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制約
概要
GD&T Advisor アプリケーションを Creo と連携させて使用することで、部品の寸法と公差を正確に定義できます。選択した公差規格 (ASME Y14.5-2009 または ISO 1101:2012) に基づいてユーザーに指示やアドバイスを提供するインテリジェントな GD&T フィルタ機能が開発されました。
このドキュメントでは、このリリースの GD&T Advisor での最も重要な制約について説明します。一部の制約は Creo の機能における制限が原因である場合があります。GD&T は非常に広範であるため、ここで説明する以外にも制約がある可能性があることに注意してください。
このアプリケーションの制約について理解することで、設計上サポートされていない操作を回避できます。ただし、GD&T Advisor は Creo での GD&T アノテーションの作成を (選択した公差規格に従って) 短時間、簡単、正確に行うためのツールであることを理解しておくことが重要です。一部の部品では、GD&T Advisor を使用して、必要なアノテーションすべてではありませんがその大部分を作成できます。残りのアノテーションは、通常、ネイティブの Creo 機能を使用して作成できます。
以下の図には、すべての寸法と幾何公差が完全に定義されている部品が示されています。黒色で表示されているアノテーションは GD&T Advisor で定義されたものです。ただし、(このドキュメントで説明する) GD&T Advisor のいくつかの制約により、まだ完全にはサポートされていないいくつかの形体と寸法があります。これらの残りのアノテーションはネイティブ Creo 機能を使用して作成されています (黄色で表示)。追加の Creo アノテーションを使用する際の唯一の制約としては、それらのアノテーションの正確さを評価することはできず、サーフェスの拘束状態を調べる際にそれらは考慮されません。
これらの制約の多くには、このソフトウェアの今後のバージョンで対処することが予定されています。
アセンブリレベルの幾何公差
GD&T Advisor は個々の部品に対してのみ機能します。アセンブリの寸法と公差の指定はサポートしていません。
CAD 寸法への関連付け
GD&T Advisor を使用することで、GD&T を適切に定義し、各部品形体に寸法を関連付けてから、ネイティブの Creo アノテーションを自動的に作成できます。GD&T Advisor には、寸法と公差の指定が完全であることを視覚化するためのツールが用意されています。さらに、選択した公差規格の規則と最良事例に準拠しているかどうかも評価され、情報、警告、エラーメッセージの形式でフィードバックが提供されます。
どの場合も、寸法は Creo で作成されている必要があります。場合によっては、これらの寸法を GD&T Advisor の形体に関連付けることができ、その場合、それらの寸法がスキームのビジュアリゼーションと評価で考慮されます。その他の、オフセット角度寸法などの場合、GD&T Advisor の形体に関連付けることはできませんが、完全な寸法スキームの一部として表示することは可能です。
サイズ寸法
CAD モデル内ですべてのサイズ寸法が (パラメトリック寸法またはアノテーション寸法として) 定義されている必要があります。GD&T Advisor では、形体のサイズ寸法を関連するサイズ形体に関連付けることができます。場合によっては、形体 (穴、テーパスラブなど) 固有のサイズ寸法があります。ただし、これらは別個の形体の向かい合う要素間のサイズ寸法でもある場合があります。以下の表に、サイズ寸法の定義に使用可能な形体の組み合わせを示します。表の各セル内の値は、GD&T Advisor がその形体ペア間のサイズ寸法の適用をサポートしているかどうかを示しています。
参照
ソース
平面
円柱
球体
平面
はい
いいえ
いいえ
円柱
いいえ
いいえ*
いいえ
球体
いいえ
いいえ
いいえ
前出の表で、ソースが平面または円柱である場合、参照が平面または円柱であるのが一般的な状態です。
*注記: スロット穴の長さはサポートされます
次の例には、GD&T Advisor の形体に関連付けることができないサイズ寸法が示されています。
例: 平面サーフェスと向かい合う穴の要素
例: 球サーフェスと向かい合う平面サーフェス
前述のように、すべての寸法が CAD システムで定義されているので、GD&T Advisor ではこれらの例に示されている寸法に形体を関連付けることができないことが唯一の制約となります。これらの寸法は以降もその部品の完全な寸法スキームに含めることができますが、GD&T Advisor によってこれらの寸法を評価することはできません。
 
