Windchill レプリケーション - コンテキスト外コレクションと存在しないオブジェクト
Windchill コンテキストレプリケーションを使用しているときに、高度に構造化されたデータでは、オブジェクト間の関連が、レプリケーション対象のコンテキスト内に収まらずにレプリケーション対象でないほかのコンテキストに及ぶという問題が発生します。そのような場合、デフォルトの動作では、コンテキスト内のオブジェクトだけがレプリケーション用パッケージに含まれるように、コンテキスト境界で関連が切り捨てられます。
次のプロパティを使用することで、コンテキストレプリケーションの動作を変更して、複数のコンテキストにまたがる関連をトレースし、追加で収集されたオブジェクトをレプリケーションパッケージに含めることができます。
名前
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説明
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デフォルト値
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com.ptc.windchill.wp.rep.enableOutOfContextCollection
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レプリケーション済みコンテキストの外部でリンクされたオブジェクトのコレクションを制御します。
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false
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com.ptc.windchill.wp.enableMissingObjectTrackingSource
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ソースシステムに存在しないオブジェクトのトラックを制御します。
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false
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com.ptc.windchill.wp.enableMissingObjectTrackingTarget
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ターゲットシステムに存在しないオブジェクトのトラックを制御します。
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false
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プロパティ enableOutOfContextCollection - ロジック
あるオブジェクトでプロパティ com.ptc.windchill.wp.rep.enableOutOfContextCollection が有効になっていて、そのコンテキスト内の部品または CAD ドキュメントにコンテキスト外のリンクがある場合、次のコレクションロジックが使用されます。
レプリケーションコンテキスト内の部品バージョンごとに、以下が収集されます。
• すべての子部品依存 (最新のコンフィギュレーション仕様を使用)。
• シードオブジェクトまたはその依存に関連するすべてのドキュメント。
• シードオブジェクトまたはその依存に関連するすべての変更管理オブジェクト。
• シードオブジェクトまたはその依存に関連するすべての置換部品。
レプリケーションコンテキスト内の CAD ドキュメントのバージョンごとに、以下が収集されます。
• すべての子 CAD ドキュメントの依存 (最新のコンフィギュレーション仕様を使用)。
• シードオブジェクトまたはその依存に関連するすべての変更管理オブジェクト。
• すべての図面、ファミリーテーブル、ジェネリック、パブリッシングされたコンテンツ。
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部品でも CAD ドキュメントでもないレプリケーションパッケージメンバーについては、何も収集されません。
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収集された依存の、各リリース済みリビジョンの最新作業版数とリリースされていないリビジョンの最新作業版数がコレクションに含まれます。たとえば、部品に次のバージョンがあるとします。
• A.1 (リリース済み)
• B.1 (作業中)
• C.1 (リリース済み)
• D.1 (作業中)
• D.2 (作業中)
• E.1 (作業中)
• E.2 (作業中)
次のバージョンが収集されます。
• A.1 (リリース済み)
• B.1 (作業中)
• C.1 (リリース済み)
• D.2 (作業中)
• E.2 (作業中)
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• 追加の関連オブジェクト (子でないオブジェクト) は、初期コンフィギュレーション仕様 (最新) によって選択されたオブジェクトのみから収集されます。これらは以降に収集されたバージョンからは収集されません。
たとえば、子部品の部品 B リビジョン 2 が最新のコンフィギュレーション仕様によって選択された場合、部品 B リビジョン 2 に関連する変更管理オブジェクトとドキュメントが収集されます。その部品の部品 A リビジョン 2 がリリース済みである場合、それはパッケージに含まれますが、その関連オブジェクト (変更管理オブジェクト、ドキュメントなど) はパッケージに含まれません。
• 収集時には標準アクセス制御が適用されるので、再表示を実行しているユーザーがアクセス可能なオブジェクトだけが収集されます。
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コレクションロジックの例
例 1:
REL - リリース済み、IW - 作業中
コレクションの結果は次のようになります。
オブジェクト | 収集されたバージョン | 存在しないオブジェクト | コメント |
部品 1 | A | | シードオブジェクト |
部品 2 | C | | 最新のコンフィギュレーション仕様によって含まれます |
部品 2 | B | | 以前にリリース済みのバージョンは含まれますが収集されません |
部品 2 | A | | 以前にリリース済みのバージョンは含まれますが収集されません |
部品 3 | なし | Y | 部品 2 リビジョン A からは収集されません |
部品 4 | なし | Y | 部品 2 リビジョン B からは収集されません |
部品 5 | A | | 最新のコンフィギュレーション仕様によって含まれます |
