname].displacement の値がこのポイントを超えることはありません。
選択されたバウンスモデルに対応するエネルギーにより、ボリュームまたは境界がはね返ります。
 
*注記 デフォルト値は 1 です。#INF は、移動方向へのオブジェクトの運動で、trans_1d.displacement が正の無限大に達する物理的な制限がないことを意味しています。
条件