*注記 警告: 未検証のアノテーションは、指定されている公差規格に準拠していなかったり、GD&T Advisor で定義されている寸法や幾何公差と競合したりすることがあります。
オフセット寸法
以下の表に、オフセット寸法の定義に使用可能な形体の組み合わせを示します。表の各セル内の値は、GD&T Advisor がその形体ペア間のオフセット寸法の適用をサポートしているかどうかを示しています。
参照
ソース
平面
円柱軸
球体の中心
平面
はい
いいえ
いいえ
円柱軸
いいえ
いいえ
いいえ
球体の中心
いいえ
いいえ
いいえ
前出の表で、ソースが平面である場合、参照が平面であるのが一般的な状態です。
公差規格では一般的に、重要な形体の配置にオフセット寸法を使用することは推奨されていません。
カウンタボア深さ
カウンタボアの深さは以下の図のように定義することが慣例になっています。しかし、GD&T Advisor ではこのスキームはサポートされていません。
交差の寸法
ここに示す寸法スキームは Creo で定義可能ですが、GD&T Advisor ではサポートされていません。
角度寸法
以下に示すような角度寸法は完全な寸法スキームに含めることができますが、GD&T Advisor によってこれらの寸法を評価することはできません。
作図円のサイズ寸法
GD&T Advisor では、ここに示す直径寸法のような、作図ジオメトリの寸法はサポートされていません。
トポロジー拘束
シャフト直径によって駆動されるテーパシャフトのサイズ
隣接するシャフト形体の直径によってゲージ直径が駆動されるテーパシャフトを GD&T Advisor で定義することはできません。
正接サーフェス
球サーフェスや円柱サーフェスのサイズと位置が形体トポロジーによって暗黙的に示されることがありますが、GD&T Advisor ではこれらの状態はサポートされていません。
例: スラブまたはスロットに正接する円柱サーフェス
例: シャフトに正接する球サーフェス
サポートされない形体タイプ
GD&T Advisor では次の形体タイプはサポートされていません。
ドーナツ状サーフェス - 回転サーフェス形体によって表すことができますが、サポートされる寸法スキームに制限があります (直径寸法と半径寸法はサポートされません)。
チューブ (パイプ) - この形体タイプは、同軸円柱サーフェス間のウォールの厚み寸法を表すときに必要です。
ラウンド
面取り
ネイティブの Creo 機能を使用してこれらの形体タイプに寸法と公差を定義できますが、これらの拘束を GD&T Advisor で評価することはできません。
幾何公差の制約
方向幾何公差
GD&T Advisor では、方向を指定する実際的な手段がないため、平面サーフェス上の真直度など、方向を指定する必要がある幾何公差はサポートされていません。
双方向位置度公差
GD&T Advisor では、穴形体やシャフト形体での双方向の位置度公差はサポートされていません。
単位あたりの形状公差
GD&T Advisor では以下はサポートされていません。
平面度/面積
真直度/長さ
ただし、これらはネイティブの Creo 機能を使用して定義できます。
基準寸法
ASME Y14.41 または ISO 16792 に従って、モデルをクエリーすることでモデルの基準寸法を取得できます。このため、通常は基準寸法を表示する必要はありません。
GD&T Advisor では '必須' の基準寸法のみがサポートされます (テーパ形体のゲージサイズに関連するオフセット寸法など)。
GD&T Advisor では 'オプション' の基準寸法 (形体の位置決め寸法など) はサポートされませんが、ネイティブの Creo 機能を使用してこれらを表示することは可能です。
データム
GD&T Advisor では以下はサポートされていません。
点データム形体 (ボールやソケットなど)。
3 つのデータム形体を参照する共通データム (A-B-C など)。
以下もサポートされていません
制御されている半径
円弧長寸法
平均直径
サーフェスの一部の領域に適用されている振れ公差
その他
複数サーフェス形体のパターン
GD&T Advisor では、六角形形体や六角形形体のパターンなどの不規則なサイズ形体にスキームを効果的に定義するための手段はサポートされていません。
ファミリーテーブル部品
GD&T Advisor では、ファミリーテーブル部品の複数のインスタンスへのアノテーション付けはサポートされていません。データ破損の問題を回避するため、GD&T Advisor はファミリーテーブル部品の 1 つのインスタンスのみを処理できます。