部品 6 | A | | 最新のコンフィギュレーション仕様によって含まれます |
部品 7 | なし | | 親が含まれていないので収集されません |
部品 8 | なし | | 親が含まれていないので収集されません |
部品 9 | なし | | 親が含まれていないので収集されません |
部品 10 | なし | | 親が含まれていないので収集されません |
最新のコンフィギュレーション仕様が使用されている場合、部品 2 リビジョン C が部品 5 および部品 6 とともに収集されます。部品 2 の以前にリリース済みのリビジョンも含まれます (ただしそこから収集はされません)。部品 3 は部品 2 リビジョン A の下で存在しないオブジェクトとしてマークされ、部品 4 は部品 2 リビジョン B の下で存在しないオブジェクトとしてマークされます。
最新のリリース済みのコンフィギュレーション仕様が使用されている場合、部品 2 リビジョン B、部品 4 リビジョン A、および部品 9 が収集されます。それらのリリースされていないそれ以降のリビジョンも含まれます (ただしそこから収集はされません)。部品 3 は部品 2 リビジョン A の下で存在しないオブジェクトとしてマークされ、部品 5 と 6 は部品 2 リビジョン C の下で存在しないオブジェクトとしてマークされ、部品 10 は部品 4 リビジョン A の下で存在しないオブジェクトとしてマークされます。
上記のいずれのシナリオでも、部品 7 と部品 8 は決して発生しない第 2 レベルの関連付けです (含まれることも存在しないオブジェクトとしてマークされることもありません)。
例 2:
コレクションの結果は次のようになります。
オブジェクト | 含まれる | 存在しないオブジェクト | コメント |
部品 1 | Y | | レプリケーションコンテキストに含まれます |
部品 2 | Y | | コンフィギュレーション仕様によって含まれます |
部品 3 | Y | | コンフィギュレーション仕様によって含まれます |
部品 4 | Y | | コンフィギュレーション仕様によって含まれます |
ドキュメント 1 | Y | | 部品 2 に関連 |
ドキュメント 2 | N | Y | ドキュメント間の関連はトレースされません |
ドキュメント 3 | Y | | 部品 3 に関連 |
ドキュメント 4 | N | Y | コンテキストにまたがる部品と CAD の関連のみがトレースされます |
変更リクエスト 1 | Y | | 部品 1 に関連 |
変更リクエスト 2 | N | Y | ドキュメントと変更間の関連はトレースされません |
変更リクエスト 3 | Y | | レプリケーションコンテキストに含まれます |
例 3:
コレクションの結果は次のようになります。
オブジェクト | 含まれる | 存在しないオブジェクト | コメント |
部品 1 | Y | | |
部品 2 | Y | | |
部品 3 | Y | | |
部品 4 | N | Y | |
部品 5 | Y | | |
ドキュメント 0 | N | N | |
ドキュメント 1 | N | Y | |
ドキュメント 2 | Y | | |
ドキュメント 3 | Y | | |
ドキュメント 4 | N | N | |
変更リクエスト 1 | Y | Y | |
変更リクエスト 2 | N | Y | |
プロパティ enableMissingObjectTrackingSource - 詳細
プロパティ com.ptc.windchill.wp.enableMissingObjectTrackingSource が有効になっている場合、レプリケーションパッケージ送信で存在しないオブジェクトが計算され、送信 ZIP に含まれて後から読み込むために保管されます。
以下の点に注意してください。
• エクスポートされて ZIP に含められるレプリケーション可能オブジェクトの ZIP には、存在しないオブジェクトの情報が含まれます。
• 差分送信の場合、エクスポートされないオブジェクトについては存在しないオブジェクトの情報が含まれません。すでにレプリケーションされているオブジェクトや、レプリケーションのためにアクセスできないオブジェクトは含まれません。
• 存在しないオブジェクトの情報とは、レプリケーションされて ZIP に含まれるオブジェクトにリンクしている、レプリケーション可能だがレプリケーションされないオブジェクトに関する情報のことです。
「存在しないオブジェクト」機能では次の関連付けがサポートされます。
• 部品 - マークアップ
• 部品 - 製品表現
• 一時許可 - 変更対象オブジェクト
• 変更アクティビティ - 変更対象オブジェクト (変更適用データ、結果データ、反映待ち変更)
• 変更リクエスト - 変更対象オブジェクト (関連製品データ)
• 変更リクエスト - 一時許可
• 変更リクエスト - 変更通知
• 変更リクエスト - WTPartMaster (対象製品)
• 一時許可 - WTPartMaster (関連製品)
• FlexibleChangeItem - FlexibleChangeItem (フレキシブル変更リンク)
• ドキュメント - ドキュメント (依存)
• ドキュメント - DocumentMaster (子部品 - 子役割にのみ存在しない)
• CAD ドキュメント - 部品
• CAD ドキュメント - CAD ドキュメントマスター (子部品 - 子役割にのみ存在しない)
• CAD ドキュメント - CAD ドキュメントマスター (参照リンク)
• CAD ドキュメント - CAD ドキュメントマスター (バリエーションリンク)
• 部品 - 部品マスター (子部品 - 子役割にのみ存在しない)
• 部品 - ドキュメント (説明リンク)
• 部品 - DocumentMaster (参照リンク)
• 部品マスター - 部品マスター (代替部品)
• 部品の親子関係 - 部品マスター (代用部品)
• コンフィギュレーション可能リンク (マスター、リビジョン、参照、説明)
• 部品 - CAD ドキュメント (注記)
変更アクティビティと変更対象オブジェクトの関連付けにおける存在しないオブジェクトの処理
変更アクティビティ (CA) と変更対象オブジェクト (C) の関連付けでは、存在しないオブジェクトを処理する際、変更通知 (CN) と変更アクティビティがそれに関連する変更対象オブジェクトとともに考慮されます。
同じ変更対象オブジェクトを同じ変更通知にリンクする変更対象オブジェクトの関連付けが複数存在する場合、2 つ目の変更アクティビティでは変更対象オブジェクト/変更通知は存在しないオブジェクトとして記録されません。変更アクティビティだけが存在しないオブジェクトとして記録されます。
シナリオ | 結果 |
CN - CA1 - C | |
CN - CA2 - C | CA2 は CN と C の両方で存在しないオブジェクトとして記録されます。 |