最悪ケース公差解析
ワーストケース公差解析は、従来のタイプの累積公差を計算する解析です。累積結果を最大化または最小化するため、個々の寸法がその公差の上限または下限に設定されます。
ワーストケースモデルでは、個々の寸法の統計分布は考慮されず、これらの寸法がそれぞれに指定されている公差の上限/下限を超えないことだけが考慮されます。具体的には、モデルのすべての公差寸法が上限または下限の値と等しいと想定します。これによって、累積の効果が最大になります。つまりこの方法によって、アセンブリの実測で起こり得る最大の変動量を予測します。
ワーストケース公差の要件に従って設計を行うことで、実際の構成部品の寸法変動量と累積の組み合わせにかかわらず、100 パーセントの部品が適切にアセンブリされて機能することが保証されます。ワーストケースモデルの主な欠点は、個々の構成部品に指定できる公差値の範囲が極端に狭まることです。この結果、製造と検査のプロセスにコストがかかり、スクラップ率が高くなります。
ワーストケース公差解析は、高精度が求められる機械インタフェースやスペア部品交換インタフェースでよく使用されます。ワーストケース公差解析が契約上の必須項目ではない場合、統計公差解析を正しく適用することによって、構成部品の公差にゆとりを持たせ、製造コストを抑えつつ、許容範囲内の組み付け歩留まりを確保できます。